ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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トップ  >  ヌエックで「インターネット時代の暴力ポルノ」と題してワークショップを開催
2004年8月29日、ヌエックの毎年恒例の「女性学・ジェンダー研究集会」に参加し、「インターネット時代の暴力ポルノ」と題してワークショップを開催しました。
 当日は、ヌエックの最終日の最終時間帯であったことや、朝からずっと雨だったこと、また同時間帯になかなか興味深い好企画が目白押しだったこともあり、一般参加者は14人にとどまりました。主催者側の出席が5名だったので、合計で19名となりました。
 しかしながら、報告の内容や参加者の反応は非常によいものでした。
 まず私たちの側からの報告ですが、インターネットの普及によって、暴力ポルノの消費および制作の現場でどのような重大な変化が生じたか、を中心に行ないました。また報告しながら、DVDのパッケージの画像や、実際のホームページなどを、パソコンとモニターを使って会場に映し出して、具体的にイメージがつかめるような工夫をしました。ただし、実際の動画は、ショックを大きすぎるので、パッケージ写真などの比較的まだましな静止画像だけにしました。
 インターネットは何よりも、消費者と制作者の垣根を著しく低くし、一般の消費者が加害者や被害者に容易になりうる構造を作り出したことに一大特徴がありますが、報告では、以上の特徴をふまえつつ、前半では消費現場における変化について報告し、後半では制作現場における変化について報告しました。
 消費現場における変化の第1は、ポルノへのアクセスが非常に容易になり、したがってまた、暴力ポルノへのアクセスもまたきわめて容易になっていることです。インターネット上の暴力ポルノとしては、既存の暴力ポルノをスキャンしてアップするタイプのもの、新たに独自のコンテンツをアップしているものなどがあります。後者の中には、『女犯』以来確立している手法、すなわち主演女性をだまして連れてきて、脅迫と暴力で監禁し、集団で陵辱の限りをつくすという内容を売りにしたもの(「Happy Fish」など)も存在します。
 インターネットを通じればこうした暴力ポルノにも、子どもも含めて容易にアクセスすることができます。
 第2の変化は、インターネットならではのポルノがあふれるようになったことです。それらのポルノは必ずしも暴力を売りにしたものではありませんが、盗撮サイトのように、犯罪的なものも少なくありません。
 また、一般視聴者が、自分の(元)恋人や妻の裸の写真や、あるいは自分が盗撮した画像・動画などを投稿するサイトもたくさん存在し、この点にまさに、消費者と制作者との垣根が著しく低くなっている現状の一端が示されています。
 次に制作現場における変化についてですが、その第1の特徴は、制作サイドのホームページにある掲示板やEメールなどを通じて、視聴者・消費者がダイレクトにそして競い合って、さまざまな虐待や暴力の手法、虐待する対象などを提案し、それを制作者側が採用することによって、ますます虐待と暴力がエスカレートしていることです。資料として、『ヤマンババスターズ』という暴力ポルノを制作した忠実堂の掲示板でのやり取りや、出演女性を監禁して集団暴行を加える内容の「強制子宮破壊シリーズ」を制作したバッキービジュアルプラニングの掲示板でのやり取りを、コピーして配布しました。この内容は実にすさまじいものであり、参加者にとりわけ大きな衝撃を持って受け止められました。
 制作現場における変化の第2の特徴は、インターネットを通じて広範に虐待への参加者が募られ、大規模に組織され、そして実際にそうした一般視聴者が集団レイプに参加するようになっていることです。この手法は、『ヤマンババスターズ』でも「強制子宮破壊シリーズ」でも採用されていますが、とりわけ、「強制子宮破壊シリーズ」では、「監禁友の会」なる恒常的組織までもがつくられて、集団レイプに一般視聴者を参加させています。
 このように、インターネットの普及によって、暴力ポルノがいっそう普及し、アクセス容易になり、またその内容もエスカレートし、消費者と制作者との垣根が際限なく低くなり、こうして、ポルノ被害の規模も内容もいっそう深刻化している実態を具体的に紹介していきました。
 質疑応答では、こうした実態に対する驚きと怒りの声が参加者のほとんどから出されました。出された疑問として一番多かったのは、そうした明らかな犯罪行為がどうして堂々とまかり通っているのか、警察や行政は何をしているのか、ということでした。この問題については、まず第1に、被害者があまりにもひどい虐待を受けているがゆえに、ほとんどの場合、当事者による告発にいたっていないこと、第2に、まさにこうした犯罪行為が、ポルノという文脈の中で行なわれているがゆえに、犯罪とみなされていないという厳然たる事実があること、ちょうど、かつて妻に対する夫の暴力が、夫婦ないし家庭内という文脈の中で行なわれているがゆえに、刑事上の犯罪とみなされてこなかったのと同じ状況が存在するということを説明しました。
 もう一つ多かった質問は、この問題に対してどのような法律的対処がありうるのか、ということです。実際、この日本には、盗撮行為を取り締まる全国法さえ存在しないのが現状であり、かろうじて、都道府県レベルの迷惑防止条例しか盗撮行為を取り締まる法令は存在しないのです。さらには、盗撮した画像をDVDにして販売したり、インターネットにアップすることを禁止する法律は、まったく存在しません。それらをわいせつ物として規制することや、被害者本人が名誉毀損や肖像権侵害で訴えることはたしかに可能ですが、その程度にすぎないのが現状です。
 しかしながら、この盗撮問題は、マスコミでも少しずつ問題化されるようになってきており、この方面では法的な前進が一定勝ち取れる可能性が存在しています。
 しかし、ポルノ被害の全体をどうするのかという話になると、既存の法律を何とか巧みに使っていく以外には、なかなか展望がないという状況で、会として、今後ともどのような法的対処が可能か、どのような法律が最も適当か、という問題を研究考察していくということをお話しました。
 いくつか反省点も残りました。事前の宣伝が不十分であったこと(チラシを撒いたのが当日になってから)、当日の記録の仕方についてちゃんと決めていなかったこと(録音できず)、参加者に感想文のようなものを書いてもらった方が今後の参考になったのに、そういうことが思いつかなかったこと、その他、いろいろと準備不足の点がありました。
 来年のヌエックにも参加するつもりなので、この教訓を生かしていきたいと思っています。
被害事実をご存じの方は、情報をお寄せください
ポルノグラフィによる人権侵害は想像よりはるかにたくさん生じていると考えられます。例えば、市販されているポルノ・ビデオからは、制作過程ですでにひどい人権侵害が行なわれていることを見てとることができます。

私たちは、ポルノグラフィによる被害を防止し被害者を支援する制度づくりをめざして、ポルノグラフィによる人権侵害の実態を明らかにする活動に取り組んでいます。被害事実をご存じの方は、どのような情報でもかまいませんので、研究会までお寄せください。
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