ポルノ・買春問題研究会
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製作被害 : AV強要、元タレントも被害 ミスコン受賞歴、歌手の夢捨て

日時: 2016-08-26  表示:12回

withnews 2016年08月26日

 社会問題化しているアダルトビデオ(AV)への出演強要の被害者は、「芸能人になれる」などの釣り文句に騙された一般女性に限らない。芸能界に関する知識がある元タレントも、巧みな「囲い込み」による被害に遭っている。DVDの販売が見込めることから大々的に売り出され、親や親族、友人たちが瞬く間に知ることになる。親との絶縁、自殺未遂などを経験することになった20代後半の元タレントの女性が取材に応じた。(朝日新聞経済部記者・高野真吾)
「グラビアからいい形で芸能界に入れた」

 最初に芸能事務所に所属したのは、高校3年生の4月でした。その2カ月前に、東京・渋谷を歩いている時に、スカウトされました。浜崎あゆみさんや、「モーニング娘。」さんが好きで、「歌手になりたい」という夢をずっと持っていた。CMにたくさん出ているタレントさんがいたので、そこの事務所に所属しました。

 すると幸運にも、ある雑誌のミスコンをすぐに受賞できた。グラビアからいい形で芸能界に入れた。高校を卒業してから3年ぐらいは、タレント活動に専念しました。グラビア以外にも、地方局のパチンコ番組と衛星放送の情報番組のレギュラーの仕事が2本あって、たまに舞台にも出ました。両親も応援してくれていました。

「ずっとやっていける自信なく…」

 しかし、20歳になるぐらいから、将来が不安になってきた。その頃は、グラビアの仕事は10代の仕事という印象が強かったし、タレントとしてずっとやっていける自信もなかった。一番の夢だった歌手になれなかったということもあります。悩んだ末に、事務所を辞めました。安定した収入が欲しくて、雑貨店や洋服屋でのアルバイトを始めました。

 1年半ぐらいした2009年の夏、渋谷で芸能事務所の名刺を持った、男性スカウトに会いました。離れてみたら芸能界は刺激があり、友人もできるし、楽しかったと後悔し始めていた。また、その人の事務所に入りたいと思ってお願いしました。

 結果的には、以前に所属していた事務所との関係があるとかでダメでした。それでも、スカウトから「若いし、もったいない。俺の知っているすごい人を紹介する」と言われたのです。4カ月ぐらいして会ったのが、前所属事務所の社長でした。

「俺だったら、中国や海外を目指すよ」

 初めて会ったのは、東京・渋谷のマークシティのレンタルオフィスでした。スカウトと3人で2時間ほどの面談でした。社長からは「どんな芸能人になりたいの?」と聞かれました。具体的なイメージができていなかったので「アイドルとか歌の活動をしたい」と答えました。

 すると、社長は「俺だったら、日本だけじゃなくて、中国や海外に出て行けるような歌手、女優を目指すよ」と言いました。日本の経済は伸びていなくて、エンターテイメント業界も縮小しているから、と理由を説明しました。

 「芸能活動を成功させるには、投資が必要だ。お金をかける価値があるとキミを認めるか分からないけど、毎週90分ぐらい話をしていこう」。その場で手帳を開いて、次の約束を決めました。私はまじめな性格なので、約束があると足を運んでしまうのです。

「カジノ王の協力で、上海でコンサート」

 社長は面談で、私の売り出し方を詳しく語りました。

 第一段階では、イメージDVD3本を出して、男性のファンをつかむ。同時に女性誌にも連載を持って、女性ファンもつかむ。

 第二段階で歌手を始めて、中国で開催されるコスプレイベントやゲームショーにも参加する。日本の地上波で深夜番組にも出る。

 第三段階では、ネットでコンテンツを流通させつつ、(マカオの)カジノ王とイベントを開いて、彼にスポンサーになってもらう。

 最後の第四段階で、カジノ王の協力を得て、上海の大舞台でコンサートを開く、と。

雑誌を切り抜きイメージを形に

 彼の売り出し方にあわせるように、私も「ビジョンブック」と呼んだノートに自分の将来像を書き込んでいきました。見返すと、「世界」「中国」という単語がたくさん出てきます。

 「世界一の歌手になるには、歌唱力が必要」「世界一の女優になるのは、演技力が必要」。「中国に私をイメージした遊園地をつくる」「世界中に私モデルの携帯を発売する」という項目も出てきます。

 さらに、社長の事務所の女性相談係に手伝ってもらい、イメージをより形にする作業をしました。自分のコンサートのステージに馬車に乗って登場したいと考えたら、雑誌から馬車の写真を切り抜いて台紙にはる。ステージで着るドレスなども、同じように貼っていきました。

西麻布でサプライズパーティー

 翌10年の2月に、社長らのアドバイスに従って、両親と離れて一人暮らしをしました。日常的に会うのは社長と事務所の女性相談係など、社長の関係者ばかりとなっていきました。2カ月後に正式に所属契約をしました。

 5月には、関係者10人ほどが集まって、東京・西麻布のレストランで、私のためにサプライズパーティーを開いてくれた。出席者は「俺たちは家族だから」「私たちは家族だから」と語りかけ、「一緒に夢をつかもう」と盛り上がりました。

「言ったよね」と大声で怒鳴り舌打ち

 その10日後、イメージDVDの撮影だと言われて、東京・原宿のスタジオに向かいました。洋服を着たままの撮影の後、監督が当然のように命令したのです。「じゃあ、脱いでくれる?」。驚いてどこまでかを聞くと、「全部だよ」。

 驚いて、大泣きしました。撮影が絡みのあるAVだと、初めて知りました。急きょ駆けつけた社長は「言ったよね」と大声で怒鳴り舌打ちしました。

 この日の撮影が中止になった直後、社長と話し合いました。

 「今までずっと話をしてきたよね。AVはほんの最初だけで、1、2年、長くて3年やるだけ。その向こうの夢のためには頑張らないのかい」

 「いくらお金をかけているか分かる? 雑誌とか色々なメディアで宣伝して1億円ぐらいかけている。撮影が無理だと、親に請求がいくよ」

 親へのお金の請求が怖くて、6月上旬の撮影には応じざるを得なかったです。

 秋に雑誌で私がAVデビューするという記事が出ました。社長は、タレント活動をしていた時の名前をAV女優名に使い、雑誌のミスコン受賞者ということも全面に押し出しました。相談はありませんでした。当然、両親に知られる「親バレ」になります。母は「私はあなたを産んだことが人生の汚点だ」。父は「二度と帰ってくるな」。両親と絶縁状態になりました。
「私たちこそ家族だから支える」

 女性相談役に話しました。彼女は、親とのことを「大丈夫?」と心配しつつも次のように言ってきました。「目指している夢を邪魔するのは、実の家族でもダメだよ。私たちこそが家族だから支える」。続けて、一緒にいた男性マネジャーが「携帯の番号を変えなよ」と提案しました。「囲い込み」下だった私は、素直にその通りにしました。

 その後は、月1回の撮影が続きました。11年に念願だったCDデビューをしましたが、今思うと、それはAVを続けさせるための私への投資だったのでしょう。

 次第に体に異変が起きてきました。食事をしても、お茶を飲んでも吐いてしまう。摂食障害でした。電車やバスに乗ると、急に動悸(どう・き)が起こり、過呼吸になるパニック障害も発症します。ほかの乗客が自分の悪口を言っているように聞こえる幻聴にもなった。社交的な性格だったのが、対人恐怖症になりました。

「死にたかったら死ねばいいじゃん」

 13年夏になると、もう心身共に限界でした。当時、1年ほど付き合った後に、実はAVに出ていると打ち明けた彼氏がいました。その彼の目の前で「死にたい」とベランダに向かったのです。

 何とか私をなだめた彼が、社長に電話をした。私は「もう無理です。夢とか言っていたけど、雑誌の連載やテレビ出演もなかった。結局、私をAVに出させたかっただけですよね」と訴えました。すると社長は冷たく言い放ちました。

 「俺、今から上海なんだよね。忙しいんだけど、何、死にたいの? 俺には分からないよ、別に脱いだって減るものじゃないし。死にたかったら死ねばいいじゃん」

 当時、私はこんな文章を書いています。「正直夢を叶(かな)えてあげるから頑張ろうってずっと言われて頑張ってきた。でもどんどんどんどん自分の心も身体(からだ)も歪(ゆが)んでそれでもずっとずっと耐え続けた。でも夢より結局ビジネスね」

「イメージDVDだとウソをつかずに、説明を」

 この年の冬、AV引退を発表しました。もう十分に稼いだと思ったのか、社長は強く引き留めませんでした。

 両親との関係は現在も修復中です。母親がどうしても過去のことで色々と言うことやご近所の目が気になって、今もって実家に住むことはできません。私の人生をめちゃめちゃにした社長のことは許せません。現役AV女優の香西咲さんと一緒に、刑事、民事の訴訟準備をしています。相応の責任を取ってもらいます。

 AV出演強要に関して言いたいことは、やりたくない人間を巻き込まないで下さいということ。イメージDVDだとウソをつかずに、最初からAVだとの説明を怠らないで欲しい。私のような女性を二度と生んで欲しくないです。

ポルノ被害 : <AV問題>キカタン女優の闇と光(下)「もっと性をオ

日時: 2016-08-14  表示:34回

毎日新聞 8月14日(日)13時0分配信

 自ら志願してアダルトビデオ(AV)の女優となり、1年半にわたって活動した経験がある会社員の田中明美さん(仮名・30代)は、「プロの仕事に携わることができた」と当時を懐かしむ。意に反する仕事を強要されることもなく、業界にポジティブなイメージを抱いたまま引退することができたのは、「撮影内容を包み隠さず説明してくれる事務所を選んだから」と振り返り、怪しい事務所をかぎ分ける「嗅覚」の重要性を強調。一方で、周囲からの心ない中傷に悩んだ経験なども明かし、「もっと性に対してオープンな世の中になれば」と願いを込めた。【AV問題取材班】

 ◇丁寧過ぎるくらいの説明

 数年前、田中さんはとある事情で会社を辞め、実家で過ごす日々に退屈していた。「アルバイトでもしようかな」と考えた時、頭に浮かんだのがAVだった。元々、性にオープンな性格。AVプロダクション(女優の所属事務所)で働く知人がいたこともあって、「裏社会をのぞいてみたい」という好奇心にかられた。

 高収入アルバイト情報誌を買い、数社の面接を受けた。電話応対が悪いなど「常識がない」と感じる事務所が多かったが、1社だけ良識的だと思える事務所があった。面接では「女優には単体、企画単体(キカタン)、企画とランクがある」「撮影内容次第で出演料が変わる」「雑誌やテレビなどの露出媒体は自分で決められる」−−などと業界ルールを事細かに教えてくれた。多くの女優が恐れる「顔バレ」については「100%バレないようにするのは難しい」と正直に明かし、一緒に対策を練ってくれた。

 面接者はそれだけ徹底した説明の後で、「冷静に判断してください」と念を押した。田中さんは「中途半端な気持ちではできない」と覚悟を決め、この事務所に所属することにした。

 ◇「社会人経験が生きた」

 別の事務所の面接では、説明があいまいだと思うことも多かった。顔バレについて相談すると、「年間何万本ものAVが世に出ている。何人がデビューしていると思う?」とはぐらかされる。あけすけに「いくら稼ぎたいの?」と聞かれるのも不快だった。

 「私には、怪しい事務所をかぎ分ける嗅覚があった」。社会人経験があったことも大きいと感じており、「若い子だったら、これが当たり前だと思ってだまされてしまうかも」と懸念する。最近問題になっている出演強要被害についても、「私自身は見たことがない」と断った上で、「だます方はプロ。1回引っかかったら逃れられないのでは」と警鐘を鳴らす。

「私も含めて、安易に業界に飛び込む人がこの10年で増えた」と田中さん。「だからこそ(強要被害は)一度、世間にさらされないといけない問題だった。業界が一丸となって取り組んでほしい」。世話になったAV業界から、悪いニュースばかりが聞こえてくるのは悲しい。

 ◇仕事への「誇り」と周囲の目

 単体女優でスタートし、徐々に人気が落ちてキカタン、企画女優と活動の形を変えていくケースは多いが、その逆をたどるケースはまれだ。

 田中さんはランクや出演料は低いが「顔バレ」しにくい企画女優として歩み出した。撮影は月に3本程度。パッケージに顔も載らないような端役でも、スタッフは気遣ってくれた。「部屋やシャワーの温度を気にしてくれたり、撮影ギリギリまでガウンを脱がないようにしてくれたり」。苦労がなかったわけではないが、女優を支える「プロ」たちの仕事ぶりに驚き、魅了されることのほうが多かった。

 夢中で働くうち、企画女優の中でも人気の抜きんでた“キカタン”に成り上がっていた。撮影は多い時で月に20本。メーカーから「専属女優(単体)にならないか」と誘われたこともあったが、「一生続ける仕事ではないから」と冷静に断った。

 仕事にやりがいを感じていたものの、ごく一部の親友を除き、周囲にAV出演を明かすことはなかった。AV出演が悪いことだとは思わない。でも、その考えが社会にすんなりとは受け入れられないことも分かる。「引退して別の場所で働く時がくる。その時のためにも、絶対に秘密にしなければ」。撮影中にあった笑える出来事や有名な男優に会ったことなど、何気ない話を友人にできないのがつらかった。一方、学生時代の友人男性らが田中さんのAV出演に気付いてうわさしていることもわかり、隠し通すことの限界も感じていた。

 そのころ、田中さんはある男性と出会う。意気投合し、交際に発展しそうな雰囲気になった。「お付き合いするなら、知っておいてほしいことがある」。AV出演を明かすと、「それでも交際したい」と言ってもらえた。

 交際が始まると、AV出演を受け入れられない彼の苦悩を感じた。「誰かを傷つけるために始めた仕事じゃないから」と引退を決意。ただ、撮影スケジュールは半年先まで埋まっていた。申し訳なく思いながらも、すべての撮影を終えて引退。ほどなくして男性と結婚した。

 ◇正しい情報の発信を

 出産して母にもなった。ふと、怖くなることもある。「夫の両親や子供が知ったらどう思うだろう」「みんな知らないふりして、本当は知っているのかも」。結婚前、夫の友人がたまたま田中さんの出演作を見てひどい言葉をかけてきたことがあった。田中さん自身は「顔バレ」もある程度覚悟してきたが、家族が嫌な思いをするのはやはりつらい。

 AV女優として働くことの魅力や楽しさ、そしてリスク−−。「臭い物にふた」をするのではなく、正しい情報を発信していくことで偏見や強要などの被害を減らすことができると信じている。「性はもっとオープンでいい。そうすれば、若い子が無知なままチャレンジすることもなくなるから」。いつか、何らかの形で性にまつわる啓蒙(けいもう)活動に携わりたいという夢も膨らんでいる。(おわり)

DV : <大阪女性殺害>「50回以上殴った」逮捕の男供述 (2016.0

日時: 2016-08-12  表示:35回

毎日新聞 8月12日(金)22時27分配信

 大阪市福島区のワンルームマンションで女性の遺体が見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された同市生野区巽中1、無職、***容疑者(42)が「(女性が)他の男と会っていたので腹が立ち、50回以上拳や棒で殴った」と供述していることが12日、大阪府警への取材で分かった。

 逮捕容疑は11日午前〜12日未明、同市福島区吉野3のマンションの一室で、住人で交際相手の無職、西山佳澄さん(40)を何度も殴るなどして殺害したとしている。「殺すつもりはなかった」とも供述している。

 府警によると、西山さんは9日朝、「交際相手に暴れられて逃げている。タクシーを呼んでほしい」と生野署に電話で相談。同署員が、**容疑者宅から逃げた西山さんのもとに駆けつけた。西山さんの右目付近にあざがあったため、署員が被害届の提出を促したが応じず、「仕返しが怖いの****容疑者に)接触しないでほしい」と訴えた。

 同日午後には自宅を管轄する福島署に「自宅近くにある実家に避難する。周辺を警戒してほしい」と相談したが、この際も被害申告しなかった。

 同署は西山さんの実家周辺を重点的にパトロールしており、「相談の取り扱いに問題はなかった」とコメントした。【道下寛子、村田拓也、山田毅】

ポルノ被害 : <AV出演強要>「消費者はレイプもの、デビューものにNOを

日時: 2016-08-12  表示:42回

弁護士ドットコム 2016年08月12日 10時05分

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウが今年3月、若い女性たちが本人の意思に反してアダルトビデオ(AV)に出演させられている被害実態をまとめた報告書を発表して以降、AV業界をめぐって注目すべき大きな動きがあった。

政府は6月上旬、内閣府が民間団体からAV出演強要の被害状況をヒアリングするという閣議決定をおこなった。また、6月中旬には、AV撮影現場に女性を派遣したとして、大手AVプロダクション(マネジメント会社)の元社長ら3人が労働者派遣法違反の疑いで摘発される事件もあった。

こうした一連の流れをどうみればいいのか、AV出演に関するトラブルに巻き込まれた女性たちを支援する団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS/https://paps-jp.org)で、相談員として活動している金尻カズナさんに聞いた。
●大手メーカーでも止められない「流れ」ができている

−−AV出演に関するトラブルの相談状況は?

大手プロダクションが摘発された6月には、AV出演に関する相談が20件ありました(PAPSとライトウハウスの共同相談支援事業)。従来は多くて月10件ほどでしたから、突出した数字です。このプロダクションに関する相談も多数ありました。沈黙を余儀なくされた人たちが「困ったことを相談してもいいんだ」と思ったようです。

この事件は「被害の可視化」につながったと思います。「被害はごく一部」ではなく、むしろ「氷山の一角だ」ということが証明されたと考えています。このプロダクションに所属する女性からの相談は、もともと複数あって、注目していました。

−−事件を受けて、AVメーカー(制作販売会社)でつくるNPO法人「知的財産振興会」(IPPA)は業界の健全化に向けてプロダクション側に働きかけていく、という声明を発表した。どう評価するか?

わたしたちとしては一定の評価をしています。メーカーは映像を処分できる権限をもった「権利者」です。そのメーカーの責任にもとづいて積極的に被害救済に取り組んでいただければと思います。

ほかにも、いろいろな団体が被害救済に向けて動いています。「被害をなくしたい」という考えは同じだと思うので、情報共有も必要になります。AV事業者全体の改善に向けて、ぜひ被害救済という観点からご尽力いただければと思います。

−−業界全体の改善は期待できるか?

IPPAに所属していないメーカーもあります。IPPAに入っているメーカーが健全化しても、かならず業界団体に所属しない「インディーズ」が出てくると懸念しています。やはり、複雑になってしまった問題を解決するために、事業者自ら、一度ゼロから考え直してみる時期がきているのだと思います。

−−メーカーにはどんな「責任」があるか?

大手メーカーは、その業務に携わっている会社内の人たちにとって、ある意味で「クリーン」な会社だと思います。数字(業績)を追っている世界だからです。たとえば、ある大手メーカーでは、チームごとにノルマがあり、売れる作品を作り続けなければ、給与が大幅に下げられています。

そのために撮影現場では、つねに新人を発掘しなければいけなかったり、より過激なビデオや新人デビューものを作らなければならないなど、システム化されて数打てばあたるような薄利多売が横行しています。こうしたネガティブな循環が起きています。

そして、誰もこの循環を止められません。大手メーカーでもなかなか止められないでしょう。こういう状況のなかで、機械的に、面接、撮影、販売する流れがあり、つねに出演者が弱い立場に追い込まれていくと考えます。
●メーカーの問題点とは?

−−メーカーはどういう部分を改善していくべきか?

たとえば、女優のなかには、海外サイトのオリジナル「無修正」作品に出演している人も多くいます。本人が望んだことかどうかわかりません。

現在、とても残念なことに、プロダクションのなかには、所属女優を無修正ビデオ制作会社にあっせんしているところもあります。日本で無修正に出演させる行為は、わいせつ物頒布ほう助の罪に問われます。

しかし、プロダクションの担当者は、出演者に無修正であることを告げずに出演させている現状があります。こうしたプロダクションの一連の行為は、到底許されるべきではありません。

出演者を守る観点からも、無修正ビデオに出演させたプロダクションは、一刻も早く販売を停止するよう交渉して、出演者が被った不利益を保障すべきです。メーカー側は、このようなことをつづけているプロダクションと取引をしないことが重要です。

また、AV出演のスカウト行為は、市区町村の「客引き防止条例」などで禁止されています。AV出演の求人広告をおこなった者も、職業安定法63条2項に抵触します。PAPSに、スカウトや高収入をうたったネット広告により誘引・契約させられ、契約の解除を妨げられるなどして、出演を余儀なくされた相談者が多いです。

プロダクションおよびメーカーはコンプライアンスが必要です。コンプライアンスとは、企業の積極的かつ自発的に法令違反を防ぐこと、企業倫理を遵守することを指します。スカウト行為や高収入広告で人を誘引している構造は、人権侵害性を内包していることを指摘しておきたいと思います。

販売方法に関しても、出演者が意見できないことが多く、本人が予測していたこととは違って「身バレ」が前提となったかたちで販売されてしまうトラブルも多くあります。
●「出演同意」に関して改善するべき点

−−出演への同意部分については?

本人同意に関しては、現在のところ、以下の3つが指摘できると考えます。

(1)出演することのマイナス影響に関する説明を十分におこなうこと

メーカーも、出演者に対して、とくに出演におけるマイナス面を重要事項としてきちんと説明すべきだと考えます。たとえば、撮影では、避妊しない性交行為が実際におこなわれる場合があります。このことに関して、性感染症や妊娠などのリスク、あるいは極めて暴力的な撮影の場合の身体への損傷が起こりうること、販売における身バレの確率性の高さなど説明したうえで同意をとるべきです。

(2)同意形成の実質的なプロセスの検討を

20歳前後で出演した人からの相談のなかには、応募した当時はAV業界のことがよくわからなくて<同意>したという人がいます。自分自身の究極のプライバシーをさらす行為に関する<同意>の意味について、『サインをしたから』と理解するこれまでの外形的なものではなく、実質的に本人がどの程度理解しているかを厳密にかたちに残す方法が模索されるべきでしょう。

(3)「同意がつづく期間」の明確化

行為の内容からいって、その<同意>が未来永劫有効とされるべき性質のものではありません。5年後や10年後もその同意が有効としてあつかわれている現状は改めるべきです。しかし、契約などでは、出演者のパブリシティ権はメーカーが保有するとされて、出演者は無権利状態に置かれています。

そのため、一度出演すると引退後も販売されつづけています。その当時、同意したかもしれないけど、引退後に生きづらく感じてしまう人がいます。性行為は「究極のプライバシー」ですので、一般化して議論すべきではなく、法整備も検討してよいと思います。
●消費者が「NO」をつきつけるべき

−−ほかに問題点はあるか?

ある大手メーカーの出演同意書では、出演者に対して、パブリシティ権を放棄するように書かれています。パブリシティ権とは、法的な規定はないものの、プライバシー権の1つとされ、個人の肖像をみだりに使われるのを防ぐためのものです。

しかし、大手メーカーの出演同意書を見る限りでは、出演者はパブリシティ権の一切を放棄する内容になっています。このような内容は、本来であれば「無効となるべき」と考えます。また、すでにAV出演をやめて時間が経過しているにもかかわらず、オムニバス販売(すでに販売された複数のAVをひとつにまとめ直し、新たなAVとして販売すること)されるなど、映像の二次的利用がおこなわれています。

パブリシティ権を乱用してきたのが大手事業者です。今後は、本来あるべきかたちのパブリシティ権に戻して、これまで、みだりに行使されたパブリシティ権は、出演者に返還されるべきだと考えます。

これらの制作過程の問題に匹敵する最大の問題点は「需要・ニーズ」だと考えています。わたしたちは決して、AVそのものを否定しているわけではありません。ただ、被害をなくしたいだけです。個人的な意見として、人権侵害性のないAVがあれば、肯定されるべきです。

出演者の問題ではなくて事業者側の問題です。本当に出演したい人、プロ意識のある人たちが、自らその内容や場をコントロールして出演しているならば、問題になることはありません。

一方で、事業者側は過剰に「需要・ニーズ」を煽るところがあると思います。「レイプもの」など徹底的に女性への差別や憎悪をテーマにした過激的作品をつくったり、処女性とその凌辱をテーマにした「新人デビューもの」を量産しています。

通常であれば、監督は演技による迫真性を求めますが、ある相談者は「演技は不要で、実際に出血し苦悶する様子の迫真性を撮影された」と述べました。本当の意味で演技なら「本番行為」「中出し」も必要ないはずです。過激な映像が制作される理由は、そこに需要があるからだと考えます。

需要はより強い性的刺激を求めています。メーカーは消費者の要求に応えるために、より刺激的なシチュエーションを設定して撮りつづけているという、被写体にされる人たちにとっては『最悪のスパイラル』が形成されているのが現状だと考えています。

ある男性からは、「自分はAVが好きだけど、やっぱり消費者だから、AVを批判することに後ろめたさがある。人権侵害性のないAVが見たい。レイプまがいのことがおこなわれているのはおかしい」という話を聞きました。

消費者も、人権侵害性のあるAVには「NO」と突きつけることが大事です。消費者が「NO」と「YES」をどう識別するのか、今のところその方法はわかりません。しかし、消費者の意識が変わらないことには、事業者側も変わらないと思います。

ポルノ被害 : 高収入バイト求人で「AV面接」、「身バレしない」はずが「

日時: 2016-08-11  表示:38回

弁護士ドットコム 2016年08月11日 08時21分

若い女性が本人の意思に反してアダルトビデオに出演させられるという、いわゆる「AV出演強要問題」が社会的に大きく注目をあつめている。NPO法人ヒューマンライツ・ナウの報告書には、繁華街の路上でスカウトから「グラビアモデルにならないか?」などと声をかけられる事例が記されている。

だが、スカウトだけが「きっかけ」ではないようだ。AV出演に関する相談を受けている団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS/https://paps-jp.org)によると、「高収入アルバイト」の求人を装ったインターネットサイトに応募したことが「きっかけ」だったというケースも多いという。

この夏に、アルバイトを探している若者も少なくない。「高収入アルバイト」といった言葉にひかれて、面接を受けに行ったところ、AVに出演することになったということも起こりうるかもしれない。PAPS相談員の金尻カズナさんに注意点を聞いた。
●面接で初めて「AV出演」と聞かされる

−−「高収入アルバイト求人」を装ったサイトはどのようなものか?

あるサイトには、「報酬 1日数万〜十数万円」と記されて、「お水や風俗ではない」「風俗は絶対にイヤな人向け」「学生のつよい味方」といったことも書かれています。一見すると、キャバ嬢かイベントコンパニオンの仕事かな、と思うかもしれません。

しかし、応募して面接に行くと、AV出演をもちかけられるというものです。「最近はスカウトよりも応募が多い」といわれていますが、その理由として、スマホの検索サイトで容易にこのような高収入サイトにアクセスできてしまう現実があり、インターネット上では野放し状態になっています。

女性だけでなく、男性もターゲットになることもあります。ある「メンズモデル」募集サイトにも、「報酬 1日数万〜十数万円」「面接を受けるだけで3000円」といった情報が掲載されています。実際は、「ゲイビデオ」に出演する仕事です。

面接で初めて「AV」や「ゲイビデオ」の仕事と聞かされて、「やりたくない」と断っても、しつこく説得されたり、契約するまで帰してもらえなかったりします。

−−面接ではどのように説得されるのか?

「うちのプロダクションでは、絶対にとはいえないが『身バレ』することはほとんどない。自分の不注意で彼氏にスマホを見られたりするケースくらいだ」「会員だけが見えるサイトでしか販売しないから」と説得されます。それで最終的に同意して出演してしまうと、「大型新人デビュー」として、大手メーカーから販売されたりします。

そもそも、インターネット社会なので、必ずといっていいほど「身バレ」しています。女性は男性向けに販売されているAVを見ることはあまりないため、情報の質と量、交渉力の格差から、誤認や困惑させられて出演させられるケースもあります。

PAPSに寄せられる相談のなかには、そのときは話の流れで契約書には同意してしまったけれど、気持ちが揺らぐ人もいます。いざ出演すると思ったら怖くなって、やめたい気持ちを伝えても、AV制作会社やAVプロダクションは、「すでにスチール撮影も済んでるから」「すでにたくさん人が動いているから」などと、契約の解除を妨げられます。そして、撮影日が近づくにつれ、断りにくい状況に追い込まれます。

撮影当日は、恐怖や不安から、震えが止まらなくなる、体がまったく動かなくなどの症状が出る人もいます。なんとか断りの電話やLINEで連絡しますが、自宅まで押しかけてくる、バラシ代と称して、プロダクションから高額の違約金を請求されることがあります。しかし、たとえ請求されても支払わないことが大切です。
●いきなり頸動脈をおさえられて気絶、目に食塩水

−−制作現場はどうなっているのか?

たとえば、ハードコア系AVメーカーの面接に行った相談者は、いきなり頸動脈をおさえられて気絶させられたそうです。もちろん、そういう「プレイ」ができるかどうかを調べるということですが、極めて危険な行為です。

事前に知らされていなかった避妊具なしの性行為を求められ、撮影後監督から、海外製のアフターピルを渡されたり、目が充血したシーンを撮るために食塩水を入れられたりといったこともあります。妊娠したり、性感染症に感染させられた人の相談もあります。

撮影前には、監督面接がありますが、顔合わせ程度しか行われずに、具体的な撮影内容の説明は撮影前日に来た台本だったというケースも複数確認しています。

また、出演者の中には「監督面接で出演するかどうかを決める」と思っている人もいます。しかし、そこで出演を断ったら、あとから違約金を請求されたケースもありました。

さらに、この業界にはセクハラがないとされていますが、ある大手メーカーでは「試し撮り」という理由で、監督から撮影以外でも性行為を迫られたという相談も複数寄せられています。

−−ギャラはどうなっているのか?

割に合わないギャラしかもらえていないという相談も多いです。まるで自転車操業のように、来月の家賃を心配しながらの生活をおくる人もいます。知名度がある人でも、ひんぱんに撮影会を開いたり、アダルトチャットや、AVプロダクションと提携しているキャバクラで働くことを求められる場合もあります。

たった1日だけ、朝から深夜までの撮影をおこなって、合計6本のAVを販売されていた人もいます。だけど、もらえたギャラは10万円程度。その後にメーカーの面接を受けても、「もう6本出てしまっているから、新人扱いは厳しいよ」といわれて、凌辱ものやSMもののビデオをせざるを得なくなった人もいます。わたしたちは、これも被害の1つだと考えています。

−−もしトラブルに巻き込まれた場合、どうしたらいいのか?

どうか一人で抱え込まないことが大切です。先ほども言いましたが、一人で交渉すると、情報量や交渉力の格差があるために、うまく言いくるめられてしまいます。

AV出演に関して、これまで160件以上の相談が寄せられるなかで、わたしたちは、何もしないことが間違いだと気づきました。何もしないことは被害を拡大させます。まずは、勇気をもって支援団体に相談することが大事です。

あと、被害を訴えたら警察に逮捕されるのではないか、という間違った情報が流れていますが、決してそのようなことはありません。支援団体は相談される方の生き方を尊重しながら一緒に考えていきます。

もちろん、事前に被害にあわないことが大切です。たとえ撮影当日であっても勇気を持って相談してください。また、たとえ撮影後であっても販売停止ができた人は複数います。あなたは決して一人ではありません。どうか勇気をもって相談してください。

ポルノ被害 : AVに出演したけど、完成品を見てこわくなった…「流通」を

日時: 2016-08-06  表示:44回

弁護士ドットコム 2016年08月06日 10時58分

出演したアダルトビデオの流通を止めてもらえるのか−−。AV出演をめぐる問題が大きくクローズアップされるなかで、弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、このような相談が投稿されていた。

相談者は、お金のためにAV出演を決意し、プロダクション(マネジメント会社)と契約を結んだ。撮影までは納得していたが、完成したDVDを見たらこわくなり、流通を止めてもらうようプロダクションにもとめた。

だが、プロダクションからは、契約で同意しているうえ、コストもかかっているので「できない」といわれたそうだ。このような場合、法的にAVの流通を止めることはできないのだろうか。高木啓成弁護士に聞いた。

●プロダクションとメーカーに同意してもらうしか確実な方法はない

「アダルトビデオは著作権法上、『映画の著作物』というあつかいになります。映画の出演者であるAV女優には、実演家の『著作隣接権』という権利が発生します。

実演家の著作隣接権には、自分の実演が撮影された録画物を頒布することを禁止する権利が含まれています。

ただ、今回の相談の場合、いったん許諾して『映画の著作物』に出演してしまった以上、その権利を行使することができません。また、AV女優とプロダクションとの契約でも、AV女優が著作隣接権を行使することができないように権利処理されています」

今回の相談のように、流通を止めることはできないのだろうか。

「昨年9月、『AV女優はAV出演契約をいつでも解除することができる』という裁判例が出ました。この裁判例によれば、たとえ出演契約の契約期間中であっても、AV女優は、プロダクションとの契約を解除して、その後の出演を拒否することができます。

ただ、ここでいう『解除』というのは、過去にさかのぼって契約が無効になるわけではありません。解除の時点から将来に向かって、無効になるということです。ですので、この裁判例によっても、今回の相談のように、いったん同意のうえで出演したAVの流通を止めさせることまでは認められていません。

したがって、法的権利として、撮影済みのAVの流通を止めさせることは難しいと考えられます」

では、流通を止めさせることは不可能なのだろうか。

「流通を止めさせるためには、プロダクションやメーカー(制作販売会社)に同意してもらうしか確実な方法がありません。

プロダクションやメーカーは、流通を止めることに同意する条件として、一定の損害賠償を要求してくると思われます。こちらに法的権利がない以上、基本的には相手方の言い値になってしまいます。

ですので、本当にAVに出演するかどうかは、後悔のないように、出演する前に真剣に考えてから決めなければなりません」

高木弁護士はこのように述べていた。

製作被害 : <AV出演強要>香西咲さん「私はこうして洗脳された」 (

日時: 2016-08-05  表示:49回

毎日新聞 7月29日(金)17時30分配信

 前所属事務所による巧みな囲い込みでアダルトビデオ(AV)に出演させられたと告発した現役AV女優の香西咲さん(30)が、毎日新聞の動画インタビューで、事務所社長A氏らから受けたという“洗脳”の内容を詳細に語った。

事務所関係者と特定の占師以外、家族や友人であっても連絡は遮断され、「考え方がポジティブになるノート」を繰り返し書かされたという。香西さんは「A氏は自己啓発セミナーに通い、そのノウハウを私たちで実践していた」とも証言した。

 A氏は取材に対し、「(AVに)出る意思がない人を出すことはない」と反論。香西さんが刑事告訴や損害賠償訴訟を準備していることを踏まえ、「事実は裁判で明らかになる」と語った。【AV問題取材班】

 ◇出来過ぎた「偶然」

−−前所属事務所による「洗脳・囲い込み」とはどのようなもの?

香西さん 家族や友達とも遮断され、ずっと「(経営者になる)夢のために」と聞かされてきました。相談できるのは事務所と(A氏が紹介する)占師だけで情報が完全に偏っていた。洗脳は具体的にされてみないと分からない、というか、されている時も気付かない。まだ完全に解けていないのかもしれません。

−−事務所の見極めは難しい?

香西さん 今はネットで所属女優や代表者を確認できますが、私の時は判断材料がありませんでした。事務所の名前も(聞かされていたものと)違ったし、「エロ」が一切書いてない芸能の契約書にサインしただけ。事務所を決める際はネットの反響や書き込みもチェックし、「1回入ったら辞められない」という覚悟でとことん調べてください。あと、スカウトには気を付けた方がいい。都合のいいことしか言ってくれませんから。

−−どのようにスカウトされた?

香西さん (週刊誌で一緒に告発した)佐藤さん(仮名)と私は、実は同じスカウトに声を掛けられています。有名アイドルがいる超大手事務所の名刺を出してきました。佐藤さんもちょうど事務所を辞めたところで、私も前の事務所が解散したところ。何か情報を聞きつけていたのかもしれません。偶然にしてはちょっと…。五反田駅でスカウトされて六本木ヒルズのレンタルオフィスに通され、そこで8カ月(A氏らと)話しました。時間も手間もすごくかけられていた。15人くらいに囲まれ、ずっと環境を変えさせられて。さすがにそこまでされると判断がつかなくなります。

 ◇まるで自己啓発セミナー

−−事務所について自分で調べましたか?

香西さん 社名を(ネットで)検索しても出ませんでした。まず、デビューするまでAVということを知らなかった。出演するのはイメージビデオだと聞いていたので、AV事務所をあまり調べていません。事務所のサイトがないことを問いただすと、A氏には「女の子を抱えるのは初めてだから」と言われました。

−−疑わなかった?

香西さん 知り合いの弁護士に相談したところ「この事務所には実体がない」と言われました。それをA氏に伝えると、「あるだろう。ほら」と、登記簿と印鑑証明を目の前にたたき付けられた。契約書の内容も直してくれて、「やりたいようにやっていい」と言うので、信用してしまったんです。

−−当初から弁護士に相談するくらい慎重だった?

香西さん そうですね。すごく慎重にやっていたつもりでした。所属事務所は一生もので、移籍するのも大変ですから。

−− それでも見抜くのは難しかった?

香西さん 難しい。最後の最後にはやっぱり信じたくなってしまった。納得いかない部分、なんとなく怪しい部分があっても(だまされていないと)思い込みたい。そこが洗脳なんだろうなと。精神安定剤を飲んで不安をかき消していました。(A氏の指示で)「ビジョンブック」という「ポジティブになるノート」も書いていました。ブログにも「今、楽しくてしょうがない」とか、自分に言い聞かせるように書いていたんです。A氏は自己啓発セミナーによく通っていて、もともと心理学やカルトの好きな人。私たちを使って(ノウハウを)実践するのが楽しかったみたい。

 アメとムチを使い分けるんです。基本的に優しいのですが、「このままババアになって一生誰にも相手にされないぞ。それでいいのか」などとたまに脅す。(AVデビュー作の)発売直前に「やっぱり嫌です」と言うと、「ふざけるな。ここまでお前にどれだけ(金が)かかっているんだ」と言う。一方で、たまに泣き出して「お前が必要なんだよ」と言ってみたり、すごく人の心を操るのが上手でした。

−−A氏から「AVに出て」と直接は言われていない?

香西さん その通りで、ビジョンブック(に書くこと)を詰める時に「俺だったら『女』を最大の武器にする」と言うんです。過去にヌードになった女優や議員を引き合いに出し、「こういうポジションを俺だったら目指す」とずっと言われ、私はメモしていました。いつも「ストーリー仕立てのイメージビデオを3本作って起爆剤にする」と言っていましたが、今になってみると、AVは3本契約が多いので「そういうことだったんだな」と分かります。

 ◇後輩たちも「夢の中」

−−名前も顔も出して告発すれば、業界内の反発も予想されます。もしかしたら、AV女優としての生命を絶たれるかもしれない。

香西さん 覚悟の上です。既に「SEXY−J」という(AV女優が歌う)ユニットのメンバーからは外されました。

−−なぜそこまで覚悟を決められた?

香西さん AVが夢にはつながらないことに気付き、ダラダラやっているのはよくないと思ったんです。「続けてもあと1年ぐらいかな」「その間にAVで失った人間関係や健康状態を取り戻そう」と思っていたタイミングで、出演強要が社会問題化しました。フラッシュバックにもずっと悩まされてきたので、いつか決着をつけなければいけないと思っていた。この(被害の)連鎖はもう止まらない。(A氏が)どんどん新しい子を入れているのも分かっていたので、世の中のためにもなると思いました。

−−今も同じような目に遭っている女優がいる?

香西さん いますね。(被害に)気付いていないと思います。「夢の真っ最中」の子もいます。

<A氏は25日、毎日新聞の電話取材に応じた。一問一答は以下の通り>

 ◇女優との契約「見直す」

−−最初の撮影がAVだと香西さんに言わなかった?

A氏 私は立ち会っていないが、制作会社のプロデューサーが事前に本人に撮影内容を説明したと聞いている。

−−香西さんと2人で「今回はAVデビュー作だよ」と確認し合ってはいない?

A氏 しているとは思うが、説明と同意がないと撮影はできないので、(確認の有無は)うちの問題というより制作会社(の問題)。撮影できなくなれば、制作会社の損害も大きい。

−−デビュー作発売直前に香西さんから「やっぱり辞めたい」と言われた?

A氏 それはないと思う。

−−その時に「お前にどれだけかかったと思っているんだ」と言ったのでは?

A氏 一切、言ったことがない。

−−事務所スタッフで取り囲んで情報を遮断し、洗脳したのか?

A氏 本人が「提訴する」と言っている。そういう事実があるのなら、そこ(法廷)で明らかになる。

−−香西さんに占師を紹介した?

A氏 芸名をつける時に。画数のことなどがあるので。

−−はじめは出る意思がない人を出させるために(囲い込みなどは)必要な過程だった?

A氏 出る意思がない人を出す気はないし、出すことはない。

−−「出る気になるようにサポートする」ということか?

A氏 そういうことはない。

−−香西さんは「(A氏が)自己啓発セミナーに通ったり、カルトに強い興味を持ったりしていた」と話しているが。

A氏 特にない。

−−自己啓発セミナーには行っていない?

A氏 いや……。本を読んだりはする。「やる気を出す」とか、自分のためにも必要だから、勉強したいとは思っていた。

−−そのノウハウを使って女優に働きかけたことは?

A氏 それは特に……。そういうことをレクチャーできるわけではないので。

−−香西さんに取引先の社長の性接待をさせたのか?

A氏 「大人のおもちゃ屋をやりたい」と希望していたので、いろいろな人に会わせた中の1人。性接待させる気はなかった。2人がどういう関係になるか、制限する気はない。

−−出演強要が社会問題化している。事務所の運営や女優との契約について見直しは?

A氏 当然やっていく。今、弁護士と話して、きちんとしていこうとしている。

*        *        *

製作被害 : AV出演トラブルの法律相談「勝手に契約更新された」「断っ

日時: 2016-08-01  表示:58回

弁護士ドットコム 2016年07月30日 11時17分

アダルトビデオ(AV)出演強要問題が、大きく注目されている。トラブルに巻き込まれた出演者の支援団体によると、相談は増加傾向にあるそうだ。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにも、数年前からAVに関する相談が計20件以上寄せられている。どのような相談が寄せられているのか、紹介したい。
●「自動で契約更新」辞められず

あるメーカーの専属女優は2016年3月の投稿で、プロダクションとの契約解除を求めている。「精神的にも肉体的にもきつくてやめたい」。しかし、プロダクションに契約解除を申し出たところ、「あと2本残ってるしメーカーの迷惑だから出来ない」と却下されてしまったそうだ。

プロダクションとメーカーの間では、女性に断りなく契約本数が更新されていたという。女性がプロダクションに尋ねたところ、最初の契約は6本で、3本延長になったことがわかった。契約書は女性の手元にはない。

女性は「契約の更新があるなら、その時に聞いていれば更新しないという選択をしたかったです」と打ち明けている。
●形式上は合意していたが・・・

2016年6月に相談を寄せた女性は、10年近く前にスカウトされて業界入りした。たまたまお金が必要な時期で、言葉巧みに契約書を書かされてしまったという。辞めたいと伝えても、所属プロダクションは「もう契約決まっちゃってるから無理」と応じてくれない。

出演本数はどんどん増えるし、女性には著作権がないため、映像が二次利用、三次利用され、作品が「結構な数」になってしまった。女性が「身バレ」の不安を相談しても、プロダクションは「年に何百本も出るんだからまず顔バレしないよ」と再三説得してきたという。

女性はプロダクションについて、「表面上、乱暴・強要というのはなかったかもしれませんが、相手は騙しのプロです。言動での圧迫などはたくさんありました。形式上は合意の上かもしれませんが、いやだと伝えても断れないように続けさせられ、最後は逃げるように辞めました」と不信感を打ち明けている。

女性は「身バレ」に怯える生活をおくり、PTSDやフラッシュバックがあることもと告白している。6月に大手AVプロダクションの元社長が逮捕された報道を見て、DVDの回収などができないかと思い立ったが、肝心の契約書はプロダクションが管理していて、女性の手元にはないという。
●ゲイ動画に出演した男性からも

大半の相談は女性からだが、男性からのものもあった。ある男性は、プロダクションとゲイ動画の出演契約をしたものの、1本目に出演した段階で、嫌になってしまった。そこで、2本目の撮影をやめたいとプロダクションに申し出たところ、スタッフの準備を進めていることを理由に、300万円の損害賠償を求められたそうだ。

また、1本目の報酬の支払いを求めたら、2本目の撮影が終わらないと報酬を支払わないと言われてしまい、どう対応したらいいのか、困っているそうだ(2016年5月)。
●無修正で動画配信されて憤り

正規ルートのAVではなく、海外サーバーで配信された無修正動画に出演したと思われる投稿もあった。相談を寄せた女性は、自分の出演作品が無修正で配信されていることを後で知ったそうだ。

「無修正はするつもりはないとハッキリ言っていたし、なんの説明もありませんでした。しかし、担当者は『きちんと説明した。現場でも説明は必ずしている。契約書にも書いてある。私たちは悪の仕事はしていない』と言い切っています」(2016年1月)

この女性は、現場で英語の契約書を出されたことがあるという。「内容は変わらないからと言われサインしたのを覚えてます。担当者にあの英文の契約書かと聞くと話を逸らされます」

女性は動画は配信停止を望んでいる。「捨て駒同然の扱いを受けたんだとしみじみ実感します。金額も無修正となると全く見合わず、尚更自分が許可したとは到底思えません」
●流通したAVは回収できる?

ほとんどの相談者は強要の有無にかかわらず、AVの回収を求めている。その際、違約金が問題になることが多い。

たとえば、2015年8月に相談した女性は、「細々したものを撮る」などとしか言われていなかったのに、自分が主人公のような作品を撮られたという。女性はプロダクションに販売中止を求めたが、「1000〜2000万円かかる」と突っぱねられてしまった。違約金の減額や販売差し止めの方法がないかと弁護士に相談している。

女性は「一生取り返しのつかないことをしたと後悔しております」と悔やんでいる。撮影後に後悔する人は少なくない。完成品を見て怖くなったという女性(2016年5月)や、借金返済のために出演したが、知人にバレてしまった女性(2014年10月)などからも回収についての相談があった。

【編集部より】

製作被害 : AV出演強要「インディーズ作品」も課題に…個人撮影や無修

日時: 2016-08-01  表示:59回

弁護士ドットコム 2016年07月31日 09時47分

アダルトビデオ(AV)出演強要問題が大きな注目を集めている。NPO法人ヒューマンライツ・ナウが今年3月、被害実態を発表したことから社会問題化。政府が調査開始を決めたり、大手AVプロダクションの元社長らが労働者派遣法違反の疑いで逮捕されたりと、大きな動きが続いている。

被害者の支援団体「ライトハウス」と「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」によると、相談件数は増加傾向にあり、2016年は7月段階で前年の62件に並んだ。現行法では救済が難しい場合も多く、支援団体は立法による解決や業界の体質改善を求めている。

●現行法では「強要罪」などでの立件は困難

支援団体によると、出演強要の被害を訴えても、強姦罪や強要罪などでの立件は難しいという。契約書などによって、同意があったとみなされるからだ。支援団体は、出演強要問題が大きくクローズアップされる以前から、被害を訴えている女性を伴って、警察に相談してきたが、契約書や金銭の受け取りを理由に「門前払い」されることが多かったという。

支援団体は立法により、モデルやタレント募集を偽装した勧誘の禁止や、契約解除・販売停止などを簡便に行えるよう求めている。政府が6月、出演強要の被害実態を調査することを閣議決定したことから、今後、規制が検討される可能性がある。

●プロダクションと女優の関係性

出演強要問題で特に問題視されているのが、女優とプロダクションの力関係だ。本来、個人事業主の女優とプロダクションは対等関係。しかし、支援団体の報告では、女優の立場が低く、プロダクションに逆らえない状況が生まれている。

この点が問われたのが、6月に起きた大手AVプロダクション「マークスジャパン」の元社長ら3人が労働者派遣法違反の疑いで逮捕された事件だ。女優が、実質的な「労働者」とみなされれば、労働者派遣法や職業安定法に抵触する可能性がある。労働者を派遣するには厚生労働大臣の許可がいるし、そもそもAVへの出演は法律上、労働者の派遣が認められていない業務だと考えられるからだ。

プロダクションは業界にとってなくてはならない存在でもある。業界には、大手プロダクションから逮捕者が出たことで、「このままでは業界が潰される」という危機感が生まれたという。

●業界内部でも「自浄」の動きが始まる

業界側にも言い分はある。近年は、自発的にAV女優になる女性が増えており、かつてに比べて問題は減っていると考えているからだ。強要問題で、業界に対する風当たりが強まると、ネット上には「業界全体が悪いわけではない」という関係者からの書き込みが相次いだ。

現在、業界内部では、自浄作用を示すため、問題が起きづらいシステム作りが始まっている。大手メーカーなどでつくる業界団体「知的財産振興協会(IPPA)」は、支援団体と話し合いの場を持ち、6月22日付で声明を発表。「プロダクションにも働きかけ業界全体の健全化に向け早急な改善を促していきたいと思っております」と表明した。

また、出演者側でも、AV出演者らによる団体「表現者ネットワーク(AVAN)」が7月に発足。元AV女優の川奈まり子さんが代表に就任した。

業界内部には、現在のシェアを守らないと、団体に加盟しない「インディーズ」や「同人」の増加を防げないという懸念もある。具体的には、無許可の撮影や無修正動画などだ。消費者がより過激なものを求める以上、多少の違法行為を伴っても、商品を提供しようとする業者が出てこないかが危惧されている。実はこの点では、支援団体も一致している。

ライトハウスの藤原志帆子代表は、「今は誰でもポルノを作れるし、日本人が見るポルノが海外から逆輸入されている。業界が浄化されたところで、海外サーバーから流されると太刀打ちできないという懸念があります」と語っている。

【編集部より】

製作被害 : <AV出演強要> 撮影会モデルと言われ「現場では断れ

日時: 2016-07-15  表示:94回

毎日新聞2016年7月15日 17時28分

現役人気女優の証言(上)

 人権団体による出演強要被害の報告、大手プロダクションなどの摘発、そして業界健全化に向けた新団体の発足−−。アダルトビデオ(AV)界を揺るがす「事件」が相次ぐ中、現場で働く人々は何を思い、業界の行方をどう見ているのか。現役の人気AV女優が匿名で毎日新聞の動画インタビューに応じ、身近な強要被害や自身の体験などを語った。3回に分けて紹介する。【AV問題取材班】

 この現役女優Aさんは20代。ある地方都市の出身で、自らAVに出演しようと決めて上京し、デビューを果たした。

 Aさんは「強要」の一例として、友人で元AV女優のBさんのケースを教えてくれた。約4年前、「撮影会のモデル」として連れていかれたのが実はAVの撮影現場で、「それが彼女のAVデビューになった」という。通常、AV制作会社のスタッフらは、事務所スタッフが女優として現場に連れてきた時点で撮影に同意していると思い込んでいるといい、「よほど気が強くないと、(本人はAV撮影を)断れない」と指摘した。

 Aさんがその後、Bさんの初めての撮影で相手を務めたAV男優に会った時に確認したところ、男優はBさんが強要されて撮影に臨んでいたことに全く気づいておらず、驚いていたという。

 Aさんは、Bさんのように現場で初めてAV撮影だと知らされるケースは「(他にも)ないことはないと思う」と証言。一方、出演強要被害が社会問題として大きく取り上げられることについては、「職業差別を助長するんじゃないか」と懸念を示した。AさんはAV女優として働いていることを秘密にしており、「今、このタイミングでは親にばれたくない」と複雑な胸の内を明かした。

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