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児童買春 : 買われる女子高生、日本はなぜ「JKビジネス」を撲滅できないのか (2019.06.25)

日時: 2019-06-27  表示:83回

The Guardian 2019.6.25

【記者:Tash Reith-Banks】
 じめっとした水曜日の夜。歌舞伎町の通りは人であふれ返っていた。ぼうぜんとした様子で街を眺めるか、自撮りをする観光客もいるが、多くはどこかの店へと向かう客だ。クラブの看板のネオンがまたたき、歌声が流れ、メイド姿の少女たちがバーの料金表を手にしている。

 東京はクレイジーな風俗街がある場所として有名だ。女性客を泣かせては涙を拭いてくれるイケメンのホストがいるクラブ、飲み物を注ぎ、客のジョークに笑ってくれるメイドがいるカフェ、悪名高い「ソープランド」まで、ありとあらゆる店が見つかる。

 お金を払って女子高生と一緒に過ごすことだってできる。サービス内容はお茶とおしゃべり。場合によっては公園での散歩や写真撮影も。肉体的な接触を含んだオプションを提供している店舗もある。

 昨年10月から支援団体「Colabo」は週に一度、ピンク色のバスを走らせ、計画的に選んだ場所に向かう。この夜、ピンク色のバスは新宿区役所前に止まった。Colaboのボランティアたちは、JK(女子高生)ビジネスに誘い込まれるリスクを抱えた10代の少女たちに安全な場所を提供したいと考えている。

 Colaboの仁藤夢乃代表は、少女たちは貧困と自尊心の低さに付け込まれ、JKビジネスのスカウトにそそのかされるケースが多いと話す。

「JKビジネス」という語は、カフェや店舗、ネット上のあっせん業者などによって提供されるさまざまなサービスの事業を包括的に指している。多くのサービスは、露骨に性的なものではない。学校の制服を着た若い女性たちが(簡易マッサージなどの)リフレ(「リフレクソロジー」の略)やマッサージを行ったり、写真撮影に応じてくれたり、折り紙を折ったりアクセサリーを作ったりしつつ下着を少し見せるような「ワークショップ」を行ったりする。

 多くの業者は、客に対して接触禁止という厳しいルールを導入しているものの、一部は肉体的な接触につながっている。報告されている「JKビジネス」の活動の大多数は、肉体的な接触はないものの、性交渉がないからといって、少女たちが何の害も受けていないというわけではない。

 2016年、児童買春や性的虐待に関する国連の特別報告者、マオド・ド・ブーア・ブキッキオ氏は日本のJKビジネスとポルノ産業に対し、深刻な懸念を表明した。

 日本から人身取引をなくす取り組みをしているNPO「ライトハウス」を創設した藤原志帆子代表は、14歳や15歳の子どもに性的な魅力を感じていると発言する男性を、まるで日本社会は許容しているかのようだと指摘する。

日本の売春防止法の抜け穴

 日本の売春防止法では「買売春」は一応、禁止されてはいるが、そこには重大な抜け穴がある。JKビジネスの場合、通常、18歳未満の子どもが風俗業に関わっていると、自動的に人身取引と見なされるが、日本にはまだ人身取引を禁止する具体的な法律が存在しない。

 児童ポルノの禁止法も制限されている。例えば、漫画やアニメ、CGによるコンテンツは規制対象にはなっていない。

 東京五輪開催が近づく中、警視庁は2017年、都内各地で増加していたJKビジネスの取り締まりに乗り出した。

 東京都議会で可決された「特定異性接客営業等の規制に関する条例」により、特定異性接客営業を行う場合は、公安委員会への営業の届け出が義務化され、18歳未満の少女の雇用が禁止された。また、学校や保育所、病院などの公的施設から200メートル以内に営業所を設置することが禁じられ、18歳未満にチラシを配布させたり、他の青少年を勧誘させたりする行為も禁止となった。

 警視庁少年育成課の中田弘之管理官は、警察としては取り締まりの効果が出ていると考えていると話す一方で、未成年者に対し、危険を周知して啓発を行うことも重要だと主張した。

 中田氏によれば、厳しい新規制によって取り締まりの対象となり、罰金を科された店舗は、昨年はわずか3軒だった。同氏は、条例が施行されてからこの2年、警察官が店舗の見回りなどを行ったところ、JKビジネスに就いている未成年の少女は確認できなかったと主張。その上で、抜け穴の可能性も指摘し、働いている少女もいるかもしれないと述べたものの、成人女性に制服を着せてJKビジネスと称しているのではないかとの見解を示した。

 だが専門家らは、事業者は法律をかいくぐる新たな方法を見つけ、問題が見えにくくなっただけかもしれないと指摘する。実店舗やカフェを持たずにネット上で営業する事業者が増え、他の事業と見せ掛けて営業を始めている可能性もある。

 Colaboの仁藤代表は、2017年にJKビジネスが規制されてから、「コスプレカフェ」など別の名称で今も営業している店舗もあると指摘する。事業者はソーシャルメディアを巧みに利用し、少女たちが目にするようなブログやツイッター、LINEなどに広告を掲載。ツイッターアカウントを開設し、ツイッターを利用している少女たちのアカウントをフォローするのだという。

 NPOライトハウスの藤原代表は、行政によるJKビジネスの取り締まりについて、表面的には良さそうに見えるが、他の形態の搾取を禁止する方策は何も取られていないという見方を示した。さらに、もっと力を入れて対処するべきなのは、(少女たちではなく)買春をする客側の方であり、子どもたちを商品として扱うことを許容している日本社会の精神構造を変える努力をすることの方が重要だと提言している。

警察は取り締まりの効果をアピールするが…

 おニャン子クラブの楽曲「セーラー服を脱がさないで」のヒットが、悪名高い1990年代のブルセラや援助交際などにつながったという意見もある。援助交際はその後、多様化し、商業化されて現在のJKビジネスとして知られるようになった。

 仁藤氏もまた、未成年者を啓発すべきだという警察の主張ではJKビジネスの需要を抑えることはできないと主張する。被害者である子どもだけでなく、搾取する側にも焦点を当てるべきであり、少女たちを教育するよりも、少女たちを買春する大人たちや搾取する側の啓発や取り締まりを行う必要性の方がはるかに高いと話す。ラグビー・ワールドカップや東京五輪の開催が迫る中で、仁藤氏と藤原氏の両団体が懸念するのは、物珍しさを感じて集まって来る大勢の観光客がもたらす(買春などの需要に対する)潜在的な影響だ。

 警察は、一部のJKビジネスが18歳未満の少女たちを雇っていないことを勝利として受け取っているかもしれないが、仁藤氏は問題の根源に触れていないと批判する。JKビジネスに従事している女性たちがたとえ法廷年齢に達しているとしても、女性たちが未成年の女子高生のふりをするという業務形態は、違法な児童ポルノの購買意欲を駆り立て、本物の女子高生たちを危険にさらし、未成年者を性の対象とするという、日本社会に横行している危険な文化に寄与することになるからだ。

 仁藤氏は、未成年の少女たちが性的に価値の高いものとして商品化され、消費される社会には問題があると指摘する。その問題への取り組みが行われるまで、Colaboのピンク色のバスは東京の風俗街を走り続けるだろう。【翻訳編集:AFPBB News】

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1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。


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