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その他 : 通称使用、企業の理解に限界 (2016.01.23)

日時: 2016-01-24  表示:2637回

毎日新聞2016年1月23日 東京朝刊

 昨年12月、最高裁は夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断した。「(旧姓の)通称使用が広まることで、不利益は一定程度緩和される」というのがその理由だ。しかし職場での通称使用を明文化したルールはなく、通称名を使いたい女性たちからは「通称使用に理解がない企業もまだ多い実情を知ってほしい」との声が広がっている。

 ●戸籍上存在しない

 「旧姓を使っている人は、1週間以内に戸籍名に変えてください」

 2014年夏、首都圏の化学メーカーで働く高橋亜紀さん(29)=仮名=は、人事部から送られてきたメールに目を疑った。通称使用を認めてきた会社が突然、認めない方針を打ち出したのだ。理由は、通称を使っていた社員について、公的機関から会社に問い合わせがあった際、戸籍名だったため、すぐに本人と確認できない混乱があったからだという。

 高橋さんは11年に研究職として入社。その後結婚し、夫の姓に改姓した。だが、それまで旧姓の「山口」で論文発表や特許申請をしていたため「キャリアが途切れてしまう」と、職場では旧姓を使い続けていた。

 「女性活躍」がうたわれる時代に、なぜ逆行する方針を出すのか。高橋さんは男性上司に抗議したが「でも山口亜紀は(戸籍上)存在しないよね?」と受け流された。通称が使えなくなることに反対する社員で、意見書をまとめることにした。

 賛同した人の中には、離婚して職場の名前も元の旧姓に戻したら「名前が変わったということは結婚したんだね。おめでとう」と言われ苦痛だったという人や、「女性は結婚したら姓を変えるもの。(職場でも)変えるべきだ」と指摘された人もいた。

 高橋さんたちは「通称を使っていても外部からの問い合わせに対するマニュアルがあれば、今回のトラブルに対応できたはず」「通称を使えず、キャリアが途切れることを上回るメリットはあるのか」などと訴える意見書を提出した。その約2週間後、会社は戸籍名使用の方針を撤回した。高橋さんがメールアドレスを戸籍名に変更し、社内外の人に連絡した後だった。

 この件を機に高橋さんは退社した。「管理職たちは当初、通称使用できないことに、女性社員がなぜここまで反対するのか分からない、という様子で驚いた。社会はまだ通称使用に冷たい」と訴える。

 ●人事管理にコスト

 民間調査機関「労務行政研究所」が、主に上場企業を対象に2013年に実施した調査では、約65%しか通称使用を認めていなかった。また国家資格が必要な職業でも、医師や保育士など旧姓の使用を認めない資格は約半数に上る(坂本洋子・NPO法人mネット・民法改正情報ネットワーク理事長の調査による)。

 ただ通称使用を認める企業にも、二つの姓を管理するコストがかかるのは事実だ。社員700人規模の東京都内の化学メーカーでは、通称使用を希望する社員が数十人程度のため、書類の性質に応じて戸籍名と通称を書き分けるなど個別対応を取っている。しかし、人事部担当者は「これ以上、通称使用の希望者が増えると対応が難しい」と漏らす。

 ●海外勤務で問題

 一方、社員の約8割を女性が占める都内の外資系小売業は、各人が二つの姓を持つことを前提にした人事管理システムを採用。だがパスポートは戸籍名が基本のため、海外勤務ではトラブルが避けられない。通称名を使うと別人扱いされるからだ。人事部の女性(39)は「別姓を選べない制度が、国をまたいで活躍する女性の足を引っ張っている」と懸念する。

 21世紀職業財団の岩田喜美枝会長は「優秀な人材を確保する意味でも、通称使用を認めることは企業側にメリットがある。将来的には別姓を選択できる社会が望ましいが、当面は産業界全体で通称使用の拡大を進めるべきだ」と話す。【反橋希美、鈴木敦子】


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