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ストーカー : 急増するクレームストーカー 謝罪要求口実に女性店員につきまとい なぜ対応難しい? (2015.02.13)

日時: 2015-02-14  表示:2825回

Business Journal 2月13日(金)6時1分配信

 商品やサービスに問題がないのに、店員の接客態度や電話窓口の対応に執拗に文句をつける人をクレーマーと呼ぶが、企業側の担当者が女性の場合、苦情を装ってその女性につきまとう「クレームストーカー」の被害が話題になっている。

 1月9日付毎日新聞記事『クレームストーカー:窓口女性に恋愛感情隠し接近』で、この問題を取り上げている。自治体の窓口担当の女性に対し、毎日のように職場に電話したり、窓口に何時間も居座った挙げ句、「女性の態度が悪い」「本人に謝罪させろ」などと半年間にわたってつきまとった男性や、育毛サロンの女性店長が顧客男性からサービスへの苦情を盾にしつこく面会を要求され、最終的には異動せざるを得なくなったうえ、男性から女性個人に対して慰謝料を請求する裁判まで起こされた例などが紹介されていた。

 実際、筆者の周囲でもストーカーとまではいかないものの、「笑顔で丁寧に接客することが売りの店なので、男性客に好意があると勘違いされることがよくある」という女性店員や、「取引関係維持のために毎月必ず訪問する客先の担当者から、特に発注がないのに執拗に誘われて困る」という営業職女性の声をよく聞く。

 被害があるのは明らかだが、前述の新聞記事などを見ても、こういったクレームストーカー事件は「対応が難しい」という論調で一致している。いったい、なぜなのだろうか?

●クレームストーカーの対応が難しい理由

 彼らのことをストーカーという認識で見た場合、「ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)」が適用できそうだ。しかし、同法で規制している「つきまとい」は、「恋愛感情その他の好意感情を充足する目的」もしくは「それが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」の場合に限られる。つまり、

・加害者はあくまで「顧客」
・つきまといの口実はあくまで「クレーム」
・加害者が「恋愛感情を表に出していない」

 これらに当てはまる以上、同法による規制は難しい。したがって、警察に通報もできず、対応に苦慮するケースが多いのである。

 では、具体的に加害者の行動がどこまで進めば、法的に対処できるようになるのだろうか。以下はケーススタディである。

・店員が「お引き取りください」と要求しても帰らなければ「不退去罪(刑法130条)」が適用される
・店内で店員の制止に従わず、大声を出し続けると「威力業務妨害(刑法234条)」が適用される
・店員に無理やり土下座させたり、謝罪文を書かせたりした場合は、「強要罪(刑法223条)」が適用される

 また、粗暴、痴漢、つきまとい、盗撮、のぞきといった行為については、各自治体が定めている「迷惑防止条例」等にも該当する可能性がある。しかし、上記が適用されて刑事事件として警察が介入しても、ストーカー規制法のように「警告」や「禁止命令」といった即効性のある対策は取れない。

 調べていくと、クレームストーカー問題に対する専門家のアドバイスは、主に以下のようなものになる。

・適切な法律知識を身につけた担当者を配置し、毅然とした対応を取る
・クレームストーカーに対する対応マニュアルを整備し、従業員に徹底する

 しかし、これだけでは安心できないという企業経営者や店主、そして被害者はどうしたらいいのだろうか。企業向けの危機管理コンサルティングを手がける平塚エージェンシーの平塚俊樹社長は、こう述べる。

「解決の一番のポイントは、会社がコンプライアンスの枠を超えて、社員個人に弁護士をつけることです。そうしないと、クレームストーカーの餌食になってしまいます。彼らに近づかないよう要求できるのは、法定代理人になれる弁護士しかいません。しかし、法律で判断すると、こういったケースは会社の事件ではなく個人の事件になってしまいます。そうすると、被害者個人が弁護士に依頼する必要があるのですが、それは費用的にも時間的にも不可能です。だから、会社がコストをかけて弁護士に依頼し、クレームストーカーに対して『今後一切の連絡を禁止、要件は文書にて当方へ』と通知するしかないのです」

 しかし、ここで現実的に厳しい問題がある。それは、このような案件を引き受ける弁護士が少ないということだ。

 弁護士にとって、この手の案件は対処に手間がかかり、自らも危険な目に遭う(クレームストーカーから逆恨みされ、今度は弁護士個人がクレーム対象になってしまうなど)リスクが高く、積極的に受けたい仕事とはいえない。

 そういった問題に対して、平塚氏はこうアドバイスする。

「実際には、依頼されて着手金を受け取った後は、何も対策をしない弁護士もいるようです。大切なのは、普段から弁護士個人といい関係を築いておくことです。いきなり訪ねてややこしい案件を持ちこんでも受任されないので、毎月の費用を払って顧問契約を結んでおくことです。言い方は悪いですが、彼らに恩を売っておけば、いざという時に頼りになります。つまり、日頃の人間関係が大事ということです」

●問われる企業側の姿勢

 会社にとっては、こういった問題にどれだけ力を尽くして対応できるかによって、その危機管理に対する評価も変わってくるだろう。

 社員が業務中に事件に巻き込まれてなんらかの被害を受けた場合、会社は「従業員に対する安全配慮を怠った」として、損害賠償の責任が生じるケースもあるからだ。

 一方で、こんな話もある。全国で顧客向けサービスの対応評価を行う、とある機関の会合の席でのことだ。参画企業の面々は「地方では景気が悪いといわれているのに、地元勤務の顧客対応オペレーターを募集しても誰も応募してこない」と愚痴をこぼしていた。しかし、その中で唯一、そういった求人に応募が殺到している企業があった。当該企業の担当者は、その理由を聞かれてこう答えたという。

「『クレーム対応は担当業務から外す』という条件をつけただけです」

 クレームへの対応が、いかに従業員のストレスとなっているかがわかるようなエピソードである。その上、クレーマーがストーカー化してしまっては、たまったものではないだろう。社会問題となりつつあるクレーマーおよびクレームストーカーへの対応は、企業にとって喫緊の課題といえそうだ。


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