ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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児童ポルノ : なぜ児童ポルノが公然と売られているのか!私たちの知ら

日時: 2016-09-17  表示:685回

週刊女性PRIME 2016年9月16日 20時0分

 少女はカメラ目線でニコニコ笑っている。露出度の高い水着に着替えると、不自然に股間を開く。カメラはその股間をズームアップする。改正児童買春・児童ポルノ禁止法が施行されてから1年2か月。目をそむけたくなる現実があった──。
国際人権NGOが約1年にわたる実態調査を報告

「街を歩くと、児童ポルノに見えるものが公然と売られていて、本当に児童がこんなことをやらされているのかと心が痛む。しかし、年齢確認はできない。法律が絵に描いた餅になっている。私たちは子どもを守れているのか」

 と伊藤和子弁護士は深刻な表情で話した。

 児童ポルノと疑わしいDVDや動画が販売店やインターネット上で売られているとして、国際人権NGO『ヒューマンライツ・ナウ』(本部・東京、以下HRNと記す)は5日、都内で記者会見し、約1年にわたる実態調査の結果を報告した。取り締まりを強化し、出演者の年齢を確認する仕組みづくりが必要と訴えた。

 冒頭の伊藤弁護士は同団体の事務局長。会見には、副理事長を務める千葉大学大学院の後藤弘子教授と理事を務める雪田樹理弁護士が同席し、

「“着エロ”やイメージビデオというジャンルならば児童ポルノに該当しないという誤った認識が広がっている」(雪田弁護士)などと指摘した。

 着エロとは、水着やレオタードなど「着衣のままのエロチシズム」を示す俗語だ。HRNが調査のために入手したDVDでは、18歳未満とみられる少女がきわどい水着姿で出演し、大股開きなど過激なポーズをとらされていたという。
性欲を刺激すれば、“絡み”がなくても処罰対象

 児童買春・児童ポルノ禁止法は18歳未満の児童を保護するため、児童の性交や性交類似行為を記録したポルノの製造、販売、所持などを禁じている。\'14年の法改正によって「自己の性的好奇心を満たす目的」で単純所持しているだけでアウトとなり、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられる。児童ポルノには次の内容も含まれる。

《衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって、ことさらに児童の性的な部位(性器等もしくはその周辺部、臀部、胸部)が露出され、または強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ、または刺激するもの》(同法第2条3項)

 つまり、水着姿で股間やバストを「ことさらに強調」し、「性欲を刺激」するものであれば、セックスシーンなどの“絡み”がなくても処罰対象になる。
出演者の年齢が確認できないと取り締まれない

 HRNによると、調査に着手したのは昨年5月のこと。「東京・秋葉原のDVD販売店3店舗を定点観測するとともに、ネット上の販売サイトもチェックした。児童ポルノではないかと疑われる作品は計16本あった」(伊藤弁護士)

 タイトルには「小〇生」「6年生」「現役JC」などの文字が躍り、パッケージ裏面に「未成熟のロリを食い荒らす本気のレイプ」と記した作品も。

 しかし、本当にタイトルどおりの年齢なのか確認することはできなかったという。

 HRNは、性虐待された被害児童への往診経験が豊富な小児科医にこれらのDVDのパッケージ写真や動画を8点提供して所見を求めた。

 医師は6点について「小学校高学年・中学生〜18歳未満と思われる」と回答。顔つきやお尻の筋肉のつき方、骨格、乳房や陰毛の発育などから総合的に判断したという。

「18歳未満かどうかわからないという現状が、いちばんの問題なんです」(後藤教授)

 HRNは報告書で、出演者の年齢が確認できないために取り締まりが行われず、審査・流通・販売段階でのチェック体制も不備だとしている。
卑わいなポージングをさせられる思春期の少女が心配

 具体的には、児童ポルノの疑いがある作品はどんな内容だったのか。後日、あらためて後藤教授に聞いた。

「局部に水着が食い込むような格好をさせられたり、開脚するポージングをとらされていました。あるいは水着を濡らされ、アイスキャンデーを舐めさせられる。どう見ても不自然で性的なことを連想させる。少女が生活する中で大股開きになるシチュエーションなんてそんなにないでしょう? あったとしてもお母さんに怒られます。児童ポルノの目的でつくっているとしか思えません」

 と後藤教授は説明する。

 法に触れるかどうかだけを問題視しているわけではない。思春期の少女が心配という。

「卑わいなポージングをさせられた少女は傷つきます。DVDに出演することが初めての性的な経験かもしれない。こういうポーズをとれば男性は喜ぶと思い込んでしまうかもしれない」(後藤教授)
「親が悪い」というひと言では片づけられない

 たしかに、心身とも未発達な少女が撮影現場で大人たちに乗せられ、過激なポーズで視線を集めるのは問題があるだろう。一方で、少女の保護者にも責任はないか。

「未成年者ですから、親が撮影現場に同席している場合も少なくないと思います。しかし、母親がDV夫に脅かされて撮影に同意しているだけかもしれないし、生活苦で追い詰められているのかもしれない。

 ひどい母親がいるよね〜というひと言では片づけられないと思います。製作・流通過程で複数の大人が絡んでいるわけですから、社会の一員として“もしかしたら自分たちも加担しているかもしれない”という意識を持ってほしい。問題のある作品が平気で売られているわけですから」(後藤教授)
19歳が15歳を演じても、それは“メッセージ”になる

 一方、年齢が断定できない作品で18歳以上の女優が少女を演じているケースもあるだろう。現行法では児童ポルノには当たらない。

 しかし、後藤教授は「仮に19歳の子が15歳を演じていたとしても、視聴する男性は作品の中に15歳の少女を見る」として次のように話す。

「15歳の子が性的な対象として存在しうるんだというメッセージになる。EU諸国では、出演女優が何歳であっても児童に見える作品は販売できません。ランドセルを背負うなんてもってのほかです。私は、子どもに見えるポルノは規制すべきだと思います」
“しずかちゃん”のお風呂シーンはなぜ問題か

 表現規制は難しい。かつて児童ポルノ規制をめぐっては、漫画『ドラえもん』のヒロイン・しずかちゃんのお風呂シーンが児童ポルノに該当するか議論が分かれるなど波紋を広げた。結局、実在しない少女だとして規制対象外となった。芸能界で活躍する18歳未満の少女もたくさんいる。

「例えば、アイドルグループのプロモーションビデオで、制服を着ていたアイドルが急に水着になって胸が強調される。『ドラえもん』でお風呂に入るのはしずかちゃんばかりで、のび太くんやジャイアンの入浴シーンはそんなにありません。社会全体で子どもを性の対象としない努力をすべきと考えています」

 と後藤教授は話す。
着エロDVDに鼻の穴をふくらませる年配客

 HRNが調査したとみられる店舗に行った。

 フロアごとに熟女モノ、SMモノなどと分かれ、着エロとロリコン物をそろえたフロアがあった。通路はすれ違うのも難しい狭さでDVDを並べた棚がびっしり。60代とみられるスーツ姿の男性客は、パッケージに「つるぺた」「ロリ娘」と書かれたDVDを手に取って鼻の穴をふくらませていた。30代とみられる男性客は、両手に5、6本のDVDを持って吟味していた。

 本誌は、HRNが問題視した作品のうち2つを報道目的で購入した。会計カウンターの男性店員に「これ、児童ポルノで捕まるんじゃない?」と尋ねると、店員は少したじろいで「いや……、大丈夫だと思います」と答えた。
大股開きする少女の笑顔が痛々しい

 作品Aのパッケージでは少女が片脚を高く上げている。裏面には出演少女のプロフィールが記載されており、生年月日は「2000年」とある。事実ならば現在16歳。\'14年に製作しているので14歳当時の作品ということになる。笑顔のかわいい女の子だ。

 胸元がざっくり開いたワンピースで登場。「おにいちゃん早く、早く」とカメラ目線で呼びかけ、洗車中に「濡れちゃうから脱ぐね」とスクール水着になる。カメラは後ろからふくらはぎ、太もも、股間となめるように追う。

 ビキニに着替えると、足を広げて前屈し、浅い胸の谷間をのぞかせる。なぜかフラフープにまたがって腰を左右に揺らす。風呂場でアイスキャンデーをほおばる。視聴者を「おにいちゃん」と設定しておきながら、ストーリーに一貫性のない内容が1時間以上続いた。

 作品Bは2時間弱。タイトルに「1年×組」とあり、HRNが依頼した医師が「小学生または中学生と考えられる」と判断した女の子だ。

 1人でツイスターゲームをして、わざと遠いところに足をついて大開脚。庭の家庭用プールで水着を濡らし、カメラは水中から股間のアップを狙う。ビキニでお風呂に入って立ち上がると、股間から水がポタポタ。初めての撮影だったらしく、締めくくりのインタビューで「緊張して難しかった」と答えていた。
児童ポルノではなく『児童性虐待記録物』

 児童ポルノの問題に詳しいジャーナリスト・渋井哲也氏は「何をもって“ことさら強調した”といえるかは判断が難しい」と指摘する。

「インターポール(国際刑事警察機構)は、児童ポルノではなく『児童性虐待記録物』と呼ぼうと提言している。撮影過程で性虐待があれば違法になる。

 作品という表現の結果をどう受け止めるかは人によって異なるので、表現過程を重視したほうがわかりやすいのではないか」と話した。

製作被害 : 「騙されてAV出演」ユーチューバー・くるみんアロマさん動

日時: 2016-09-16  表示:639回

弁護士ドットコム 2016年09月03日 10時25分

アダルトビデオ出演強要問題が大きくクローズアップされる中、「事務所に騙されてAV女優になった」と公表したユーチューバーがいる。アロマの効用について紹介する動画や、外国人にインタビューした動画などをYouTube?に投稿している、くるみんアロマさん(26)だ。

7月に朝日新聞「withnews」のインタビュー記事に登場し、8月29日からは、過去のAV出演に関して語った動画を全6回にわけてアップしている。彼女はどういう思いから過去を告白し、今回の動画を投稿しているのか。出演の経緯を含めて聞いた。

<動画>【AV出演強要】くるみんアロマさんが過去を語る理由

https://www.youtube.com/watch?v=jxyt6EZfF-Q

●「AV出演したら音楽させてあげる」といわれた

−−どうしてAVに出演することになったのか?

大学生だった2011年夏、新宿でスカウトから「グラビアできる人を探してる」と声をかけられたのがきっかけです。当時、グラビアをやりたいと思っていなかったんですが、高校時代にバンドサークルをやっていたこともあり、漠然と「音楽をやりたい」という気持ちがありました。

スカウトからも「グラビアにでたら、音楽のデビューもさせてあげる」としつこくいわれて、だったらと思って話を聞くことにしました。そのあと、芸能事務所の社長を紹介されて話がすすみ、就職も決まっていたけれどやめて、事務所に入ることになりました。

その年の秋、社長と一緒に雑誌の面接に行くことがありました。水着のグラビアの仕事だったんですが、わたしも22歳でギリギリだったので「ここでやるしかない」と思っていました。そのとき、社長は「この子はヌードもできます」といったんです。

びっくりしましたが、大手出版社ということもあり、なかなか受かるところじゃないと考えて、「できます!」といってしまったんです。そして、面接に受かったあと、撮影があり、週刊誌にヌードが載りました。

−−音楽の仕事はやらせてもらえた?

そういう仕事はまったくありませんでした。それで「仕事はないのか」と聞いたら、社長は「まずはAVに出よう。それから、音楽でも何でもやっていいよ」「AVに出演しても、歌を歌っているグループもある。時代は変わったから」といわれました。

当時、わたしはAVに対して、少なからず偏見をもっていました。だから「出たらアウトですよね?」といったんですが、事務所の人たちから「脱いだほうがかっこいい。中途半端にグラビアよりいいよ」と説得されました。

また、わたしが好きなアーティストの名前を出して、「おれの子どもが、その人の知り合いだから今度会わせてやるよ」といわれたこともありました。本当にバカだけど、それまで『人はウソをつかない』と思っている人間だったので、信じてしまいました。いまから考えると、すべてがウソだったんですが…
●初めての撮影…終わるまで帰してもらえず

−−撮影はどうだった?

わたしは元々、そういう行為自体が好きじゃなくて、痛かったし、出血もありました。だけど、終わるまで帰してもらえません。何度も泣いて、何度も撮り直しがつづきました。

撮影スタッフからは「あなたみたいに時間のかかる人は初めてだ」「みんな家族がいるんだ。あなたが頑張らなかったら、みんなの家族全員の生活がなくなるんだよ。あなた背負えるの?」って怒鳴られました。

事務所のプロデューサーも「ここのメーカーは大きいから、あなたがちゃんとやらなかったら、ほかの女の子も出演できなくなるでしょ」って。だから、死ぬ気でやりましたよ。朝から深夜まで撮影がつづいて、最後はタクシーで帰りました。

わたしは、そのあと音楽ができるといわれたからやっただけで、AVに出演したいとは1%も思っていませんでした。

−−どうしてやめることになったのか?

2本目の撮影が終わったあと、事務所から連絡がなく、給料も入らなくなりました。そのあと、突然スカウトから呼び出されて、「社長がお金を持ち逃げしたから、事務所がなくなった」と告げられました。

スカウトからは、別の事務所に移籍という話がでました。「そっちでは音楽もやらせてあげる」といわれたんですが、その事務所を調べると、女の子はみんなAV女優だったんです。事務所に入っても先が見えず、音楽もできないと思ったので、「ギャラはいらない」といってやめさせてもらいました。
●「自分の生きざまを伝えたい」

−−出演したことに後悔はないか?

もちろんありますよ。「過去にそういうことがあったことがバレたら…」という考えが心のどこかにありました。そのせいで、自分に自信がなかったり、踏み出せないこともありました。ほんとに悔しいです。

だけど、後悔しても仕方がないから、今は前向きに考えるようにしています。YouTube?にも出会って、苦しみや悲しみも表現した人間になろうとしています。それが、わたしの表現の一つだと考えています。

−−どうして告白したのか?

ずっと隠したい過去でした。恥ずかしいことだし、騙されてかっこ悪いし、普通ならいいたくないことです。売名といわれたり、うしろ指はさされるかもしれないなど、メリットはないと思ったけれど、こうした被害が今も起きていて、なかには自分の命を絶った方もいると聞きました。

そんな女の子がほかにもいて、これからも出てくるかもしれないということが許せません。わたしが告白することで、望まないかたちでAVに出演して悩んでいる人を減らせるんじゃないかと思いました。

−−今後どういうことを伝えていきたいか?

わたしはユーチューバーで稼げているわけでもなければ、有名になりたいわけでもありません。嫌われる存在でもいいけど、自分の生きざまをたくさんの人に伝えたいと思っています。

女の子もそうだし、騙そうとしている悪い人にも、心のどこかに留めとおいてほしい。なにかの抑止力になるんじゃないかと思っています。

そして、望まないかたちでAVに出演しても、何とかやっていこうとしている人がいることを知って、元気になってくれる人がいたらうれしいです。

<動画>AV出演強要、ユーチューバーの過去「音楽デビュー信じた自分」

https://www.youtube.com/watch?v=a4ZCgdALkN8

性犯罪 : 【高畑さん不起訴】強姦致傷罪での起訴は裁判員裁判以降

日時: 2016-09-14  表示:560回

BuzzFeed? Japan 9月14日(水)7時25分配信

強姦致傷容疑で8月23日に逮捕された高畑裕太さんが9月9日、不起訴となり釈放された。弁護人もコメントを発表するなど、大きな波紋を広げている。実は今回のケースだけでなく、強姦致傷事件は不起訴になるケースが増えている。その背景は。
「示談が成立した」と弁護人

不起訴になった理由を、検察は明らかにしていない。一方、高畑さんの弁護人は、メディアに対してコメントを発表した。その中には、次のような一文がある。

「被害者とされた女性との示談成立が考慮されたことは事実と思います。しかし、ご存じのとおり、強姦致傷罪は被害者の告訴がなくても起訴できる重大犯罪であり、悪質性が低いとか、犯罪の成立が疑わしいなどの事情がない限り、起訴は免れません。お金を払えば勘弁してもらえるなどという簡単なものではありません」

示談とは、相手に慰謝料を支払ったり、謝罪したりして、裁判外で和解することだ。今回、高畑さん側と女性の間でどんな示談が交わされたのか、その内容は公表されていない。
非親告罪だが・・・

コメントにもある通り、強姦致傷罪はルール上、被害者の告訴がなくても起訴することができる。

ただ実際には、被害者の協力がなければ、犯罪を立証することは難しい。そのため、被害者が刑事裁判を望まない場合は、起訴されないことも多いとされている。

法務省の「性犯罪の罰則に関する検討会」が出した報告書では、メンバーの専門家たちから、次のような意見が出ている。

「強姦致死傷罪等の場合であっても、被害者の意思の確認は行われている」

仮に強姦罪を非親告罪にしたらどうなるか、という議論の中でも、次のような発言があった。

「被害者の協力がなければ立証も難しく、被害者が望まなければ起訴をしない方向になると思われる」

では、なぜ今回は起訴されなかったのか。
逮捕直後から連日報道

逮捕時には、容疑者がテレビ出演している有名人とあって、多くの報道があった。朝日新聞は8月24日、次のように報じた。

「高畑容疑者は23日午前2時〜2時半ごろ、前橋市内のビジネスホテルの客室で、40代の従業員女性の手足を押さえつけるなどして強姦し、右手親指などにけがを負わせた疑い。高畑容疑者は歯ブラシを部屋に届けるよう要望。客室へ届けに来た女性の手首をつかんで、無理やり部屋に連れ込んだという」

「実刑」という予想

逮捕後に出た一連の報道の中には、元検事の弁護士が、判決を占うつぎのようなコメントをしている記事もあった。

「過去の事案からすると、恐らく高畑容疑者は4、5年の実刑判決。強姦致傷罪の場合、裁判員裁判で行われるので、もう少し重い実刑判決を受けるのでは」
起訴件数は激減

こうした報道からすれば今回は突然、不起訴になったという印象も受ける。だが、わいせつ犯罪に詳しい奥村徹弁護士は「不起訴になる可能性も少なからずあった」と話す。

「強姦致死傷罪等」で起訴されるケースは近年、激減している。

検察統計によると、起訴された件数は、2006年には253件、2007年は239件だったが、2014年は85件、2015年は104件と減少している。

どれぐらいの割合で起訴されるかを示す起訴率も下落傾向にある。2006年には69.7%あったのが2014年には34%になった。
なぜ減った?

背景にあるのが2009年、一定の重い犯罪の裁判に一般人が参加する「裁判員裁判」の開始だと、奥村弁護士は指摘する。

「一般に、裁判員制度の導入に伴い、殺人罪などの起訴率が格段に低下しています。検察官が殺意の認定など、事実認定が微妙な場合を、軽い罪名に落として裁判官事件として起訴しているためと思われます」

「加えて、性犯罪の刑事事件は、進行によっては被害者が法廷で証言する必要があり、それが被害者の精神的負担だと言われています」

「強姦致傷罪は重罪なので、単純な事案でも裁判員裁判で裁かれます」
一般人の目に触れてしまう

「裁判員は守秘義務を負っているとはいえ、現場から遠くない地域の一般人の目に裁判記録が触れることになります。そこで被害者の負担を考慮して、裁判員裁判を回避しているものと思われます」

「被害者側も、そのような裁判員事件の審理を回避するために、やむなく捜査段階での示談に応じるという事例もあるようです。強姦致傷罪の場合は、示談すると単純強姦罪としての起訴もされないので、結局容疑者は懲役に服することはありません」
裁判員制度の問題

「一般には裁判所の統計などを根拠にして『裁判員制度によって性犯罪の量刑は重くなった』と理解されていますが、起訴件数が減り、懲役刑にならない容疑者が増えたことを考慮すると、逆に『裁判員制度によって性犯罪の量刑は軽くなった』とも言えます」

奥村弁護士はこのように述べ、裁判員制度のルールに疑問を呈していた。

いま政府は「性犯罪の厳罰化」に向けた議論を進めている。法制審議会は9月12日、強姦罪の罰則を重くし、非親告罪にすることなどを盛り込んだ刑法改正の要綱を答申した。改正案は今後、国会で審議されることになる。

製作被害 : <AV問題>有識者「もっと現場の知見を」 (2016.09.14)

日時: 2016-09-14  表示:569回

毎日新聞 9月14日(水)7時0分配信

 12日に内閣府男女共同参画会議の「女性に対する暴力に関する専門調査会」(会長・辻村みよ子明治大法科大学院教授)が行ったアダルトビデオ(AV)出演強要問題に関するヒアリングでは、2人の有識者がそれぞれの見地から被害防止策や法制度上の課題などについて語った。調査方法論や性産業研究で知られる神戸大大学院国際文化学研究科の青山薫教授は「現場の内情を知るAV業界人をもっと調査に巻き込んでいくべきだ」と強調。刑事法や北欧法に詳しい琉球大大学院法務研究科の矢野恵美教授は、スウェーデン刑法との比較から「日本では性犯罪の範囲が狭く、AV強要の処罰には壁がある」と指摘した。それぞれの発言の概要を紹介する。【AV問題取材班】

□青山教授の発言概要

<海外のポルノ規制>

 EU(欧州連合)や米国では成人(18歳以上)が合意して出演するポルノは合法。ただし、EUにはレイプなどを扱う「暴力ポルノ」を違法とする国もある。米国は(1)わいせつである(2)「性的攻撃性」を規定した州法に抵触する(3)「芸術的」などの価値が認められない−−の3要件がそろった場合、州法で制限できる。一方、アジア・アフリカ地域はポルノを違法・規制対象とする国が多い。

<注目すべき海外の知見>

 アメリカ国立衛生研究所が1980年代、アルコール依存症や薬物乱用の対策として打ち出した「危害軽減(ハームリダクション)アプローチ」は参考になる。「完全な禁欲」が現実的でない場合、どうすれば効果的に危険を減らせるかという具体策で、コンドームの無料配布などが10代の妊娠や性感染症の予防に効果を上げている。また、国連開発計画(UNDP)などが掲げる「エンパワメントアプローチ」も重要だ。取り締まりや規則でなく「当事者の力を引き出すこと」で事態を改善しようとする姿勢で、例えばセックスワーカーが主導するコミュニティーを支援すれば、人権じゅうりんを避けつつ継続的なHIV予防などを実現しやすい。

<調査に当事者の参加を>

 「エンパワメント」の考え方は、社会事象の当事者(マイノリティ)が中心となって解決策を探るという「当事者参加行動調査」の手法から生まれてきた。調査のプロセスを評価し、結果に織り込んでいくことが当事者の利益にもつながる。調査の実効性を高めるためにも現場を知る人を巻き込んでいくべきだ。AV強要に関する調査でも、内部の事情を知る人たちを「有識者」として扱い、こういった(国の調査会の)テーブルに招く必要がある。

<規制強化と「スティグマ」>

 フランスやノルウェー、オーストラリア、英国では性産業への規制強化がアンダーグラウンド(地下)化を招いたと報告されている。厳しく取り締まれば、産業がネットの世界に入るなどしてどこかへ行ってしまう。「スティグマ(汚名。ネガティブな意味のレッテル)」が強化され、労働条件は悪化し、働く人たちのネットワークが失われる。手段が目的を裏切り、当事者への危害を増やすことにならないかと危惧している。

□矢野教授の発言概要

<現行刑法の適用>

 日本の現行刑法でも処罰の可能性はある。「(出演しないと)撮った写真をばらまくぞ」と言えば「生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知」したことになり、脅迫罪に当たるだろう。しかし、「親にばらすぞ」だったら当たらないかもしれない。現場で意に沿わない行為をさせられたとすれば、強要罪に当たるのではないか。また、準強姦(ごうかん)・準強制わいせつ罪の「抗拒不能に乗じて」という要件は、モデル志望者を全裸にして撮影した事例(81年東京高裁判決)でも認められている。これは被害者が無知から「モデルになるには我慢しなきゃ」と思い込んだケースで、AV強要と親和性がある。

<立証、処罰の壁とは?>

 スカウトや事務所幹部など、現場にいなかった人の処罰には大きな壁がある。共同正犯、教唆犯、ほう助犯などの可能性はあるが「ゼロではない」という程度。現実には「あらかじめ相談している」「現場で犯罪を行う者に指示している」などの要件をなかなか満たしきれない。現場で行為をするのは男優だが、(強要されていることを)どこまで知っているのか。また、(面接や撮影は)基本的に密室で行われ、加害者は理論武装した複数の大人であるのに対し、被害者は若く1人である場合が多い。「契約があるから訴えても犯罪にならないぞ」などと脅されればあきらめてしまうから、そもそも警察に認知されない。

<スウェーデン刑法>

 「性犯罪は重大な人格権の侵害である」という基本的な考え方があり、捜査側にも「逃げ得」は許さないという強い思いがある。レイプ罪は、直接的な暴行だけでなく「深刻な恐怖を抱えていること」「その他の特別に危険な状況」などを不当に利用したと認められれば適用される。また、「社長とモデル志望者」のように明らかな地位の違いを利用すれば「依存状況にある者の性的利用の罪」が適用される。こうした条文はスウェーデンに限らず、かなり多くの国が持っている。被害者国選弁護人の存在もポイントだ。日本でも被害者の一部を日弁連などが支援しているが、より対象を広げた制度が必要ではないか。

<早期教育の必要性>

 刑事法には「被害が発生してからでなければ動けない」という限界があり、やはり啓発活動と教育が重要だ。啓発の対象は子供の親や教員にも広げるべきだ。親や教員の「だまされる方が悪い」という発言を聞いて相談できなくなったという子供も多い。また、「被害に遭わないように気をつけろ」という教育はスティグマを生むため、注意が必要だ。

製作被害 : AV強要は「氷山の一角」か? 支援団体代表が語る「差し止

日時: 2016-09-13  表示:628回

withnews 2016年09月13日

 若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられる被害が広がる中、支援団体の重要性が増している。6千人以上の女優がいると言われる業界。表面化する被害は「氷山の一角」なのか。映像がネットで拡散してしまう時代、問題のある作品の流通を止めることはできるのか。NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」の藤原志帆子代表に聞いた。(朝日新聞経済部記者・高野真吾)
イメージDVD、実はAV撮影
【NPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」は「本人の自由を奪い、意思に反した行為を強制し、搾取する犯罪である」「人身取引」の根絶を目指し、2004年に前身の団体が設立された。当初は売春をさせるために日本に連れてこられた外国籍の被害者を救う活動などをしてきたが、近年、AV出演強要被害の相談が増えてきた。】

 私たちライトハウスはPAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)と協力し、AVに関する相談と支援にあたっています。2団体に相談にきた女性は、2012年、13年は1人でしたが、14年から急激に増えて36人になりました。昨年は62人に上り、今年も8月末時点で74人となっていて、累計相談者は174人にも及びます。

 イメージDVDを撮ると聞いてスタジオに着いたら、全く知らされていないAVの撮影だった。最初の撮影も嫌々だったのに、契約書や違約金を盾に脅されて続けざるを得なかった。ほとんどの相談者が、こうした強要被害にあっています。

 14年に相談が急増した背景は定かではありませんが、今年とくに増えたのは「AV出演強要」の問題が、NHKや毎日新聞など各種メディアに取り上げられたことが大きいと考えています。

 一説にはAVに出演する女優の数は6千から8千人いて、うち毎年4千人から6千人が入れ替わると言われています。この数千人という母数に比べて、私たちのところに来る相談者の数は決して多いとは言えないかもしれません。そのため「強要被害は大したことない」と指摘する業界関係者の声を聞いたこともあります。

 しかし、相談者は「氷山の一角」と捉えるべきです。私たち支援2団体以外にも全国の女性シェルターや無料電話相談にも多くの女性の声が届いています。彼女たちは「強く断れなかった自分が悪い」などと自責の念を抱えている。多くの女性が、過去を話す時に涙を見せます。

 それでも一人で抱え込まずに、相談員に相談することができれば、一人で抱えていた心の重荷を下ろすことができるかもしれません。また、強要被害が明らかな場合は、AVメーカーや販売会社に掛け合い、過去の出演作品の取り扱い停止を求め、実際に成功する場合もあります。勇気を出せば、意図せずに出ることになった作品が永続的に視聴される「被害拡大」を防げる可能性が高いのです。

女性たちの声が届き始めた
【ライトハウスの藤原さんは、AV出演強要問題を社会全体で取り組むべき課題と位置づける。】

 政府は6月、閣議決定した答弁書で、AVへの出演強要は予防と根絶が必要な「女性に対する暴力」に当たるとしました。そして実態把握や相談体制づくり、民間支援団体との連携強化に取り組み始めたのです。ようやくですが、勇気を振り絞って支援団体らに寄せられた女性たちからの声が社会に届き始めたと言えます。

 この契機をぜひ生かしたい。AV作品の審査を行うNPO法人「知的財産振興協会」(IPPA)は7月、業界で定めたルールに従わず、必要な審査を受けていない作品を販売会社などが取り扱わないように求める声明を出しました。

 政府や自治体はDV、児童虐待などの既存の相談窓口を拡充し、AV被害の相談にも応じられるようにする。被害に遭う女性の多くが高校生、専門学校生、大学生のうちに声を掛けられるので、学校現場での啓発活動も有効です。

 日本社会はAVや風俗などでの搾取の構造に、あまりにも目をつぶってきました。もう放置できるレベルではありません。タブー視することなく、問題の解決に社会全体で動いていく必要があります。

販売停止までの道のり

 つらい過去に向き合い、今夏、行動を起こしたのが、ユーチューバーのくるみんアロマさんだ。7月8日、都内施設で被害者支援団体の相談員の女性2人と向き合った。くるみんさんは13年、2本のAVに出演した。

 長年、「本格的に音楽活動をしたい」という夢を抱いてきた。「AVに出れば後押しする」と語った所属事務所の「社長」を信じた。だが音楽活動を後押しする動きはなかった。今は「だまされた」と振り返る。

 相談員は聴取をもとに、「出演強要」にあたると判断。その場で作品を出しているAVメーカー1社(知的財産振興協会「IPPA」加盟)と、ネット上で作品を取り扱っている大手販売会社3社に対して、さらなる流通、販売停止を求める「通知状」と題する文書の作成を始めた。

本人の署名後に「内容証明郵便」

 文書は本人の署名後、「内容証明郵便」で郵送した。一連の相談は2時間ほど。相談は無料で、初回に限り文書を送る際の実費も支援団体が負担している。文書は本人の意向に基づき、AV女優名だけで送るか、本名とAV女優名を両方明記して送るかを決めているという。

 数日後、販売会社のうち1社からは、「戦略的検討その他諸般の事情により」「対象となる商品の販売および販売のための掲載を中止」するとの文書が支援団体に届いた。ほか2社は連絡がなかったが、相談員がネット上で掲載中止になっていることを確認した。

 AVメーカーからは10日ほどして、回答文書が来た。「当社が貴殿(くるみんアロマさん)を騙(だま)したり、脅したり、貴殿の意思に反してアダルトビデオに出演させたりした事実は全くありません」としつつも、「諸般の事情を考慮して貴殿の出演する当社作品の販売を中止することを決定しました」と知らせてきた。

 くるみんさんは現在、ネット上に拡散したAV出演時の画像を削除していくか検討中だ。グーグルに検索しても画像が表示されないように要請するほか、無断でアップしているサイトに個別にメールを出して削除を要請する。支援団体の相談員は、「地道に要請を続ければ、完全ではなくても不本意な画像はかなり減らせる」と語る。

 くるみんさんは「出演AVが速やかに流通、販売停止になりほっとした」と話したうえで、業界に対する意見を添えた。

 「女性が無理やりに出演させられた作品で、AVメーカー、販売会社などが利益を上げることはおかしい。こうした作品が生まれないように業界は動くべきだし、強要被害にあった女性からの取り扱い停止に対する訴えにはきちんと向き合うべきだ」

     ◇

 AVに関係する情報を募集しています。出演強要被害に遭った男性、業界の内情を語ってくれるAVメーカー、プロダクション幹部からの連絡をお待ちしています。

性犯罪 : 性犯罪の厳罰化、法制審が答申 刑法、大規模改正へ (2016.0

日時: 2016-09-12  表示:548回

朝日新聞デジタル 9月12日(月)17時45分配信

 性犯罪の厳罰化に向けた刑法の改正について、法相の諮問機関「法制審議会」(法制審)は12日、金田勝年法相に答申した。被害者の告訴がなくても罪に問える「非親告罪化」や、法定刑の引き上げなどが盛り込まれた。答申を受けて法務省は、来年の国会に改正法案を提出する見通し。成立すれば明治時代の制定以来の大規模な改正となる。

 現行の強姦(ごうかん)罪や強制わいせつ罪は、被害者の名誉やプライバシーの保護を理由に、被害者の告訴が立件の条件とされてきた。だが、罪に問うかどうかの判断が被害者に委ねられるのは、精神的な負担が重いとして、見直しを求める声が上がっていた。

 このほか、強姦罪の法定刑は、現行の「懲役3年以上」から「懲役5年以上」に引き上げる。現行では強盗罪の「懲役5年以上」より軽いため、引き上げを求める声が被害者に強かった。

 親から子への性的虐待などを罰する罪も新たに設ける。18歳未満に対して、生活を支える「監護者」が「影響力に乗じて」わいせつ行為などをした場合、強姦罪や強制わいせつ罪と同様に処罰する。現行の強姦罪などは加害者の「暴行や脅迫」が成立の条件で、「被害者が抵抗しなかった」として立件が難しいケースがある。新たな罪では、抵抗の有無にかかわらず、罰することができるようになる。

 「男性が加害者、女性が被害者」としてきた「強姦」の定義も拡大され、性の区別なく処罰の対象となる。(金子元希)

製作被害 : AV強要、元タレントも被害 ミスコン受賞歴、歌手の夢捨て

日時: 2016-08-26  表示:642回

withnews 2016年08月26日

 社会問題化しているアダルトビデオ(AV)への出演強要の被害者は、「芸能人になれる」などの釣り文句に騙された一般女性に限らない。芸能界に関する知識がある元タレントも、巧みな「囲い込み」による被害に遭っている。DVDの販売が見込めることから大々的に売り出され、親や親族、友人たちが瞬く間に知ることになる。親との絶縁、自殺未遂などを経験することになった20代後半の元タレントの女性が取材に応じた。(朝日新聞経済部記者・高野真吾)
「グラビアからいい形で芸能界に入れた」

 最初に芸能事務所に所属したのは、高校3年生の4月でした。その2カ月前に、東京・渋谷を歩いている時に、スカウトされました。浜崎あゆみさんや、「モーニング娘。」さんが好きで、「歌手になりたい」という夢をずっと持っていた。CMにたくさん出ているタレントさんがいたので、そこの事務所に所属しました。

 すると幸運にも、ある雑誌のミスコンをすぐに受賞できた。グラビアからいい形で芸能界に入れた。高校を卒業してから3年ぐらいは、タレント活動に専念しました。グラビア以外にも、地方局のパチンコ番組と衛星放送の情報番組のレギュラーの仕事が2本あって、たまに舞台にも出ました。両親も応援してくれていました。

「ずっとやっていける自信なく…」

 しかし、20歳になるぐらいから、将来が不安になってきた。その頃は、グラビアの仕事は10代の仕事という印象が強かったし、タレントとしてずっとやっていける自信もなかった。一番の夢だった歌手になれなかったということもあります。悩んだ末に、事務所を辞めました。安定した収入が欲しくて、雑貨店や洋服屋でのアルバイトを始めました。

 1年半ぐらいした2009年の夏、渋谷で芸能事務所の名刺を持った、男性スカウトに会いました。離れてみたら芸能界は刺激があり、友人もできるし、楽しかったと後悔し始めていた。また、その人の事務所に入りたいと思ってお願いしました。

 結果的には、以前に所属していた事務所との関係があるとかでダメでした。それでも、スカウトから「若いし、もったいない。俺の知っているすごい人を紹介する」と言われたのです。4カ月ぐらいして会ったのが、前所属事務所の社長でした。

「俺だったら、中国や海外を目指すよ」

 初めて会ったのは、東京・渋谷のマークシティのレンタルオフィスでした。スカウトと3人で2時間ほどの面談でした。社長からは「どんな芸能人になりたいの?」と聞かれました。具体的なイメージができていなかったので「アイドルとか歌の活動をしたい」と答えました。

 すると、社長は「俺だったら、日本だけじゃなくて、中国や海外に出て行けるような歌手、女優を目指すよ」と言いました。日本の経済は伸びていなくて、エンターテイメント業界も縮小しているから、と理由を説明しました。

 「芸能活動を成功させるには、投資が必要だ。お金をかける価値があるとキミを認めるか分からないけど、毎週90分ぐらい話をしていこう」。その場で手帳を開いて、次の約束を決めました。私はまじめな性格なので、約束があると足を運んでしまうのです。

「カジノ王の協力で、上海でコンサート」

 社長は面談で、私の売り出し方を詳しく語りました。

 第一段階では、イメージDVD3本を出して、男性のファンをつかむ。同時に女性誌にも連載を持って、女性ファンもつかむ。

 第二段階で歌手を始めて、中国で開催されるコスプレイベントやゲームショーにも参加する。日本の地上波で深夜番組にも出る。

 第三段階では、ネットでコンテンツを流通させつつ、(マカオの)カジノ王とイベントを開いて、彼にスポンサーになってもらう。

 最後の第四段階で、カジノ王の協力を得て、上海の大舞台でコンサートを開く、と。

雑誌を切り抜きイメージを形に

 彼の売り出し方にあわせるように、私も「ビジョンブック」と呼んだノートに自分の将来像を書き込んでいきました。見返すと、「世界」「中国」という単語がたくさん出てきます。

 「世界一の歌手になるには、歌唱力が必要」「世界一の女優になるのは、演技力が必要」。「中国に私をイメージした遊園地をつくる」「世界中に私モデルの携帯を発売する」という項目も出てきます。

 さらに、社長の事務所の女性相談係に手伝ってもらい、イメージをより形にする作業をしました。自分のコンサートのステージに馬車に乗って登場したいと考えたら、雑誌から馬車の写真を切り抜いて台紙にはる。ステージで着るドレスなども、同じように貼っていきました。

西麻布でサプライズパーティー

 翌10年の2月に、社長らのアドバイスに従って、両親と離れて一人暮らしをしました。日常的に会うのは社長と事務所の女性相談係など、社長の関係者ばかりとなっていきました。2カ月後に正式に所属契約をしました。

 5月には、関係者10人ほどが集まって、東京・西麻布のレストランで、私のためにサプライズパーティーを開いてくれた。出席者は「俺たちは家族だから」「私たちは家族だから」と語りかけ、「一緒に夢をつかもう」と盛り上がりました。

「言ったよね」と大声で怒鳴り舌打ち

 その10日後、イメージDVDの撮影だと言われて、東京・原宿のスタジオに向かいました。洋服を着たままの撮影の後、監督が当然のように命令したのです。「じゃあ、脱いでくれる?」。驚いてどこまでかを聞くと、「全部だよ」。

 驚いて、大泣きしました。撮影が絡みのあるAVだと、初めて知りました。急きょ駆けつけた社長は「言ったよね」と大声で怒鳴り舌打ちしました。

 この日の撮影が中止になった直後、社長と話し合いました。

 「今までずっと話をしてきたよね。AVはほんの最初だけで、1、2年、長くて3年やるだけ。その向こうの夢のためには頑張らないのかい」

 「いくらお金をかけているか分かる? 雑誌とか色々なメディアで宣伝して1億円ぐらいかけている。撮影が無理だと、親に請求がいくよ」

 親へのお金の請求が怖くて、6月上旬の撮影には応じざるを得なかったです。

 秋に雑誌で私がAVデビューするという記事が出ました。社長は、タレント活動をしていた時の名前をAV女優名に使い、雑誌のミスコン受賞者ということも全面に押し出しました。相談はありませんでした。当然、両親に知られる「親バレ」になります。母は「私はあなたを産んだことが人生の汚点だ」。父は「二度と帰ってくるな」。両親と絶縁状態になりました。
「私たちこそ家族だから支える」

 女性相談役に話しました。彼女は、親とのことを「大丈夫?」と心配しつつも次のように言ってきました。「目指している夢を邪魔するのは、実の家族でもダメだよ。私たちこそが家族だから支える」。続けて、一緒にいた男性マネジャーが「携帯の番号を変えなよ」と提案しました。「囲い込み」下だった私は、素直にその通りにしました。

 その後は、月1回の撮影が続きました。11年に念願だったCDデビューをしましたが、今思うと、それはAVを続けさせるための私への投資だったのでしょう。

 次第に体に異変が起きてきました。食事をしても、お茶を飲んでも吐いてしまう。摂食障害でした。電車やバスに乗ると、急に動悸(どう・き)が起こり、過呼吸になるパニック障害も発症します。ほかの乗客が自分の悪口を言っているように聞こえる幻聴にもなった。社交的な性格だったのが、対人恐怖症になりました。

「死にたかったら死ねばいいじゃん」

 13年夏になると、もう心身共に限界でした。当時、1年ほど付き合った後に、実はAVに出ていると打ち明けた彼氏がいました。その彼の目の前で「死にたい」とベランダに向かったのです。

 何とか私をなだめた彼が、社長に電話をした。私は「もう無理です。夢とか言っていたけど、雑誌の連載やテレビ出演もなかった。結局、私をAVに出させたかっただけですよね」と訴えました。すると社長は冷たく言い放ちました。

 「俺、今から上海なんだよね。忙しいんだけど、何、死にたいの? 俺には分からないよ、別に脱いだって減るものじゃないし。死にたかったら死ねばいいじゃん」

 当時、私はこんな文章を書いています。「正直夢を叶(かな)えてあげるから頑張ろうってずっと言われて頑張ってきた。でもどんどんどんどん自分の心も身体(からだ)も歪(ゆが)んでそれでもずっとずっと耐え続けた。でも夢より結局ビジネスね」

「イメージDVDだとウソをつかずに、説明を」

 この年の冬、AV引退を発表しました。もう十分に稼いだと思ったのか、社長は強く引き留めませんでした。

 両親との関係は現在も修復中です。母親がどうしても過去のことで色々と言うことやご近所の目が気になって、今もって実家に住むことはできません。私の人生をめちゃめちゃにした社長のことは許せません。現役AV女優の香西咲さんと一緒に、刑事、民事の訴訟準備をしています。相応の責任を取ってもらいます。

 AV出演強要に関して言いたいことは、やりたくない人間を巻き込まないで下さいということ。イメージDVDだとウソをつかずに、最初からAVだとの説明を怠らないで欲しい。私のような女性を二度と生んで欲しくないです。

ポルノ被害 : <AV問題>キカタン女優の闇と光(下)「もっと性をオ

日時: 2016-08-14  表示:635回

毎日新聞 8月14日(日)13時0分配信

 自ら志願してアダルトビデオ(AV)の女優となり、1年半にわたって活動した経験がある会社員の田中明美さん(仮名・30代)は、「プロの仕事に携わることができた」と当時を懐かしむ。意に反する仕事を強要されることもなく、業界にポジティブなイメージを抱いたまま引退することができたのは、「撮影内容を包み隠さず説明してくれる事務所を選んだから」と振り返り、怪しい事務所をかぎ分ける「嗅覚」の重要性を強調。一方で、周囲からの心ない中傷に悩んだ経験なども明かし、「もっと性に対してオープンな世の中になれば」と願いを込めた。【AV問題取材班】

 ◇丁寧過ぎるくらいの説明

 数年前、田中さんはとある事情で会社を辞め、実家で過ごす日々に退屈していた。「アルバイトでもしようかな」と考えた時、頭に浮かんだのがAVだった。元々、性にオープンな性格。AVプロダクション(女優の所属事務所)で働く知人がいたこともあって、「裏社会をのぞいてみたい」という好奇心にかられた。

 高収入アルバイト情報誌を買い、数社の面接を受けた。電話応対が悪いなど「常識がない」と感じる事務所が多かったが、1社だけ良識的だと思える事務所があった。面接では「女優には単体、企画単体(キカタン)、企画とランクがある」「撮影内容次第で出演料が変わる」「雑誌やテレビなどの露出媒体は自分で決められる」−−などと業界ルールを事細かに教えてくれた。多くの女優が恐れる「顔バレ」については「100%バレないようにするのは難しい」と正直に明かし、一緒に対策を練ってくれた。

 面接者はそれだけ徹底した説明の後で、「冷静に判断してください」と念を押した。田中さんは「中途半端な気持ちではできない」と覚悟を決め、この事務所に所属することにした。

 ◇「社会人経験が生きた」

 別の事務所の面接では、説明があいまいだと思うことも多かった。顔バレについて相談すると、「年間何万本ものAVが世に出ている。何人がデビューしていると思う?」とはぐらかされる。あけすけに「いくら稼ぎたいの?」と聞かれるのも不快だった。

 「私には、怪しい事務所をかぎ分ける嗅覚があった」。社会人経験があったことも大きいと感じており、「若い子だったら、これが当たり前だと思ってだまされてしまうかも」と懸念する。最近問題になっている出演強要被害についても、「私自身は見たことがない」と断った上で、「だます方はプロ。1回引っかかったら逃れられないのでは」と警鐘を鳴らす。

「私も含めて、安易に業界に飛び込む人がこの10年で増えた」と田中さん。「だからこそ(強要被害は)一度、世間にさらされないといけない問題だった。業界が一丸となって取り組んでほしい」。世話になったAV業界から、悪いニュースばかりが聞こえてくるのは悲しい。

 ◇仕事への「誇り」と周囲の目

 単体女優でスタートし、徐々に人気が落ちてキカタン、企画女優と活動の形を変えていくケースは多いが、その逆をたどるケースはまれだ。

 田中さんはランクや出演料は低いが「顔バレ」しにくい企画女優として歩み出した。撮影は月に3本程度。パッケージに顔も載らないような端役でも、スタッフは気遣ってくれた。「部屋やシャワーの温度を気にしてくれたり、撮影ギリギリまでガウンを脱がないようにしてくれたり」。苦労がなかったわけではないが、女優を支える「プロ」たちの仕事ぶりに驚き、魅了されることのほうが多かった。

 夢中で働くうち、企画女優の中でも人気の抜きんでた“キカタン”に成り上がっていた。撮影は多い時で月に20本。メーカーから「専属女優(単体)にならないか」と誘われたこともあったが、「一生続ける仕事ではないから」と冷静に断った。

 仕事にやりがいを感じていたものの、ごく一部の親友を除き、周囲にAV出演を明かすことはなかった。AV出演が悪いことだとは思わない。でも、その考えが社会にすんなりとは受け入れられないことも分かる。「引退して別の場所で働く時がくる。その時のためにも、絶対に秘密にしなければ」。撮影中にあった笑える出来事や有名な男優に会ったことなど、何気ない話を友人にできないのがつらかった。一方、学生時代の友人男性らが田中さんのAV出演に気付いてうわさしていることもわかり、隠し通すことの限界も感じていた。

 そのころ、田中さんはある男性と出会う。意気投合し、交際に発展しそうな雰囲気になった。「お付き合いするなら、知っておいてほしいことがある」。AV出演を明かすと、「それでも交際したい」と言ってもらえた。

 交際が始まると、AV出演を受け入れられない彼の苦悩を感じた。「誰かを傷つけるために始めた仕事じゃないから」と引退を決意。ただ、撮影スケジュールは半年先まで埋まっていた。申し訳なく思いながらも、すべての撮影を終えて引退。ほどなくして男性と結婚した。

 ◇正しい情報の発信を

 出産して母にもなった。ふと、怖くなることもある。「夫の両親や子供が知ったらどう思うだろう」「みんな知らないふりして、本当は知っているのかも」。結婚前、夫の友人がたまたま田中さんの出演作を見てひどい言葉をかけてきたことがあった。田中さん自身は「顔バレ」もある程度覚悟してきたが、家族が嫌な思いをするのはやはりつらい。

 AV女優として働くことの魅力や楽しさ、そしてリスク−−。「臭い物にふた」をするのではなく、正しい情報を発信していくことで偏見や強要などの被害を減らすことができると信じている。「性はもっとオープンでいい。そうすれば、若い子が無知なままチャレンジすることもなくなるから」。いつか、何らかの形で性にまつわる啓蒙(けいもう)活動に携わりたいという夢も膨らんでいる。(おわり)

DV : <大阪女性殺害>「50回以上殴った」逮捕の男供述 (2016.0

日時: 2016-08-12  表示:634回

毎日新聞 8月12日(金)22時27分配信

 大阪市福島区のワンルームマンションで女性の遺体が見つかった事件で、殺人容疑で逮捕された同市生野区巽中1、無職、***容疑者(42)が「(女性が)他の男と会っていたので腹が立ち、50回以上拳や棒で殴った」と供述していることが12日、大阪府警への取材で分かった。

 逮捕容疑は11日午前〜12日未明、同市福島区吉野3のマンションの一室で、住人で交際相手の無職、西山佳澄さん(40)を何度も殴るなどして殺害したとしている。「殺すつもりはなかった」とも供述している。

 府警によると、西山さんは9日朝、「交際相手に暴れられて逃げている。タクシーを呼んでほしい」と生野署に電話で相談。同署員が、**容疑者宅から逃げた西山さんのもとに駆けつけた。西山さんの右目付近にあざがあったため、署員が被害届の提出を促したが応じず、「仕返しが怖いの****容疑者に)接触しないでほしい」と訴えた。

 同日午後には自宅を管轄する福島署に「自宅近くにある実家に避難する。周辺を警戒してほしい」と相談したが、この際も被害申告しなかった。

 同署は西山さんの実家周辺を重点的にパトロールしており、「相談の取り扱いに問題はなかった」とコメントした。【道下寛子、村田拓也、山田毅】

ポルノ被害 : <AV出演強要>「消費者はレイプもの、デビューものにNOを

日時: 2016-08-12  表示:620回

弁護士ドットコム 2016年08月12日 10時05分

認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウが今年3月、若い女性たちが本人の意思に反してアダルトビデオ(AV)に出演させられている被害実態をまとめた報告書を発表して以降、AV業界をめぐって注目すべき大きな動きがあった。

政府は6月上旬、内閣府が民間団体からAV出演強要の被害状況をヒアリングするという閣議決定をおこなった。また、6月中旬には、AV撮影現場に女性を派遣したとして、大手AVプロダクション(マネジメント会社)の元社長ら3人が労働者派遣法違反の疑いで摘発される事件もあった。

こうした一連の流れをどうみればいいのか、AV出演に関するトラブルに巻き込まれた女性たちを支援する団体「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS/https://paps-jp.org)で、相談員として活動している金尻カズナさんに聞いた。
●大手メーカーでも止められない「流れ」ができている

−−AV出演に関するトラブルの相談状況は?

大手プロダクションが摘発された6月には、AV出演に関する相談が20件ありました(PAPSとライトウハウスの共同相談支援事業)。従来は多くて月10件ほどでしたから、突出した数字です。このプロダクションに関する相談も多数ありました。沈黙を余儀なくされた人たちが「困ったことを相談してもいいんだ」と思ったようです。

この事件は「被害の可視化」につながったと思います。「被害はごく一部」ではなく、むしろ「氷山の一角だ」ということが証明されたと考えています。このプロダクションに所属する女性からの相談は、もともと複数あって、注目していました。

−−事件を受けて、AVメーカー(制作販売会社)でつくるNPO法人「知的財産振興会」(IPPA)は業界の健全化に向けてプロダクション側に働きかけていく、という声明を発表した。どう評価するか?

わたしたちとしては一定の評価をしています。メーカーは映像を処分できる権限をもった「権利者」です。そのメーカーの責任にもとづいて積極的に被害救済に取り組んでいただければと思います。

ほかにも、いろいろな団体が被害救済に向けて動いています。「被害をなくしたい」という考えは同じだと思うので、情報共有も必要になります。AV事業者全体の改善に向けて、ぜひ被害救済という観点からご尽力いただければと思います。

−−業界全体の改善は期待できるか?

IPPAに所属していないメーカーもあります。IPPAに入っているメーカーが健全化しても、かならず業界団体に所属しない「インディーズ」が出てくると懸念しています。やはり、複雑になってしまった問題を解決するために、事業者自ら、一度ゼロから考え直してみる時期がきているのだと思います。

−−メーカーにはどんな「責任」があるか?

大手メーカーは、その業務に携わっている会社内の人たちにとって、ある意味で「クリーン」な会社だと思います。数字(業績)を追っている世界だからです。たとえば、ある大手メーカーでは、チームごとにノルマがあり、売れる作品を作り続けなければ、給与が大幅に下げられています。

そのために撮影現場では、つねに新人を発掘しなければいけなかったり、より過激なビデオや新人デビューものを作らなければならないなど、システム化されて数打てばあたるような薄利多売が横行しています。こうしたネガティブな循環が起きています。

そして、誰もこの循環を止められません。大手メーカーでもなかなか止められないでしょう。こういう状況のなかで、機械的に、面接、撮影、販売する流れがあり、つねに出演者が弱い立場に追い込まれていくと考えます。
●メーカーの問題点とは?

−−メーカーはどういう部分を改善していくべきか?

たとえば、女優のなかには、海外サイトのオリジナル「無修正」作品に出演している人も多くいます。本人が望んだことかどうかわかりません。

現在、とても残念なことに、プロダクションのなかには、所属女優を無修正ビデオ制作会社にあっせんしているところもあります。日本で無修正に出演させる行為は、わいせつ物頒布ほう助の罪に問われます。

しかし、プロダクションの担当者は、出演者に無修正であることを告げずに出演させている現状があります。こうしたプロダクションの一連の行為は、到底許されるべきではありません。

出演者を守る観点からも、無修正ビデオに出演させたプロダクションは、一刻も早く販売を停止するよう交渉して、出演者が被った不利益を保障すべきです。メーカー側は、このようなことをつづけているプロダクションと取引をしないことが重要です。

また、AV出演のスカウト行為は、市区町村の「客引き防止条例」などで禁止されています。AV出演の求人広告をおこなった者も、職業安定法63条2項に抵触します。PAPSに、スカウトや高収入をうたったネット広告により誘引・契約させられ、契約の解除を妨げられるなどして、出演を余儀なくされた相談者が多いです。

プロダクションおよびメーカーはコンプライアンスが必要です。コンプライアンスとは、企業の積極的かつ自発的に法令違反を防ぐこと、企業倫理を遵守することを指します。スカウト行為や高収入広告で人を誘引している構造は、人権侵害性を内包していることを指摘しておきたいと思います。

販売方法に関しても、出演者が意見できないことが多く、本人が予測していたこととは違って「身バレ」が前提となったかたちで販売されてしまうトラブルも多くあります。
●「出演同意」に関して改善するべき点

−−出演への同意部分については?

本人同意に関しては、現在のところ、以下の3つが指摘できると考えます。

(1)出演することのマイナス影響に関する説明を十分におこなうこと

メーカーも、出演者に対して、とくに出演におけるマイナス面を重要事項としてきちんと説明すべきだと考えます。たとえば、撮影では、避妊しない性交行為が実際におこなわれる場合があります。このことに関して、性感染症や妊娠などのリスク、あるいは極めて暴力的な撮影の場合の身体への損傷が起こりうること、販売における身バレの確率性の高さなど説明したうえで同意をとるべきです。

(2)同意形成の実質的なプロセスの検討を

20歳前後で出演した人からの相談のなかには、応募した当時はAV業界のことがよくわからなくて<同意>したという人がいます。自分自身の究極のプライバシーをさらす行為に関する<同意>の意味について、『サインをしたから』と理解するこれまでの外形的なものではなく、実質的に本人がどの程度理解しているかを厳密にかたちに残す方法が模索されるべきでしょう。

(3)「同意がつづく期間」の明確化

行為の内容からいって、その<同意>が未来永劫有効とされるべき性質のものではありません。5年後や10年後もその同意が有効としてあつかわれている現状は改めるべきです。しかし、契約などでは、出演者のパブリシティ権はメーカーが保有するとされて、出演者は無権利状態に置かれています。

そのため、一度出演すると引退後も販売されつづけています。その当時、同意したかもしれないけど、引退後に生きづらく感じてしまう人がいます。性行為は「究極のプライバシー」ですので、一般化して議論すべきではなく、法整備も検討してよいと思います。
●消費者が「NO」をつきつけるべき

−−ほかに問題点はあるか?

ある大手メーカーの出演同意書では、出演者に対して、パブリシティ権を放棄するように書かれています。パブリシティ権とは、法的な規定はないものの、プライバシー権の1つとされ、個人の肖像をみだりに使われるのを防ぐためのものです。

しかし、大手メーカーの出演同意書を見る限りでは、出演者はパブリシティ権の一切を放棄する内容になっています。このような内容は、本来であれば「無効となるべき」と考えます。また、すでにAV出演をやめて時間が経過しているにもかかわらず、オムニバス販売(すでに販売された複数のAVをひとつにまとめ直し、新たなAVとして販売すること)されるなど、映像の二次的利用がおこなわれています。

パブリシティ権を乱用してきたのが大手事業者です。今後は、本来あるべきかたちのパブリシティ権に戻して、これまで、みだりに行使されたパブリシティ権は、出演者に返還されるべきだと考えます。

これらの制作過程の問題に匹敵する最大の問題点は「需要・ニーズ」だと考えています。わたしたちは決して、AVそのものを否定しているわけではありません。ただ、被害をなくしたいだけです。個人的な意見として、人権侵害性のないAVがあれば、肯定されるべきです。

出演者の問題ではなくて事業者側の問題です。本当に出演したい人、プロ意識のある人たちが、自らその内容や場をコントロールして出演しているならば、問題になることはありません。

一方で、事業者側は過剰に「需要・ニーズ」を煽るところがあると思います。「レイプもの」など徹底的に女性への差別や憎悪をテーマにした過激的作品をつくったり、処女性とその凌辱をテーマにした「新人デビューもの」を量産しています。

通常であれば、監督は演技による迫真性を求めますが、ある相談者は「演技は不要で、実際に出血し苦悶する様子の迫真性を撮影された」と述べました。本当の意味で演技なら「本番行為」「中出し」も必要ないはずです。過激な映像が制作される理由は、そこに需要があるからだと考えます。

需要はより強い性的刺激を求めています。メーカーは消費者の要求に応えるために、より刺激的なシチュエーションを設定して撮りつづけているという、被写体にされる人たちにとっては『最悪のスパイラル』が形成されているのが現状だと考えています。

ある男性からは、「自分はAVが好きだけど、やっぱり消費者だから、AVを批判することに後ろめたさがある。人権侵害性のないAVが見たい。レイプまがいのことがおこなわれているのはおかしい」という話を聞きました。

消費者も、人権侵害性のあるAVには「NO」と突きつけることが大事です。消費者が「NO」と「YES」をどう識別するのか、今のところその方法はわかりません。しかし、消費者の意識が変わらないことには、事業者側も変わらないと思います。

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