2007年11月18日21時2分配信 産経新聞
インターネット上の有害情報の閲覧を制限できる「フィルタリング機能」について、東京都内の中学生で携帯電話に導入しているのは約2割にとどまることが、警視庁の調査で分かった。携帯からのネット接続がきっかけとなる事件は後を絶たないが、別の調査では父親の6割、母親の8割が存在を「知らない」と回答するなど、保護者の認知度にも問題がある。専門家は家庭の“意識改革”を呼びかけている。
■使用「1%前後」
警視庁少年育成課が、都内の中学1?3年生計5499人を対象にしたアンケートによると、フィルタリング機能を利用しているのは携帯所持者の23%。学年別では、1年生が33%、2年生が20%、3年生が18%だった。
ただ「都内はまだましなのではないか」(ネットセキュリティー企業関係者)というのが専門家の見方だ。内閣府が7月に発表した「情報化社会と青少年に関する意識調査」(全国の10?29歳の男女2468人対象)によると、携帯・PHSでネットに接続している子供のうち、フィルタリング機能を使用しているのは、小学生が1・2%、中学生が0・8%だった。
携帯をめぐっては出会い系サイトを介在し、少女が被害者となる買春事件が絶えない。ここ数カ月の警視庁管内の事件を見ても、***(43)が中3女子(14)に、国土交通省の航****(24)が高1女子(16)に、それぞれわいせつな行為をしたとして逮捕されている。携帯の「裏サイト」を使って少女を募り、窃盗団を結成していたとして主犯格の男らが逮捕された事件もある。
“携帯=犯罪の温床”ともいえる現状だが、ネックなのがフィルタリングへの保護者の認知度の低さだ。内閣府の調査では父親の63%、母親の80%が「知らない」と回答している。
■「18歳まで必要」
携帯のフィルタリング機能は、携帯各社が無料で提供している。大きく分けて、事業者の基準を満たした企業や団体の公式サイトしかアクセスできない「ホワイトリスト方式」と、「アダルト」「暴力」「出会い」「自殺」など子供に見せたくないホームページのリストを作り接続を遮断する「ブラックリスト方式」の2つに分けられる。どちらも掲示板への書き込みやアダルトサイトの閲覧など、大幅に機能が制限される。
保護者が設定すると、基本的には利用者の子供は解除できない。親権者が携帯会社の窓口でなければ解約できないなど条件が設けられている。
設定するとほとんどの場合、若者に人気のプロフ(自己紹介サイト)の利用もできなくなる。「子供にせがまれる形で解除してしまう親も相当数いる」。インターネット協会の大久保貴世主任研究員は“甘い親”の存在を語る。
大久保さんは、18歳ぐらいまではフィルタリングは必要だと訴えている。「アダルトサイトがあったからネットが普及したとも言われるほど、ネットはいわば大人のもの。携帯が発端となった事件が続発するなか、親が危機意識を持つことが重要」と呼びかけている。