福井新聞ONLINE 9月20日(木)12時23分配信
若年層対象のデートDV(ドメスティックバイオレンス)防止教育講座が19日、福井県敦賀市立看護専門学校で開かれた。近年、被害が複雑化、深刻化している現状を踏まえて専門家が講演。学生らは健康への影響も含め、理解を深めた。
敦賀市は2002年に女性相談窓口を開設した。男女共同参画室によると、11年度のDVに関する相談件数は21件。本年度は4〜8月の5カ月間で23件あり、既に昨年度の総数を上回っている。警察や法務局とも連携して対応に当たっているが、潜在化している暴力もまだ多いという。
講座は、DVが重大な人権侵害であることを若者に知ってもらい、防止につなげようと、市が高校、短大などで開いている。
この日は、男子学生8人を含め、同専門学校の1、2年生合わせて65人が参加。福井大医学部の長谷川美香教授が「デートDV 気づくこと・学ぶこと」と題して講演した。
長谷川教授は「親密な関係の強い者から弱い者へ、何度も長期間続くのがDV」と特徴を述べた上で、身体的暴力のほか、言葉などによる精神的暴力も深刻な問題であると指摘。健康面への影響として、頭痛や食欲低下、うつ、不眠などを挙げた。被害者が逃げ出せない理由としては「自分の方が悪い」と思い込んでいるケースが多いことも紹介した。
長谷川教授は「この世に殴られていい人なんていない」と強調し、恋人から暴力を受けていたら「友人や家族に話し、助けを求めること。1人で抱え込まないことが解決への一歩」と呼び掛けた。
受講した2年の加藤玲奈さん(19)は「友達の身に起こったら、相談に乗ってあげたい。将来、看護師として被害を受けた患者と接する時は、心のケアも必要だと感じた」と感想を語った。1年の武本雄介さん(19)は「男性がDVの知識を持つことは防止につながる。きょう学んだことを知人らにも伝えたい」と話していた。
同講座は、14日に敦賀気比高でも全校生徒を対象に開かれた。