ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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ポルノ被害 : 性的行為の撮影要求26.9%=モデル、アイドル契約後に―

日時: 2017-02-09  表示:263回

時事通信 2/8(水) 18:46配信

 内閣府は8日、「若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査」の結果を公表した。

 それによると、モデルやアイドルの勧誘後に契約したことがある人は7.7%。このうち、契約時に聞いていない、または同意していない「性的な行為」などの撮影を要求されたとの回答が26.9%に上った。

 内閣府が若い女性の性的被害の実態調査を行うのは初めて。調査は昨年12月9日〜21日にインターネットで実施。全国の15〜39歳の女性2万人に事前調査を行い、勧誘または応募の経験があると答えた2575人から回答を得た。内訳は10代が515人、20代と30代がともに1030人。

 契約後に要求を受けた人に、具体的な要求内容を複数回答で尋ねたところ、「水着や露出度の高い衣服を着用した状態での撮影」が58.5%で最多。以下、「水着などの一部または全てを脱いだ状態での撮影」35.8%、「性行為の様子の撮影」22.6%、「胸や性器を触られる様子の撮影」20.8%の順となった。

 実際に要求に応じたとの回答は32.1%だった。その理由(複数回答)については、「お金が欲しかったから」が35.3%でトップ。「『契約書に書いてある』と言われたから」が29.4%、「多くの人に迷惑が掛かると言われたから」が23.5%と続いた。

ポルノ被害 : <AV問題>搾取される“女優” 支援団体に聞く・下 (201

日時: 2017-02-09  表示:308回

毎日新聞 2/9(木) 11:00配信

 「アダルトビデオ(AV)への出演を強要された」と訴える人らの相談支援を行っている民間団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」の中心メンバー、金尻カズナさん(35)と、同会世話人で「AV出演を強要された彼女たち」(ちくま新書)の著者でもある宮本節子さん(73)は、こうした被害を生まないために「男女格差が当たり前になっている社会のありようを見直す必要がある」と口をそろえる。

 一方、AVそのものや業界で働く人々に対しては「否定しない(金尻さん)」「おとしめるつもりはない(宮本さん)」とも強調。宮本さんは「演技者が成長できる土台があれば、性表現もおもしろいものになるのでは」との見方を示した上で、同会世話人の立場で見てきた現状については「AV女優は搾取されているだけで、とても“女優”とは言えない」と苦言を呈した。【AV問題取材班】

 ◇求められる「法規制」とは

 −−業界内にあらわれてきている「健全化」を目指す動きを、どう見ていますか?

 金尻さん 私たちの立場では、業界のことはよく分かりません。私たちの知っている現実は「相談者から聞く事実」と「裁判所から出てくる資料」です。でも2年間、相談支援をしてきて、AV業界には残念ながら真の言論の自由はないと気付かされました。批判的言論が全く許されていない。批判すればすごい「ネガティブ・キャンペーン」が起きる。メーカーからは「守秘義務違反や信用毀損(きそん)だから削除しなさい」という書面が届く。この業界に本当に自浄能力があるのか、私には分かりません。

 宮本さん 私たちみたいな業界に関係のない人たちがやる仕事と、業界の中で改革をする仕事と、役割分担があってしかるべきだと思います。

 金尻さん 業界が自主規制団体を作ったら強要被害がなくなるかというと、なくならないでしょう。法律を作ったらなくなるか? なくならないです。でも、法律は重要なんです。法律があることで初めて「被害」として認められる。かつて援助交際は「不良っぽい子の火遊び」「女性の問題」とされてきましたが、児童買春・ポルノ禁止法ができたことによって「買う側の問題」にブレークスルー(打開)できた。「ああ、これは被害だ」と認められて、問題が可視化されたんです。そして今、ようやく「30代が圧倒的な年齢差のある15〜16歳と付き合うのはやっぱり抵抗がある。社会的な目線を気にする」という風潮になってきた。そういう意味でも、やはり法律があるとないとでは全然違います。

 −−具体的には、どういった法整備をイメージしているのですか?

 金尻さん 漠然としてはいますが、「今ある圧倒的な格差を逆転させるような法律」です。消費者金融の例を思い浮かべてください。かつて「借りる方が悪い」とされていたものが、貸金業法の改正によって「貸す側の問題」に逆転しました。AVについても、出演者と事業者の間にある格差を逆転するようなことを、法律に明記してほしいです。

 ◇AVへの「差別」にどう向き合うか

 −−普通の会社でも「やりたくない仕事」をやらされます。しかし、AV業界で聞かれるような「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という声はあまり聞かれません。AVという職業の特殊性が問題を生んでいるのでしょうか?

 金尻さん 普通の職業とAVの大きな違いは「自分が商品である」ということ。会社員は、あくまでも指揮系統下で商品を売る立場です。だから芸能界や音楽業界にも、やはり深刻な「人身問題」があります。自分を商品として売るわけですから、そこで人権侵害は起きる構造があるんです。

 宮本さん 他の職業には何らかの形で「これをしてはいけない」という職業倫理がある。AV業界は「もうかるか」「もうからないか」で判断され、倫理というものがスポッと抜け落ちている感じがします。だから「これはしてはいけないだろう」という商品、被写体を肉体的・精神的にいじめることを目的化した作品も普通に売っている。

 −−強要問題が大きく取り上げられるようになり、AV業界で働く人たちから「職業差別を助長する」と懸念の声が上がったことをどう思いますか?

 宮本さん この本でも、いかに彼女たちが理不尽な差別を受けているか書きましたが、そこで働いて生きている人たちもいるわけで、「余計な差別はされたくない」と思うのは当然です。「そうした差別に対してどうするか」という問題と「被害をどうするか」という問題の両面を考えなくてはならない。片方だけを考えると話はややこしくなります。

 自分の体を売る人たちをおとしめるつもりは全くありません。「生き延びるための方法が今のあなたの方法なのであれば、それで生き延びてちょうだい」と思います。一方で、被害を受ける人たちを放置することもできません。

 −−団体に相談しようとする人も、「差別的に見られていない」という安心感がないと、なかなか相談しにくいのでは?

 金尻さん 誰が差別をしているのかというと、支援団体でもないし、当事者(業界人)でもない。残念ながら消費者なんです。消費者が求めているから虐待的、差別的な作品が数多く生まれてしまう。そこに根本的な問題があるのではないでしょうか。

 宮本さん 明治以来、日本では公娼(こうしょう)制度が発展し、戦後に売春防止法ができましたが、「消費者の問題」は一度も論議されたことがありません。「売る方」が差別され、「買う方」は問題にされないという風潮があります。男がどれだけAVを買っても「お前そんなものを見ているのか」とはなりません。AV出演が分かって結婚が破談になる女性はいても「AVを見る男性とは破談します」という話はない。ものすごい非対称性の中で、私たちの社会は動いているんです。

 女と男の社会的な力関係が非対称だから、AVが成立するのだと思います。「50対50」であればAVはなくなるはずです。そうではないから、お金のない人はお金のある方へと流れていく。賃金や労働条件、ワーク・ライフ・バランスなど格差が当たり前になっている社会で、最も先鋭化しているのが「性の格差」であり、その中で起きているのがAV問題なんです。

 ◇AVを否定していない

 −−AVが存在していること自体が問題だ、という考え方でしょうか?

 金尻さん よく勘違いされるのであえて何度も言っているのですが、私たちはAVを否定している団体ではありません。(出演者と事業者が)対等な性表現は大切だと思いますが、じゃあ今、業界の現状はどうかというと、全く(対等とは)違う現実があるわけです。プロダクションやスカウトだけを摘発してしっぽ切りすればいいのではなく、メーカーも責任を問われなければいけない。もっと言えば、大手通販サイトを含めて、販売して利益を得ている人たちにも責任があります。

宮本さん さらに言えば、仮に大手メーカーがつぶれても関係ありません。消費者の問題をどうするのかということは、日本の社会、文化の在り方に関わってくる話です。そこまできちんと話をしないと、全体像を変えないといけないんじゃないかと思います。

−−女性を傷付けるような内容ではなく、もっと豊かな性表現であればいい?

 宮本さん すごくおもしろいんじゃないですか。日活ロマンポルノ出身の有名女優もいますが、それなりに嫌なこともあったかもしれないけど、演技者として成長できる土台みたいなものがあったのでしょう。今、問題にしているAVは「演技者」を作っているわけではなくて、女性の「性器の使用権」をただ使い捨てているだけ。演技者としてのステップアップの段階が用意されていません。

 ◇相談態勢の拡充を

 −−そもそもAVの問題、性被害の問題に関わるようになったきっかけは?

 金尻さん 2004年にAVメーカー「バッキービジュアルプランニング」の撮影で女性が肛門に重傷を負い、代表者ら8人が逮捕される事件がありました。その公判を傍聴して「これは問題だ」と思ったのがきっかけです。見て見ぬふりができない性格だったので、PAPSに参加してこの問題に関わるようになりました。

 宮本さん 実は若い頃に一度、「とても手に負えない問題だ」と自覚して挫折したことがあるんです。社会福祉を専攻していて、戦後の混乱の中で貧困に陥った女性が性を売って生き延びた話や元日本軍の慰安婦だった人たちの話を聞いたのですが、こちらが2次被害を受けるくらいの話で、「とても太刀打ちできない」と思いました。それが、70歳になってから金尻さんたちと出会ってPAPSの世話人を引き受け、ソーシャルワーカーとして蓄積した知識とノウハウを伝授して、「やればできるんだ」と実感しています。

 金尻さん 私たちも、相談が増えて“火の車”のような状況になってきていますが、当初は相談してくる人もいなかったわけで、ハードルが下がって相談できるような土壌ができたのはいいことだと思います。

 宮本さん 金尻さんは「明日撮影させられそうで、逃げたいんです」という時にも駆け付けて救出するし、真夜中のメールや電話への対応も一人で引き受けています。シフトを組めるほどの人数がいないからです。「いつも同じ人が受ける」というのは相談者にとっていいことですが、支援者の彼女にとってはすごく過酷な生活なので、つぶれないうちに対策を考えなくてはいけません。

−−PAPSは運営費をどうやって工面しているのですか?

 宮本さん カンパだけです。

 金尻さん これまでできていた副業ができなくなってしまい、フルタイムになったんです。あと1人、専業スタッフが欲しいですね。

 宮本さん 全国の婦人相談所などにも(相談員の)人材はいるのですが、AVの被害に対応するノウハウの蓄積が足りません。金尻さんも一朝一夕に今の力をつけたわけではなく、相談者に学ばせてもらって成長できたわけですから、そういった公的機関の人をどう育成していくかを行政には真剣に考えてもらいたいです。

ポルノ被害 : AV問題 「パンドラの箱」開いた 支援団体に聞く・上 (20

日時: 2017-02-09  表示:292回

毎日新聞 2017年2月8日 12時47分(最終更新 2月8日 16時47分)

 「アダルトビデオ(AV)への出演を強要された」と訴える人らの相談支援を行っている民間団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」の中心メンバー、金尻カズナさん(35)と、同会世話人でフリーソーシャルワーカーの宮本節子さん(73)が毎日新聞の動画インタビューに応じ、これまでの活動やAVにまつわる問題の背景などについて語った。

 昨年3月に人権団体が強要被害に関する報告書を公表して以降、問題がさまざまな媒体で取り上げられ、業界の実情などが相次いで告発されてきた過程について、金尻さんは「パンドラの箱が開いた」と表現。「出演者と事業者の圧倒的な格差を逆転させる必要がある」として、法規制の必要性を強調した。

 昨年末、相談者の肉声などをまとめた書籍「AV出演を強要された彼女たち」(ちくま新書)を出版した宮本さんは「ノーと言えない性格の人が狙われやすい」と指摘。また「男女の力関係が極端に非対称になっている社会全体の問題でもある」として、消費者側の指向性についてももっと議論すべきだと訴えた。

 上・下2回に分けて紹介する1回目は、相談の状況や被害者像などについて2人の実感を聞く。「下」ではそれらを踏まえ、問題の背景事情や解決策などを探る。【AV問題取材班】
“パンドラの箱”が開いた

 −−どのような支援活動をしているのか、改めて教えてください。

 金尻さん 2009年にソーシャルワーカーや研究者らが一緒になって設立したPAPSと、「人身売買」の被害に取り組むNPO法人・ライトハウスが出合い、15年から共同支援事業を始めました。ボランティアとフルタイム、計約10人のスタッフがいて、AV被害や児童ポルノ、リベンジポルノ、性風俗で半ば意に反して働かされている人などの相談支援をしています。具体的には、困っている人からコンタクトがあった時に面談を行い、弁護士や警察などの社会資源につなげるだけでなく、問題の終結まで寄り添いながら伴走していきます。

 −−AVに関する被害の相談状況は?

 金尻さん 13年は1件でしたが、14年は36件、15年は62件、16年は98件の相談がありました。終結までは最低で半年、長いと2年ほどかかります。リアルタイムで(スタッフが)動いている相談者は40人以上。今年に入って(1月11日時点で)3件増え、とにかく今は大変な状況です。

 −−特に昨年は社会問題として大きく取り上げられ、支援活動も注目されました。

 金尻さん ある種の“パンドラの箱”だったのではないかと思います。10年ごろ、業界側は「被害がない」「クリーンとは言わないけど、ホワイトだ」などと主張していましたが、私たちのところに来る相談はかなり深刻なものでした。じゃあ、訴えたらいいかというと、相手は年商100億円などの企業ですから、お金もない相談者は訴える力をそがれてしまうという構造的な問題があります。手口も巧妙かつ先鋭的になっており、私たちも「法律を変えなくちゃいけない」と訴えたり、使える法律を探してアプローチしてみたり、あきらめないで2年間突っ走ってきました。

 宮本さん まさにパンドラの箱を開けてしまった感じです。私たちも「ポルノグラフィーの製作現場で性暴力的なことがなされているのではないか」という理屈は立てられていましたが、現実をあまり知らなかった。それを彼女たち(相談者)がリアルに教えてくれました。一つ一つの事例が千差万別なので、どうしたら彼女たちが納得できるのか、試行錯誤しています。
相談者に共通する「自責の念」

 −−宮本さんの著書「AV出演を強要された彼女たち」には、「その日の住まいを見つけなければならない」などかなり緊急性の高い相談事例も登場します。

 金尻さん 今日とか明日(に逃れたい状況がある)という話は昨年だけで10件ほど。12月には「明日、撮影会モデルの仕事がある。ヌード撮影に応じざるを得ない」という相談もありました。「撮影会」とは、AVの撮影前に行うプロモーション活動で、裸に慣れさせるのも目的です。プロダクションは、女性を言いくるめて裸にすることにたけている。時にはほめて、時には脅して、その繰り返しで、人って簡単に支配できるんだなと感じます。特に20歳前後の方は「契約したものは絶対に履行しなくてはいけない」という思い込みがある。重要事項を詳細に説明していない契約は、有効性に問題があるのですが、「やらなくてはいけない。でも困っている」というところから相談が始まるんです。

 −−同書では、相談に来る人が「被害者という認識がない」「自分も悪いと思っている」ということも強調されていますね。

 宮本さん びっくりするんですよ。自分でネットを検索してプロダクションを見つけ、サインをした人もそうですが、スカウトを受けた人も「タレント・モデルになりたい」という気持ちがあって積極的についていったというプロセスがあり、暴力的に拉致されたわけではない。何らかの形で自分の意思が関与しているので、すごく自責の念があるんです。「自分に責任があるんだけど、とにかく困っているから助けてください」「こんな私でも相談に乗っていただけますか」といった調子の相談が、昨年前半くらいまで多かった。(報道などで)強要問題が焦点化されるようになってからは比較的、ストレートに「困っているんです。助けてください」と訴える人が増えてきました。
「ノーと言えない女性」が選別される

 −−相談目的で一番多いのは、作品の回収や販売停止ですか?

 金尻さん そうです。未販売のものを止めたいというケースもあれば、販売後に回収したいというケースもあります。例えば、「身バレ(※出演が周囲に知られること)しないと聞いていたのに大手サイトで大々的に販売され、ツイッターでも拡散し、すぐに身バレしてしまった」などという相談がありますが、プロダクションやメーカーの人は、「自分の不注意で彼氏にスマホを見られるなどして身バレすることはあっても、年間10万本も販売されているし、君は『星くずの中の星くず』だからバレないよ」「バレると思うこと自体、逆にちょっと『てんぐ』になってるんじゃないの?」などと言うんです。

 「10年前に撮影されたものを回収したい」という相談もあります。当時は販売に同意していても、ネットで配信されるとは思っていない。それがいきなり再編集されてネットで売られてしまい、「身バレしたくない。子供には知られたくない」と訴えながら来られます。

 宮本さん だいたい、どの契約書にも「本人の肖像権を全部メーカーに引き渡す」というものすごく大事な条項があるのですが、(プロダクションからは)その説明がない。知らないまま署名し、「総集編」などとして2次使用、3次使用されてしまうと本人はパニックになります。最初は承知しても、撮影途中で嫌になることも当然あり得るわけで、途中破棄(ができる)という条項があってしかるべきなのですが、それは見たことがありません。

 −−「狙われやすいタイプ」というのはあるのでしょうか?

 金尻さん ある大手プロダクションのケースで一般的な流れを説明すると、「コスプレモデル」「グラビアモデル」などを募集する“表”のサイトがあり、そこに応募してきた人たちがまずアダルトチャット(※ウェブカメラ映像を使いリアルタイムにやり取りするシステム)のモデルをさせられます。そこで逃げない方、「ノー」と言えない方を選別する。18〜19歳はチャットで稼がせながらキープしておき、20歳の誕生日にAVプロダクションに連れて行って「脱げる子ですよ」と言うと、トントンと(デビューの)話が進む。

 宮本さん 「ノー」と言えない性格の若い女性たちが狙われやすいというのは、経験則から見えてきています。AV出演契約に持っていくまではいろいろな手順があり、マニュアル化されているのではないかと思うほどです。そういう子たちは「言っちゃ悪いかな」という変な倫理観に惑わされて、嫌だと言えないんです。
タレントになりたがる女性たち

 −−AV出演強要を巡っては「タレントになれる」という誘い文句が非常に効いているようです。なぜそこまで、女性たちはタレントになりたがるのでしょうか?

 金尻さん 現在の日本では、アイドルやタレントはとても楽しそうで華やかな業界として描かれています。誰かに認められたい、社会的に成功したいと思う一方で、自己評価や自己肯定感が低い10代〜20代前半の女性にとって、多少の性的なことを要求されたとしても、親に迷惑をかけずに自立し、「一発逆転」する手段として芸能界に行くことが、手っ取り早い道に思えてしまいます。

 宮本さん やはり、女の子が選べる職種の狭さだと思います。「俳優になりたい」という男の子はそれなりの修業をするわけですが、「タレントになりたい」という女の子たちの「修業」に対するイメージはものすごく貧困です。だからタレントにスカウトされて、「プロモーション用にちょっとフルヌードの写真撮ってみようか」と言われてもおかしいと思わず、受けて立ってしまうのです。

 この本に出てくる女の子たちは、皆さん美しい人たちなんですね。それはいいんだけれども、その美しさを「性とくっつけて売る」というイメージが17〜18歳でインプットされてしまっている。裸になることに若干、抵抗はしても「女がこういう道で生きて成功するための方法なんだ」という刷り込みがどこかでなされている。テレビなどを見ていても、そういう情報はいっぱいあります。
求人サイトの“トリック”

 −−悪質な勧誘に惑わされないよう、啓発や性教育がもっと必要なのでは?

 金尻さん もちろん予防も重要ですが、「予後」も重要なんです。予防だけしていても被害はなくならない。学生たちはやはりお金に困っています。貧困なんです。「奨学金を使ってしまった」と切羽詰まっている方もいます。「高収入 女性」と検索するといろいろなサイトが出てきて、AVプロダクションもかなり紛れ込んでいる。そこには、面接するだけでお金をくれると書いてあるわけです。

 −−「話だけ聞きに行って、無理だったら断ればいい」という発想は危険?

 金尻さん やはり向こうもそれでご飯を食べている人たちなので、言葉にたけているんですよ。例えばこういう感じです。(※実際にスマートフォンの検索画面を見せながら)「バイトがしたいけど忙しい」「買い物をしたいけどお金がない」「ご相談いただいた方全員に1万円」。どこにも「AV」って書いていないんですね。でも、これはある中堅AVプロダクションのフロント会社なんですよ。こういうものが、検索をしたらパパッと出てくる。本来こういった広告は禁じられているはずですが、当たり前に行われています。

 −−自衛には限界があるという前提で、女性にできることは何でしょう?

 宮本さん 困ったと思ったら相談すること。とにかく業界「外」の人に相談することが大事です。家族が無理なら友達でもいい。話しづらいだろうけど、そこは一歩、勇気を出してください。「他者に話すことによって、抱えている問題を自分で整理する力」というものを、たいがいの人が持っていますから。

 金尻さん 相談を受ける側も、独りで抱え込まずに支援団体に相談してほしい。これはつくづく思うのですが、相談される側が独りで抱え込んでしまい、結局は相談者の利益にならないことがあるんです。(勧誘手法は)先鋭化しているので、個人で闘える相手ではありません。もっと言えば、弁護士さんも相談してほしい。私たちにはいろいろな「戦果」の情報が入ってきますから。
なぜ「辞めたくても辞められない」のか

 −−相談支援活動を続けてきて、どんなことを感じますか?

 金尻さん 私たちは相談者と一緒に闘う立場であって、ジャッジする立場ではありません。「非審判的(裁かない)態度」を大切にしています。ただ、一つ言えるのは「出演者と事業者の立場には圧倒的な格差がある」ということです。

 また私自身、作品の削除請求をするためにAVをたくさん見るのですが、もう性的に見ることができなくなっているし、「このシチュエーションはぬるいな」「次のアングルはこうだろうな」などと考えてしまう。何度も見るとまひしていくんですよ。業界人も出演者も、同じようにまひしているんじゃないかと思います。AVを見たこともなかった人が、巻き込まれて出演してしまうと、性に関するアイデンティティーが変わってしまう。感覚が変わるんです。

 −−「セックス観が変わる」ということでしょうか。

 金尻さん 例えば、子供の頃に親や義父から性的虐待を受け、「自分には価値がない」「性的なことは嫌いだ」という相談者にとって、AVに出ると「2〜3時間頑張れば十数万円になる」と自分の体の価値が金銭的な価値に置き換えられてしまい、なかなか辞められなくなり、(AV出演に)依存していかれた方も複数います。

 ある相談者が「今辞めても、自分には何も残らないから続けるしかない」と言っていました。他の就職先があるわけでもないし、思ったほど稼げてもいない。家賃の支払いもあるのに預貯金はどんどん目減りしていく。そこでハードな撮影に応じると、精神的にダメージを受け、また稼げなくなるという負のスパイラルに陥る。でも、私たちはそういう方に「辞めなさい」とは言いません。非審判的態度で、本人が辞めたいという意思を持つまでずっとそばに寄り添いながら、伴走している状況です。

 宮本さん ベースになっているのはソーシャルワークの理論と実践です。決してその人を責めない。もう十分に自分で責めているわけですから、その上に他者の私たちが責めることは絶対にしない。でも、それにはこちら側の覚悟というか、身構えが必要。「あなた、なんでそんなことしちゃったのよ」と言う方がすごく楽なんですけど、口まで出かかってグッとのみ込む。忍耐力はだいぶ養われたよね。

 金尻さん 図太くなりました。ただ、「支援慣れ」するのが怖い。相談者の事情は一人一人違うので、そこに寄り添わなければいけません。

 宮本さん 本当に混乱して飛び込んできた人が、話しながら自分の気持ちを整理して、やるべきことを見つけて力を得ていく姿をまざまざと見ることもあって、それはうれしい。

 金尻さん 最初は困惑し、どうしたらいいか分からなくても、一緒に整理して優先順位を付けていくと全体像が分かってきます。そうすると「自分でコントロールできる」と思えてきて、ふっと楽になれる。私たちのミッションは、そうやってコントロールを奪われた状態から回復するお手伝いをすることだと思っています。

(つづく)

ポルノ被害 : モデル、アイドル勧誘「契約・同意なく性的行為等を撮影

日時: 2017-02-09  表示:262回

弁護士ドットコムニュース 2017年02月08日 18時11分

AV出演強要など、「モデルやアイドルにならないか?」と勧誘された若い女性が、性的な被害を受けている問題について、内閣府は2月8日、「男女共同参画会議」の専門調査会で初めての調査結果を公表した。勧誘などを受けたあと、「契約なしに、同意していない性的な行為等の写真や動画を撮影されたことがある」と回答した人が、60人(全回答者の2.3%)いたことがわかった。

この調査は、内閣府・男女共同参画局が昨年12月、勧誘などから性的な被害につながる「きっかけ」を把握することを目的として、インターネット上でおこなったもの。対象は中学生をのぞく15歳から39歳までの女性。事前調査として2万人に対して、モデルやアイドルとして勧誘を受けたり、モデル・アイドルのアルバイト募集広告に応募したことがあるか尋ねた。本調査では、事前調査で「ある」とした5248人のうち、2575人が回答した。

その結果、モデルやアイドルと勧誘されるなどして、契約したことがある人は197人だった。契約を断らなかった理由としては、「断わる理由がなかった」という回答が4割を超えた。そのほか「複数の人に説得された」「多くの人に迷惑がかかると言われた」「多額の違約金が発生すると言われた」「身の危険を感じた」などもあった。契約時の年齢は10代〜20代前半の割合が高かった。

さらに、197人中53人が契約後、「契約時に聞いていない・同意していない性的な行為等の撮影を求められたことがある」と回答した。このうち、「求められた行為をおこなったことがある」と回答したのは17人だった。その理由として、「『契約書・承諾書等に書いてある』と言われた」「写真や画像をばらまくといわれた」などがあげられている。

また、勧誘を受けたあとやバイト募集応募したあと、「契約なしに、同意していない性的な行為等の写真や動画を撮影されたことがある」と回答した人は60人いた。なお、調査における「性的な行為等」には、(1)水着や下着など露出度の高い衣服を着用した状態、(2)水着や下着、衣服の一部またはすべてを脱いだ状態、(3)性行為や胸・性器を触られる様子の撮影、チャット等への出演が含まれている。

内閣府の担当者は、この日の調査会で「今回の調査によって、若年層の未熟さにつけこんだ性的な被害や、顕在化しにくい実態が浮き彫りになった」と述べた。同調査会は、JKビジネスやAV出演強要の問題について検討した報告書を2月中にとりまとめて、男女共同参画会議で報告する予定だ。

ポルノ被害 : 性的な撮影要求被害、27% アイドル契約の女性200人 (2017.02

日時: 2017-02-09  表示:266回

共同通信 2017/2/8 23:02

 「モデルやアイドルにならないか」と勧誘を受けるなどして契約を結んだ10〜30代の女性197人中、4分の1に当たる53人(27%)が契約外の性的な行為の撮影を求められる経験をしていたことが8日、内閣府の調査で分かった。うち17人は求められた行為をしたと回答。多くの若い女性が、アダルトビデオ(AV)への出演強要など性暴力の危険にさらされる可能性があり、政府は調査結果を踏まえ予防・啓発活動を強化する方針だ。

 内閣府が若い女性を対象に、こうした実態調査を行うのは初めて。

ストーカー : 三鷹ストーカー事件が確定=元交際相手に懲役22年 (2017.02.08

日時: 2017-02-08  表示:274回

時事通信 2/8(水) 12:06配信

 東京都三鷹市で2013年、高校3年の女子生徒=当時(18)=が刺殺されたストーカー事件で、殺人などの罪に問われた元交際相手のXXXX被告(24)を懲役22年とした差し戻し後の東京高裁判決が、8日までに確定した。

 検察、弁護側双方が期限までに上告しなかった。

 最初の裁判で、一審東京地裁立川支部は懲役22年としたが、二審東京高裁は「起訴されていない余罪を処罰した疑いがある」として審理を差し戻した。検察側は、児童買春・ポルノ禁止法違反罪を追起訴。やり直しの一審も懲役22年を言い渡し、二審も支持した。

 判決によると、XX被告は13年10月、女子生徒の自宅に侵入し、首などを突き刺し失血死させ、生徒の裸の画像などをインターネット上に公開した。

ポルノ被害 : リベンジポルノ 防止法2年 後絶たぬ 支援団体「拡散前

日時: 2017-01-24  表示:264回

毎日新聞2017年1月23日 東京夕刊

 別れた交際相手の性的な写真や動画をインターネットに流すなどする「リベンジポルノ」の被害を防ぐためにできた法律の施行から2年が過ぎた。警察に相談が寄せられて加害者の一部が処罰されているものの、周りに知られることを恐れて通報をためらったり、流出におびえ続けたりする人も多い。専門家は「法律ができて問題が解決したわけではない」と指摘している。【近松仁太郎】

 リベンジポルノ被害防止法は2014年11月に施行された。被写体が特定できる形で裸の画像や映像をインターネットで不特定多数に提供すると3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを使って特定の少数者に拡散目的で提供した場合も処罰される。警察庁によると、15年にリベンジポルノに関連して警察に寄せられた相談は1143件。このうち同法違反(53件)や脅迫(69件)の容疑などで276件が立件された。

 一方、画像の削除に取り組む一般社団法人「セーファーインターネット協会」(東京)の吉川徳明・違法有害情報対策部長は「警察への通報や処罰を望まず、誰にも知られずに削除してほしいという相談者が圧倒的に多い」と説明する。協会は14年9月〜16年11月、相談に基づいて写真など約2250件の対応を各サイトに求めた。うち8〜9割は削除できたといい、「拡散する前にできるだけ早く相談してほしい」と呼びかける。

 被害者を支援しているNPO法人「ライトハウス」(東京)には「流出を考えると不安が止まらない」との相談も多い。中高生らが流出の問題を正しく認識しないまま同級生と交際相手の私的画像を共有しているケースもあり、広報担当の瀬川愛葵(あいき)さんは「深刻な被害を生む加害者側の責任を社会はもっと語るべきだ」と指摘している。
三鷹・高校生殺害、あす控訴審判決

 被害防止法ができるきっかけとなった東京都三鷹市の女子高校生ストーカー殺害事件は24日、元交際相手の被告の男(24)に対する差し戻し審の控訴審判決が言い渡される。差し戻しを受けた東京地裁立川支部は、殺人などの罪で懲役22年としていた。
被害女性「一生影響」

 性暴力撲滅に取り組むNPO法人「しあわせなみだ」(東京)のホームページ(HP)でリベンジポルノの被害を公表した女性が毎日新聞の取材に書面で応じた。

 女性は学生時代、交際した男性の求めに応じて性的な動画を撮影したが、気持ちが離れて別れると嫌がらせを受けるようになり、販売会社の社員を名乗る男から「ビデオにして販売することになった」と電話で伝えられた。勤務先の会社にも販売の許可を求める手紙が届いたといい「恐怖だった」と振り返る。

 警察に相談したことを男性に伝えると「もう二度としません」と連絡を受けたが、会社を辞めることになり、今でも不安は消えない。女性は「被害が一生影響することを知ってほしい」と呼びかけている。

ポルノ被害 : 脱法サイト向け動画撮影 気づかず被害に遭う女性も (2017.0

日時: 2017-01-22  表示:284回

週刊ポスト 2017.01.21 16:00

 海外サーバーを利用すると、日本人向けサービスでありながら、日本の法律では取り締まりづらい脱法サイトが構築できる。法律の抜け穴を利用したこのからくりを悪用して金儲けする者が後を絶たない。法律が改正されたことで、彼らにも司直の手が伸び始めているが、現実は、被害に摘発が追いつかない状態だ。特に被害が大きい、わいせつ動画をめぐる卑劣な手口と広がりについて、ライターの森鷹久氏がリポートする。

 * * *
 外国にある法人を、日本の法律で裁くのは難しい。違法な動画や画像がインターネットに存在し、日本にいながら閲覧することが出来ても、たとえば、サーバー運営会社が海外にある法人である、といった「ネットの盲点」を突く形で、米国企業から発信されている情報であれば日本の法律は及ばない。日本人ユーザー向けのそうしたサービスに、日本当局も目を光らせていたが、摘発が追いつかない状態だ。

 海外法人が海外のサーバーを使って運営している日本向けのアダルトサイトは、日本の法律の抜け穴をすり抜けるようにしてつくられた脱法サイトだ。脱法サイトによって利益を得ているのは、企業だけではない。個人でも運営が可能で、それなりの利益を得られてしまう。その評判をききつけて、狡猾な手段で作成した映像コンテンツを作成する新規参入者が増えている。彼らの多くは映像制作のプロではない。

 1月10日、福岡県警は児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的製造)容疑で、住所不定無職の久保田彰容疑者(54)を逮捕、追送検したと発表した。18歳未満の複数の少女とのわいせつ行為をおさめた動画をネット上にアップし「金のためにやった」と容疑を認めている。男はこれから相応の罰を受けるだろうが、被害少女たちの人権回復はもはや不可能なほど拡散されてしまったと、ウェブニュースサイト編集者の男性はいう。

「男の撮影した動画は、FC2アダルトなど、個人が動画販売で収益を得られるサイト上で販売されていました。男のアカウントの動画の中には、九州の実在する高校の制服を着用した女の子が出演し、一部のマニアの間で話題になっていました。内容も複数プレイなどアブノーマルなものばかり。転載も多く見られましたが、ほとんど削除されました。だからこそ需要があるのか、今も違法サイト上でこっそり売買が行われているといい、少女たちに気の休まる日はないはず」

 未成年の少女たちと行為に及んだこと自体も問題だが、それを撮影して商品にしたことも大きな問題だ。彼女たちも、まさか自分のあられもない姿が世界中に向けて商品にされるとは想像もしていなかっただろう。 福岡県警は久保田容疑者が関わったとみられる10件を確認、うち8件については福岡地検に送検し、捜査の終了を発表した。

 久保田容疑者が利用したような、個人でも商用サイトを手軽に運営できることで知られる日本人向けサービスは、本来、違法な金儲けをするためのものではない。たとえばイラストやアクセサリーなどの制作物を、店舗を持たなくても販売できる便利なサービスだ。ところが、一部のサービスは運営による審査や管理がなされておらず、日本の法律に違反する、わいせつ動画が数多く有料配信されている。

 違法な動画配信によって一千万円以上の利益を得て逮捕された、千葉県の50代男による手口は巧妙だ。ネットや折り込み広告などで血圧測定のモニターを募集し、宿泊付きのアルバイトのようなものだと思って応募してきた女性を酒や睡眠薬で眠らせ、下着をとったりした上で様子を撮影、映像を販売していた。しかし、100人をこえる被害者の多くは、自分が被害に遭っていることに気づいていなかった。

 万が一気がついたとしても、泣き寝入りせざるを得ない女性側の心理も容易に想像がつく。眠り込んでいたので自分自身に記憶がなく、目撃者もいない。相談すれば、そんな怪しいモニターに参加したほうが悪いと、被害者なのに非難されるかもしれない。実際に、このニュースが報じられた際、ネット上には「女の方がバカ」といった意見が飛び交い、被害者は泣き寝入りを強いられたのだ。

 また、出会い系サイトで知り合った女子高生とのわいせつ行為をおさめた映像を販売して逮捕された男もいた。「生活費のためにやった」というその男は現職の奈良市市議会議員だったが、サイトでは偽名を使って女子高生を誘い出していた。映像での女子高生にいやがる様子は見当たらなかったと捜査関係者はいうが、まさか少女たちは自分の姿がネット販売されるとは想像もしていなかっただろう。

 これら販売されている映像の多くは、正直なところできがよいとは言えず、正当な手段で作成されていないことをうかがわせるものが並ぶ。にも関わらず、個人でも一千万単位の利益があげられるため新規参入者が絶えない。

 なぜ、稚拙な動画でも人気を集められるのか。日本の大手AVメーカー係者によれば、無秩序化すればするほど、ユーザーから支持されるといった傾向が、ネット上に広まりつつあるためだという。

「日本で商品として販売されるアダルト映像の場合、DVDなどのパッケージでもネットでも、基本的には審査などを経ないと販売できません。一方で、審査などおかまいなしに配信可能な脱法サイトは、コンテンツ提供が手軽にできる一方、販売単価が低くなる。その場合、どういう形でもいいから多くの女性を捕まえて、より多くの映像を撮って数をこなさないと儲からない。逆に、制作のプロでなくても撮影さえできれば金儲けのチャンスがあると考えて売る側にまわる人間がいてもおかしくない」

 結果として、己の性欲を解消しつつ、あわよくば小銭まで儲けたい卑劣な者たちが、脱法サイトを利用して動画を配信するようになっていった。

 たとえば、街中ゆく女性のスカートの中の隠し撮り、トイレに仕掛けたカメラ映像に特化した「盗撮モノ」を専門に配信するサイトや、一対一のライブチャットだからと気を許して露出した女性の姿をこっそり録画し、映像を勝手に録画し配信するサイトなどが続々とオープンしている。

 また、派遣型風俗店利用者の男性が、女性との情事を隠し撮りし、自身の顔にだけモザイクをかけた映像をネットで有料販売していた事例もある。同じホテルをよく利用し、カメラアングルも同じ隠し撮りで定期的に更新されていたため、シリーズものの人気コンテンツとなっていた。風俗店で働く女性でも、そんな隠し撮りを承諾する女性が何人もいるとは思えない。

 動画を見ていた視聴者も、それが不当な手段で撮影されたものだと承知していたはずだ。

 このような無秩序な空間は、いったんできてしまうとなかなか消滅しない。本人が知らない間に動画がインターネット上にさらされ、犯罪被害者となってしまう。事件の捜査や裁判が終わっても、ネット上にいったんさらされた映像や画像は、転載やダウンロードなどで半永久的に残り続ける。被害者にとって、事件に終わりはやってこないのだ。

 自分で身を守るのが肝心、といった単純論では被害を防げないレベルまで、脱法サイトを悪用した金儲けが広まっているのが現実だ。こういった無軌道なあり方を許さないことはもちろんだが、一時の誘惑に負けないよう、そして騙されることのないよう、正しい知識と適切な危機感を持つことが女性にも求められている。

製作被害 : 契約は出演女優に不利なもの…。ソーシャルワーカーが見

日時: 2017-01-21  表示:315回

ダ・ヴィンチニュース 2016/12/28(水) 6:30配信

『AV出演を強要された彼女たち(ちくま新書)』(宮本節子/筑摩書房)は、出演強要被害を訴える女性たちを支えてきた支援団体「PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)」の世話人をつとめる、ソーシャルワーカーの宮本節子さんが支援者視点で問題に向き合った一冊だ。同書の中でAVの出演等承諾書について触れているが、内容が出演する女性側に不利になっているのは前編で紹介した。この契約書には宮本さんが「大きな問題をはらむ」と危惧している部分がある。それは

(中略)誠実な協議をもってしてもなお解決されない場合又はこの出演承諾書に関する紛争が生じた場合は、東京地方裁判所又は東京簡易裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに甲乙丙は合意します。(第8条 準拠法、協議解決及び裁判管轄)

というものだそうだ。

「どの裁判所に提訴するかは基本的には、提訴する側の自由なんです。でもこう書かれてしまうと、裁判のために地方在住者は東京まで来なくてはならなくなります。最初読んだ時は『まあずいぶんと身勝手な内容だこと』とだけ思いましたが、ある時に売春防止法以前の、娼妓と貸し座席主の契約書をたまたま手に入れたらほぼ同じことが書いてあり、連綿と受け継がれてきた契約の様式が続いているのかと、とても驚きました。だってこのように書いてあると、地方の実家に戻ったAV女優は提訴のハードルがあがりますよね。実際に地方で訴訟を起こしたケースがありますが、その時は弁護士が所管の裁判所で民事裁判ができるように取り計らったので裁判ができました。でも東京まで裁判のたびに来なくてはならないとなると、被害者がさらに不利益をこうむる可能性があります」

 このように契約の面でも、出演者は弱い立場に立たされてしまうこともある。もちろんやりがいを持って楽しく働いているAV女優がいるのは事実だろうし、悪徳プロダクションや悪徳AVメーカーだけではないのも事実だろう。そこで意に反してAVに出演する羽目にならないためには、女性が自衛するしかないのだろうか?

「そうはいっても若い女性は色々な世界をのぞいてみたい気持ちもあるだろうし、性的に冒険もしたいでしょう。男女ともに二十歳そこそこの頃に色々な冒険をして失敗して、それで成長していくものです。なのに意に反してAVに出てしまったことが『失敗』となり、それを一生背負って苦しんでしまう構造自体がおかしいですよね。男性だったら『若い頃のやんちゃ』で済まされる冒険が、女性には傷になってしまうなんて。ならば女性が苦しまないようにする方法を考えて対応することを、関係者に望みます」

 宮本さん自身もPAPSも、決して性的なものを否定している訳ではない。「人権団体やフェミニストは、徹底的にポルノを憎んでいる」という言説があるが、それは誤解でしかない。ただ性の快楽を享受するには、前提条件があるのだと宮本さんは語る。

「本の“おわりに”にも書きましたが、性の快楽を享受することは『他者の性の尊厳を脅かし、侵犯しない限りにおいてなら』という前提条件が付くものだと思っています。

 この本は、今現在AVに出演していて困っている人に対して、『嫌なことがあるならPAPSに相談に来てほしい。私たちはこういう風に問題に取り組んでいて、あなたが言いたくないことは聞かないから大丈夫だよ』というメッセージとして受け取ってもらいたいと思って書きました。PAPSに対して『AV業界やセックスワーカーを貶めないでほしい』という意見もありますが、AV業界全体の批判をしている訳でも、セックスワーカーを蔑んでいる訳でもありません。あくまで『こういう相談があってこう解決した』を、今悩んでいる人に向けてまとめたつもりです」

“女たち”一般ではなく、PAPSに相談を寄せ、宮本さんが寄り添ってきた“彼女たち”の叫びは、痛々しくもリアルだ。

 AVが「強要などなく誇りを持って取り組んでいる」「表現のひとつ」で、「男性にとっても出演したい女優にとってもなくてはならないもの」なのだとしたら、これ以上被害者を生まないでほしい。誇りを持って前向きに取り組む人が集まり、彼ら彼女らを搾取しない構造になれば、「AV出演強要」がニュースで取り上げられることもなくなるだろう。そのためにもこれまでの間に、たとえ一部の話であったとしても何が起こっていたのか。知っておくために手に取りたい一冊だ。

取材・文=玖保樹 鈴

製作被害 : 妊娠も性病もすべて女優の「自己責任」、美容院代2万円の

日時: 2017-01-21  表示:315回

ダ・ヴィンチニュース 2016/12/28(水) 6:30配信

 2016年の流行語大賞には選ばれなかったものの、世を騒がせたキーワードといえば「AV強要問題」だろう。国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウによる調査報告書の発表や、現役女優の香西咲さんをはじめ、AV出演を強要された女性たちの告白や出演者支援団体の設立など、話題に事欠かない1年だった。

『AV出演を強要された彼女たち(ちくま新書)』(宮本節子/筑摩書房)は、出演強要被害を訴える女性たちを支えてきた支援団体「PAPS(ポルノ被害と性暴力を考える会)」の世話人をつとめる、ソーシャルワーカーの宮本節子さんが支援者視点で問題に向き合った一冊だ。5人の被害例に加えて、これまで表に出されることがほとんどなかった、プロダクションとAVメーカーと女性による三者契約書などが掲載されていて、問題の構造がわかりやすく紹介されている。

「最初は自分で書くつもりはなかった」と語る宮本さんが見た「AV業界の裏側」とは? ご本人にお話を伺った。

◆AV女優を断罪しないことが、支援のスタンス

「この本はタイトルこそおどろおどろしいかもしれませんが、私が以前書いた『ソーシャルワーカーという仕事(ちくまプリマー新書)』(筑摩書房)の続編の認識でまとめているんです」

 そう語る宮本さんは、ソーシャルワーカーとしてアルコール依存の患者や性暴力を受けている子どもなど、「生きづらさや苦しさを抱えている人たち」に50年ほど向き合ってきた。AV出演強要被害者に対しても、同じスタンスで接してきたという。

「何が同じかというと、相手を断罪しないことです。『どうして嫌なのにAVに出たの?』とは決して言わず、『今困っていることは何か』に焦点を当てて話を聞いてきました。なぜならPAPSはアウトリーチ活動はしていなくて、ホームページに『AVに出演させられそうになっている人はこちらをクリック』と、それだけでしか書いていないんです。だからわざわざクリックしてアクセスしてくるのは困っている人たちだから、どうすれば困らなくなるか、何を解決したいのかを聞くだけにしています。撮影現場に乗り込む権限は私たちにはないから、相手がアクセスしてくれるのを待つしかない。それがPAPSの基本姿勢なんです」

 2012年にはじめてAVに関する相談を受けて以降、2016年12月までにPAPSには266件の被害相談が届いている。なかには男優からのSOSもあったそうだ。2013年までは年1件ペースだったのに、2014年に29件になり、2015年は83件となった。2016年は100件以上受けている。しかしAV業界に詳しい人の中には「昔のほうがひどかった。今の現場はクリーンなのに、なぜここに来て強要被害なのか」と首をかしげる人もいる。そのことを宮本さんは、どう受け止めているのだろうか。

「そもそも昔の方がひどかったというなら、なぜその人はその時点で何も言わずにいたのでしょうか? 現場のスタッフやAVライターさんなどは以前から強要などの被害を知っていたのだったら、どうして今まで黙っていたのでしょうか。怒りをもってそう問いたいです。また『AV女優はなりたくてもなれない人もいる、選ばれた職業だ』という人もいますが、だったらその根拠を教えてほしい。『金目当てに出演したくせに被害者ぶるな』という意見もありますが、確かに時給のアルバイトに比べたら、高い報酬を得られるのは事実です。しかしAV出演のためにジム通いや整形なども強要されたり、本に登場するBさんのように高額なマンションを契約されて、その費用は本人持ちといったりするケースもあります。中には『その髪型じゃだめだから美容院に行こう』と言われて『お金がない』と答えたら、立て替えてあげるからと美容院に連れて行かれて、施術にかかった2万円が払えなくて出演してしまった女性もいるほどです」

◆妊娠も性病も、全部女優の「自己責任」?

 本には5人の被害例が掲載されていて、いずれも幼さゆえに付け込まれたり、「私が我慢すればすべてが収まる」と、AVに不承不承出演して泥沼にはまったりする経緯が紹介されている。とはいえ相談事例をそのまま書いたのではなく、「身バレしないように」複数名の相談をミックスさせているそうだ。

 圧巻なのは巻末の補遺扱いになっている、ある女性がスマホで送ってきた出演等承諾書の写しだ。プロダクションとAVメーカーと女性の間でどんな契約が交わされるのか、見てみると「女性に不利」な内容になっていることがわかる。

 たとえば第5条(保証)の2項には、

甲(女優)及び丙(プロダクション)は(中略)、撮影終了後以降における甲の妊娠、性感染症への感染に関しては、乙(AVメーカー)の責に帰すべき場合を除き、甲及び丙の責任において解決し、乙に一切の賠償や責任を求めないものとします。

というものがある。女性が性感染症にかかったり妊娠してしまったりした場合でも、よほどのことがない限り男優や監督などに抗議することはできず、自分でなんとかしなければならないのだ。

 また第3条(甲の肖像の使用)2項には

甲は、本作品及び将来甲が出演し乙が制作する作品について、出演基本契約書に明示的に定める範囲において、乙に対して一切の著作隣接権を使用許諾すると伴に、女優名を開示させ、及び本作品を改変、編集及び加工することを独占的に許諾します(以下略)

とある。撮影した映像はすべてメーカーのもので、「総集編」などの形で映像を編集されて出されたとしても、異議申し立てはできない。女性は自分の裸の映像を、自分で管理することはできないのだ。宮本さんによると、この契約書は「業界でも有名なAVメーカーのもの」だそうだ。そしてこれ以上に、大きな問題をはらむ文言が記載されているという。一体どんなものなのだろうか。

以下、後編に続く。

取材・文=玖保樹 鈴

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