ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
2010年度の論文資料集10号。詳細はこちらより
 
メニュー
 
Google検索
 
最新 << 1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   >>  最初

製作被害 : AV出演強要問題、議員会館でシンポ「政治側でも議論進める

日時: 2017-03-03  表示:184回

弁護士ドットコム 2017年03月02日 19時51分

アダルトビデオ(AV)出演強要問題をめぐり、NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は3月2日、東京・永田町の参議院議員会館で、被害の根絶について考えるシンポジウムを開いた。公明党の佐々木さやか参院議員や、民進党の中川正春衆院議員ら「超党派」の国会議員も駆けつけた。
●HRNは「刑事罰」も含めた規制を提言

HRNは、1年前の2016年3月3日、AV出演強要の被害についてまとめた報告書を発表。報告書によると、若い女性たちが「タレントにならない?」などとスカウトされ、AVに出演するという意識がないままプロダクションと契約したあと、「親にばらす」「仕事を断れば違約金」と脅かされて、出演を余儀なくされる被害が相次いでいるという。

HRNの事務局長をつとめる伊藤和子弁護士は「AVプロダクションやメーカーには、監督官庁もなく、風営法の適用もないため、違法行為を是正・救済する仕組みがない」「強要被害にふさわしい刑事罰もないと考えている」と指摘した。

昨年には、大手プロダクションの社長らが労働者派遣法で摘発される事件もあったが、「モグラたたきの状況になっている」(伊藤弁護士)という。HRNは、監督官庁を設置することのほか、真実を告げずに勧誘したり、意に反して出演させることを禁止すること、それに違反した場合は「刑事罰」を科すことなどを提言している。
●「超党派であと押ししたい」

この問題をめぐっては、内閣府が昨年から調査を重ねているほか、公明党が昨年12月に「AV出演強要問題対策プロジェクトチーム」(座長:佐々木議員)を発足させるなど、政治、行政の間でも動きが出てきている。この日のシンポジウムには「超党派」の議員たちも出席して発言した。

佐々木議員は、「ライトハウスから被害相談・支援について聞いて、大変な問題だと認識した。本人の意思に反して、出演強要されてしまうことは、女性に対する人権侵害だ。きちんとした支援体制が必要で、政治側でどのようなことができるか、議論をすすめていきたい」と述べた。

民進党の中川正春衆院議員は「立法府として、(解決のために)法律のなかで、どのような工夫ができるか考えていきたい」と語った。共産党の斉藤和子衆院議員は「この問題は、私たちの日常のすぐ隣にあることかもしれない。現場の要望にこたえた制度として、規制をはかっていくことを超党派でできるよう、あと押ししたい」と話した。

ポルノ被害 : 女性を「AV女優」として紹介容疑 2人書類送検 大阪 (

日時: 2017-02-28  表示:194回

朝日 2017年2月27日17時40分

 女性をアダルトビデオ(AV)女優としてプロダクションに紹介したとして、大阪府警は27日、大阪市浪速区敷津東2丁目の元スカウトの男(21)ら2人を職業安定法違反(有害業務職業の紹介)の疑いで書類送検し、発表した。容疑を認めているという。

 保安課によると、2人は昨年7月ごろ、大阪・ミナミの路上で女性(当時24)に声をかけ、AVに出演させる目的でプロダクション「クローネ」(東京都目黒区)に紹介した疑いがある。男は風俗店などに女性を紹介するスカウトグループ「絆」に所属しており、同グループの捜査の中で容疑がわかった。

 府警は、法人としてのクローネと社長(32)ら2人についてもAV制作会社に女性を派遣した労働者派遣法違反の疑いで書類送検。女性は約3カ月で15本のAVに出演していたという。

ポルノ被害 : AV出演強要問題は深刻な犯罪 人権団体HRN (2017.02.27)

日時: 2017-02-28  表示:201回

日刊スポーツ 2017/2/27(月) 9:58配信

 女性が意に反したAV出演を強要される「AV出演強要問題」。被害者支援団体に寄せられる相談は年々増えている。

 昨年3月にAV出演強要問題の調査報告書を公表した国際人権団体「ヒューマンライツ・ナウ(HRN)」では再発防止に向けた規制強化を国に求める提言を行っている。事務局長の伊藤和子弁護士には被害女性たちから、ビデオ販売の差し止め依頼などが寄せられているという。伊藤氏は「1件でも深刻な人権侵害であり、防止する仕組みを作るべきだ」と訴える。

 伊藤氏は、AV出演の強要について「刑法の人身売買罪も適用すべき深刻な犯罪」と指摘する。昨年8月にはAVの業界団体「知的財産振興協会(IPPA)」に、意に反した出演の禁止、違約金請求の禁止、真実を告げないスカウトの禁止、本番の禁止などを要請している。

 法規制をめぐっては、表現の自由の議論もあるが、伊藤氏は「出演強要の被害者は表現の前段から被害に遭っており、表現者ではない。強要被害の上に成り立つ表現の自由が野放しでよいということは公共の福祉に照らして、あり得ない」と話している。

 国際人権団体のHRNでは国内企業が海外に置いた生産拠点での人権問題にも取り組む。伊藤氏は「別の業界では海外の工場での問題であっても、問題を指摘してからすぐに第三者委員会が立ち上がることが多い。AV業界は反応がにぶいと言わざるをえない」とも話した。

ポルノ被害 : 犯行をスマホで撮影 医師ら3人“少女乱暴” (2017.02.17)

日時: 2017-02-17  表示:230回

テレビ朝日系(ANN) 2/17(金) 11:55配信

 東京・大田区のマンションで、酒に酔った少女を集団で乱暴したなどとして逮捕された医師ら3人が乱暴する様子をスマートフォンで撮影していたことが分かりました。

 船橋中央病院の医師・XXX容疑者(31)と慈恵医大病院の医師・XXXX容疑者(31)ら3人は去年4月、大田区のマンションの一室で、酒に酔った10代の少女を集団で乱暴した疑いなどが持たれています。その後の捜査関係者への取材で、少女を乱暴する様子をXX容疑者らがスマートフォンで撮影していたことが分かりました。XX容疑者は他にも6人の女性に対する準強姦の疑いなどで逮捕されていて、その際、罰ゲームと称して女性に大量に酒を飲ませて乱暴していたということです。警察はXX容疑者らが計画的に犯行に及んだとみて調べています。

製作被害 : イヤと言えない、逃げられない空気がある。AV現場に出演強

日時: 2017-02-16  表示:216回

messy 2017.02.15

「強要してる」という認識ではない

元社員りほ もう一つ、私がAVイヤだなって思ったのは、「強要ない」ってみんな言うけど、あるんですよ普通に。

元女優サキ ありますよね。暴力で従わされてるわけじゃないにしても。

メイクあいか ある。

元社員りほ 事務所の人が撮影当日、現場に女の子を連れてくるんですけど、「今日、何も内容を知らせないで来ました」とか。処女で「手のタレントのモデルって聞いてきたんですけど」と言ってやってきた子のAV撮影をするとか。普通にいたんです。

元女優サキ 処女で?

元社員りほ そう。さすがにドッキリで処女喪失はやらなかったけど、フェラだけ撮って帰った子がいた。

――フェラすることさえその子は知らされていなかったわけですよね?

元社員りほ 知らなかった。でも断れない感じですよ。だって、その子がフェラしなかったら撮影が終わらない。空気がもう、そうなっちゃってる。

元女優サキ 現場の人もプロダクションも、女の子が「イヤーやめてー!」って泣き叫んでバタバタしてめっちゃ抵抗してない限りは強要じゃないって思ってるんで。

元社員りほ そう、強要してるつもりなんてないんです、現場の人たち。でも女の子、断りたい撮影内容だったとしても「こんなこと出来ません」って言えないですよ。怖いもん。すでに有名になってる単体女優さんなら意見を言えるでしょうけど、新人の子が知らない男ばっかりの場所で、拒否の意思を示せるかというと。

元女優サキ 無理。抵抗したら殴られたり、お金を要求されたりするかもしれないって思っちゃうでしょ。私は自分でAV女優の仕事を始めたしもう辞められたけど、そういう「強要だとみんな思ってないけど、それ強要だよ」って瞬間に現場で遭遇することは、本当に辛かった。はじめはやるつもりじゃなかったとか、友達に騙されたとか、友達にハメられたとかいう子もいるんですよ。

元社員りほ 本当にいるんですよ。そもそも現場入りの時点で、マネージャーの男に明らかに騙されてるケースもありました。はじめからAVに出すつもりでそのこと色恋関係になって、「彼氏に言われたから」とか言って嫌々ながら出ちゃう。

元女優サキ いますよね。断ればいいのに、って思うかもしれないし、そんな男と付き合う方が悪いって思うかもしれないけど、騙す方が悪いでしょう。

元社員りほ 時々、本物の変態の子もいるんですけど。好きで来る子もいる……そういう子がいるから気持ちが救われましたけど。

メイクあいか 私、男優の精液がついたティッシュを持って帰る生粋の変態女優さんのメイク担当したことありますよ。性液が好きすぎるから天職だ、って言ってました。

元社員りほ そういう子は天職でよかったなって思うんですけど、そうじゃない子も同じくらい……それ以上かなぁ。

メイクあいか 活躍してる女優さんも、入り口はわからないですよね。何年もやってるからやりたくてやってんだろってみなされるじゃないですか。イヤだったら走って逃げるとか、すぐ警察に行くとかしろよっていう空気なわけでしょ、世間は。

元社員りほ 私もすごくわかるのが、うちの会社の作品をPRする動画の撮影現場に、新入社員の頃に呼ばれて行って、予想外に脱がされたことがあるんですね。

メイクあいか 女優じゃなくて社員なのに。

元女優サキ 制作費ケチってますねえ。

元社員りほ エキストラで風俗嬢役をやってくれって頼まれて。最初はバスタオルを巻いて、風俗嬢のお面を被ってドアを開けるだけでいいって聞いたんですよ。それならわかりましたって承諾したんですけど、いざ撮るとなったら水着に着替えろって。でも先輩に言われたので逆らえず、水着に着替えて別室で待ってて、じゃ撮るかって。そしたら、もうひとりのエキストラの男の先輩が寝て、私がその上に跨って、擬似騎乗位をやる、みたいな。ドアを開けるだけじゃないの? って。一応向こうもパンツを履いてるし、私も水着を着てるけど……喘ぎ声まで欲しいって言われたの。それで私すごいやりたくなくて、詰まってたんですけど、時間がないからってみんなに急かされる。私も下っ端なんで言うこと聞くしか……やらないと終わらない。

元女優サキ その状況、AV女優そのままだ。

元社員りほ 最近、今だから言えると思って、親にそのことを言ったら「その時点で辞めるべきだった。なんでイヤだって言って逃げなかったの」って。だけど……その場では嫌だって言えないです。

――クビになっちゃうと思ったら、言えない。クビになったら生活費もないし。

元社員りほ だし、その現場に私の代わりにそれをやる女性がいないし。私みたく、女優じゃないただの女ADでも……こういう思いしてる人、他にもしてる人いるんじゃないかと思うんですよね。

メイクあいか 私も実は、現場でたまに一緒になる常連エキストラの女の子から、そういう要求されたこと2〜3回あるという話を聞いて。仲良くしてた制作スタッフからの無茶振りだったそうなんだけど、一度は私も入っていた現場で突然「ちょっとだけ脱いで、声も出して」と頼まれているところに遭遇しました。

元社員りほ 断れる雰囲気じゃないですよね。

メイクあいか 断れない、もうやんなきゃいけない、やるしかない、って感じにされるんですよね。その時は、ADの男の子とイチャイチャっていうか、服は着てるんだけど求め合うような感じで喘ぎ声も出せみたいな感じで。声も出さざるを得なかった。

元社員りほ そう、簡単に喘ぎ声出せとか言うけど、信じられない。お前ふざけんなよ、じゃ、お前やれよって思いますよね。

元女優サキ 無理です〜とか言っても……進まないしね。喘ぎ声はそう簡単に出せるものじゃないっていことと、でも風俗の女の子の喘ぎ声は全部演技だっていうことは、両方周知させたいですよね! 強要問題については、女優さんとか知ってるはずの人たちが知らないフリをしてるのが気持ち悪いなって思ってて。

メイクあいか 二村ヒトシさんは強要されてる子もいるっていう記事を書いて出したんですよ。でも二村さんくらいじゃないですかね。

元社員りほ 誰にもわからないじゃないですか、<何が強要か>が。今は売れっ子の女優さんだって本当は、現場に着いてから「こんな内容聞いてない」とか、絡み1回だけって聞いてたのにフェラまでやらされるんだとかって、予定と違うことをやらされてイヤだな、不本意だなって思ったことあると思うんですよ。大抵、女優さんにこっちの話も内容も通じてないですもん。現場にきて、はじめて内容を知る子なんてザラにいて。そこでもしやりたくない行為があっても、契約しちゃって断れなかったって、心の中で思ってるなんて誰も知らないのに、なんでみんな強要なんてないですって言えるんだろうなっていう気持ち悪さですね。男優さんも「あれ? 聞いてたのと違うぞ」ってこと、もちろん経験していると思う。問題視せずに「まいっか」とスルーしてこなしているだけで。

女ぎらいなAVユーザー

元社員りほ 私のいた会社の売り上げ、年々下がっているんですね。AV観てる人はどんどん減ってて、購入するのなんて50代とか60代とか高齢者ばっかりで斜陽産業かなって思います。

メイクあいか 若い人ほど「エロ動画」として見てるから。ただAVが作られなくなったら、エロ動画もアーカイブしか無くなる……

元女優サキ えーでも、素人投稿とかあるじゃないですか。FC2めっちゃクオリティ高いですよね。いいハメ撮りもいっぱいあるんで。AVよりいいですね。

――どこがいいと思うんですか?

元女優サキ 演出があんまりなさそうなところ。実際あるのかもしれないけど、素人のカップル同士で撮ってるやつとかは、そこに色々考えなくていいんですよね。あー、でも、女の子が強要されて撮られてるハメ撮りとかも実際はありますかね……

元社員りほ 私、大学時代はネットの「エロ動画」がAVからの切り抜きだってことすら知らなかったんです。それくらい業界に疎かったのに、志望して、入社しちゃった。

元女優サキ 私もよく知らなかったですよ(笑)。AVって未だに最初から最後まで観たことないです。長いじゃないですか。オナニーするなら10分くらいの短い動画で十分だと思っちゃう。

メイクあいか 私はまだこの業界で働いているので、完全にAVが消滅したら困る側面もあるんですけど……まあ、そうなったらなったで、AV以外の現場でヘアメイクの仕事をできるように、そっちの比率を増やしてかなきゃなって。

元女優サキ 消滅するかなあ?

元社員りほ 消滅はしないと思いますよ。アングラ化してしまう可能性はありますけど。ただ、そうすると、ますます女優さんの立場が悪くなってしまうかもしれないので、それを懸念しています。

――りほさん、万が一ですけど、別の制作会社でまた働きたいとか思うことはない?

元社員りほ もちろん良い監督さんもいるし良いスタッフ、良い男優さんもいますけど、AV業界には無意識の女性蔑視がべったりくっついていることもわかってしまったから、私はもう戻りたくないですね。

元女優サキ 女性蔑視。

元社員りほ もともと私自身の中に男性不信的な感情もあったと思うんですけど、色々な経験を通してそれが強くなってしまいました。

メイクあいか 私もそれはある。全くAVユーザーの気持ちなんて考えたくもないし、AVユーザー嫌い! みたいに思うことある。

――憎しみ?

元社員りほ もともと男が好きじゃないっていうのもあります。イケメンとイケメンのカラダは好きなんですけど、男自体は嫌いっていうか……よくいるじゃないですか、女体は好きだけど女は嫌いみたいな。その逆バージョンですね。なんか男の性欲気持ち悪いって……多分、今も思ってる。これ、いつからなんでしょうね。ずっと前から思ってる気がしますね。

メイクあいか 私も男嫌いだから、克服しなきゃなって思って、格闘技ジムの受付で働いてたことがある。男ばっかだし。今の仕事も、女優さん以外は男ばっかりだけど。

元女優サキ 極端だね。私は好きな男もいるし嫌いな男もいるなあ。

元社員りほ それはもちろんそうで、私も今の彼氏のことは信用しているし好きですよ。

メイクあいか 結婚とか考えたりします? 私は全然、興味を持てない。

元社員りほ 考えるけど、いまは自分が無職なので、まずは再就職して自立してから、って思ってます。

イヤな男には、濡れない

元女優サキ AVって基本、男のファンタジーじゃないですか。見てて面白くないんですよね。こんなこといったら申し訳ないですけど、でも実際それが売れてるわけでしょ。

メイクあいか 引退しちゃいましたけど、山本わかめさんって女性監督さんの作品は、男のファンタジーを壊すことに挑戦してましたよね。今まで「男のため」に女にしてきたことの逆をやってたというか。素人ものとかも、昔は素人女性をナンパして、AV撮ってたりしたじゃないですか。同じことを男の子にやっているっていう。

元女優サキ そういう作品に、男の人は興奮するんでしょうか。

メイクあいか いや、不快感を覚えるんじゃないかなって思った。でも今まで女が抱いてた不快感がそれだよって。

元社員りほ 女嫌いの女体好きの監督が作る作品の方が、ユーザーにはウケるし売れますよね。

元女優サキ 女の子って濡れてなくてもローション仕込んだりして、何とか感じてる風の演技とかできるじゃないですか。でも男優さんは、モザイクかけるとは言っても、勃起しなきゃいけないんですよね。素人男性を呼ぶ企画作品に出演した時、あー素人の人ってダメだなあって思いました。ちんこが萎えがちで。

メイクあいか ユーザーも上から目線であれこれ批評するけど、じゃあお前出てみろよって。

元社員りほ 大抵の男性は無理だと思います。

メイクあいか また二村ヒトシさんの話になっちゃうんですけど、「女性を軽視しないと男性は勃たない」って。男女平等で女性のことを尊敬してる人はあんまり勃たなくて女性が望むような性の悦びを与えてはくれない、と。うまくいかないんです。

元社員りほ 男の人は女の人とセックスしてる時に、女の人をモノとしてみる作用が働くって言いますよね。

元女優サキ そうなんだ……私、自分がセックスする時に相手の男性を完全にモノとして扱うとそんなに濡れないですよ。だから撮影でもいつもそんなに濡れなかった。ローション使うから別に良かったですけど。

元社員りほ わかります。この間、彼氏が寝てる間にやってみようと思って舐めたら普通に勃ったんですね。で、挿れてみたんですよ。寝てるんですよずっと。そのまま騎乗位やってみたんですけど全然気持ちよくもなんともないんですよ。ただの作業。

メイクあいか 男は気持ちいいのかな、女がモノであっても。

元社員りほ でも、マグロ女はあんまり評価がよくないですよ、AVでも。都合のいいもの、自分のちんこで気持ちよくなってくれるものが1番いいんだと思う。まあ女性としても、自分のまんこで気持ちよくなってもらったら嬉しいじゃないですか。そもそも自分が濡れる相手に限るんですけど。

元女優サキ どこで誰かに習ったわけでもないのに、みんな女性って演技できるじゃないですか。いつどこで覚えたんだろうって思うんですよね。女優じゃなくても、プライベートのセックスでみんな演技してるでしょう。

メイクあいか 昔から言われてるからじゃないですか?男を立てなさい的なことを。っていうか、直接その言葉でいわれなくても、そうしたほうがうまくいくんだなって空気で感じる。ただ、恋愛とか結婚とかを見据えた関係じゃなくて、気軽にセックスするだけの間柄でいいのに相手の男性があまりにもイマイチな感じだとやっぱり濡れない。テクがとかじゃなくて、性格的に相手を尊重することを習ってこなかったやつだなって思うと、セフレにもならない。

元社員りほ そうですよね、関わりたくもないですよね。

元女優サキ ちんこだったら何でもいいってことはないよねぇって思います。女性向けAVとして作られる作品だって、すべての女性が好むわけじゃないし。好きなエロメンもいれば、見てて濡れないエロメンもいるし。好きなエロメンならどんな演技でも濡れるかっていうとそれもまた違いますし。

――男性は、どうなんでしょうね。すべての男性が、女性がモノ化するAVで勃起するわけじゃない、とは思いませんか?

元社員りほ それは……わからないです。

元女優サキ あの、ファンタジーを愛好しない、現実を見据えた男性がいたらいいなとは思いますけどね。あまりお目にかかることはないです、今のところ。

メイクあいか 男性監督が、「女性向けAV」を作ってみたらどうでしょうかね。そこには多分、色々な誤解、勘違い、そうじゃねーよ感が詰まってると思うけど、女性ユーザーがツッコミを入れて議論になったらいいかもしれない。

(構成・水品佳乃)

製作被害 : 低賃金・長時間労働・パワハラ洗脳で私はAV制作会社を辞め

日時: 2017-02-16  表示:195回

messy 2017.02.14

 AV業界は揺れている。たとえば昨年7月、2013年の9月と10月に神奈川県内のキャンプ場での野外AV撮影行為をしたとして、公然わいせつや同ほう助の疑いで、大手AV制作会社「CA」社長と出演女優9人、男優24人ら計52人が書類送検される事件があった。また今年1月、無修正動画を配信する老舗アダルトサイト「カリビアンコム」に日本で撮影したわいせつな動画を台湾とアメリカを経由して配信していたとして、都内の映像制作会社の社長ら6人が逮捕された。

 そして、女優の出演強要問題。昨年6月、大手AVプロダクション・マークスジャパンの元社長ら3人が労働者派遣法違反容疑で逮捕された。逮捕容疑は、詳しい説明をしないまま「グラビアモデル」としてマークスジャパンと契約した女性にAV撮影の仕事を振り、出演を拒否すると「違約金を払え」「親に請求書を送る」などと脅して5年間で100本以上のAVへ出演させたというものだった。

 一方で、名前も顔も売れている単体AV女優たちは「無理やりとかない。同意して、撮影する前にもちゃんと自分でサインする」「無理やりAV出演とか、いつの時代の話ですかー? なりたくてもなれない女の子もいるってーのに」と強要被害などないと主張。マークスジャパンの系列事務所に所属する初美沙希は、この事件について「色々知っている」とし、被害を訴える女性が「今の彼氏に『あの時は無理矢理やらされてただけなの!』って変な言い訳したら、その彼氏が『なら警察行って作品消させろ!』って騒いで」と、嘘をついていると指摘し「これが真相だ」とした。

 AV業界に、今、何が起こっているのか。messyはこれまでAV男優やエロメンのインタビュー取材をおこない、アダルト動画サイトのランキングやAV作品レビューを掲載してきた。そこで働く彼ら、彼女らが不利益を被るような仕組みが存在するとしたら、是正されるべきだと考える。そこで今回、AV業界でスタッフ・キャストとして少し前まで働いていた女性たちの声を聞いた。

___

<座談会出席者>

■元大手AV制作会社社員りほ:2011年、新卒で入社。AV制作〜編集まで一通りの業務をこなした。2016年10月に退社。
■ヘアメイク担当あいか:2011年頃からフリーランスのヘアメイクとして数々の現場で女優のメイクを担当。
■元企画単体AV女優サキ:2014年から2016年まで企画単体女優として活動。Fカップ女優として売っていた。

――りほさんは、有名大学を卒業して新卒で業界大手のAV制作会社に就職されたんですよね。

元社員りほ そうです。大学では経済学部でした。うちの会社は、慶應とか早稲田とか明治とか、ブランドのある大学の卒業生が多かったです。

メイクあいか なんでまたAV制作会社に。

元社員りほ 私はですけど、映像制作の仕事に興味があって。だけど志半ばで、退社しちゃいましたけど。

――退社理由を伺ってもいいですか?

元社員りほ 理由は複数ありますね。一昨年後半あたりから会社で離職が相次いでいて、信頼する先輩がどんどんいなくなってしまったことがひとつ。体を壊して何回か倒れたこともひとつ。長時間労働のうえ低賃金だということもひとつ。決定打は、心配した両親の「もう辞めてまともな仕事をしなさい」という説得でした。

元女優サキ まともな仕事って……

元社員りほ AVがエッチだからダメ、という意味ではなくて、ちゃんと人間らしい生活を送れる労働時間で、きちんとお給料をくれる会社で働いた方がいい、ということです。5年間やって、給料が上がらなくて昇進の見込みも薄かったので。会社から評価されれば給料は上がるのかもしれないけれど、現状で評価が低いなら私にこの仕事は向いてないんじゃないか、長く続けられる仕事じゃないんじゃないか、って言われました。私も納得して、すっぱり辞めました。

――正社員だったんですよね。お給料はどの程度だったんですか?

元社員りほ 手取り17万円です。入社からずっと。採用試験の時は「額面23万、手取り20万」と聞いていたのでおかしいなと思いつつ、言えなくて……。年に2回、賞与として一カ月分ずつ上乗せがありましたけど、毎月の不足分をボーナスでなんとか補って生活していました。東京都内の会社所在地からそう遠くない場所に住まないと風呂にも入れないし着替えもできないから、やっぱり都内で部屋を借りるじゃないですか。その家賃だけで7万円。光熱費、携帯電話料金、食費などでもう残金ゼロです。コンタクトレンズも高いしなんだかんだ体調不良で病院も行く。自炊する時間は全くなかったので全部コンビニや外食で、食費はやたらかさみました。貯金できないどころか、親からお金を数万円借りてる状態で。携帯電話も仕事でフル稼働するので毎月高かったです……。

――業界大手なのにその給与って。もっと上の世代の社員の人たちはどうしてるんですか?

元社員りほ どうしてるんでしょうね……。少し年次が上の人たちは20万くらいはもらってるかもしれないですけど、でも高給ではない……。何らかの役職に就くとか、社員監督として売れる作品を撮るとかしない限り手取りはUPしないみたいです。親が『逃げ恥』見てたんですけど、「あなたの会社は好きの搾取だったね」と言われました。売れる作品を作れない自分は給料が低くても仕方ないって、みんな納得しちゃってるんです。毎月、作品ごとの売り上げが表で発表されるので。

AV業界のギャラ事情

――りほさん、労働時間はどのくらいだったんですか?

元社員りほ 出社時間はまちまちなんですけど、だいたい朝の3時とか4時くらいまで社内に大勢残って働くのが普通でした。でも去年、電通の新入社員が自殺した事件が大きく報道されてから社内の制度が変わって、22時には退社するように、と言い渡されました。ただそれだと終わらないから、残る人は残って。

――22時退社って、十分すぎるほど遅いです。仕事量が多すぎるんでしょうか。人員も足りない?

元社員りほ そうですね。撮影が遅くまでかかることもあるし、編集作業は時間かかりますし。去年、新卒を大量に採用したので、一応人員はたりていると思いますよ。ただ、プロデューサーがうち全然いなくて。作品を月に50〜70本くらいリリースしてるんですけど、プロデューサーが1人で8、9本くらい抱えて……でもプロデューサー自体4、5人くらいしかいないんですよ。

――1本のAV制作にかかる費用ってどのくらいなんですか?

元社員りほ 最低予算でも100万とか。社内の人件費を除けば、外部監督に編集費込みで1本20〜25万くらいで振って、女優さんのプロダクションにギャラを払って……女優さんのギャラはランクによりますね。

――じゃ、フリーランスでやっている監督は月に4本くらい撮れば安定していい感じの暮らしができるのかなぁ。

元社員りほ そうかもしれないですね。というか、外部の監督はみんな忙しくて、ほぼ毎日現場入ってるんですよ。だから、すげー稼いでると思います。やっぱり人がいない、ちゃんと撮れる監督は限られてるんで。その人たちでほぼAV業界をまわしてる。

――それって、名前が一般的に知られてない監督さんも含めて?

元社員りほ そうですね、DMMのAVランキングとか見てると、上位の作品を撮っているのはいつも同じ人たちですね。

――女優さんのギャラについてもう少し詳しく話せますか。

元社員りほ 単体だと1本100万とか。専属は契約形態が違うのでその限りではないです。企画女優さんだと1本30万、売れっ子でも60万くらいです。あ、でもこれは制作会社が事務所に支払う額なので、女優さんが受け取るのはその半分くらいのはず。

――サキさんはギャラいくらでした?

元女優サキ 私は1本の現場で15万もらってたんで、事務所には30万が支払われてたと思います。

元社員りほ うん、そうだと思います。

メイクあいか そんな少ないんですね……知らなかった。サキさん結構ハードな絡みもやってたじゃないですか。それに、一つの現場で2〜3絡みあったりするでしょう?

元女優サキ そう、2〜3絡みで15万です。私はそんなに体力がなくて無理でしたけど、タフな子はほとんど毎日撮影を入れて一ヶ月で15万×22日=330万稼いだりとか。私なんかよりもっとずっと作品の売れる人気の企画単体女優さんは、1本30万(事務所に支払われるのは60万)でめちゃくちゃ現場はいってたんで600万とか。お金が貯まったから、って去年引退されましたね。

――企画「単体」女優でそのギャラということは、「企画女優」さんは

元女優サキ 「絡み1回とフェラ1回」の企画もので、3万くらい。

メイクあいか 私は企画の現場にメイクで呼ばれることが多いんですけど、みなさん、それだけしかもらってないんですね……。ショックです。

――あいかさんは一回のヘアメイクでいくら?

メイクあいか 制作会社によって異なるんですが、りほさんのいた大手制作会社の依頼で入る仕事だと、一律4万円くれます。メイクする女優さんが1人のときも4人のときも金額は同じ4万円ですけど。

――拘束時間に対していくら、って決められてるのかな。

メイクあいか 小さい制作会社が撮ってる無修正動画の現場は、めちゃ働かされて2万円。すごいこきつかわれるんですよ。女優さんが2人いて、1人が中出し撮影3回分とコンテンツ撮影2回分、もう1人が挿入2回分と乱交とコンテンツ用にオナニーとフェラを撮るというめまぐるしい現場で常にメイク直しどおしでも2万円。
一番ひどかったのが1日1万円で、3人メイクして、しかも1人の子はエアブラシでタトゥーも消したという現場。あれは疲れました。でも、無修正の現場よりもユルい空気だったので精神的には良かったですが。

――撮影って拘束時間が長いですよね。りほさんは手取り17万でしたが、長時間労働で副業もできないでしょう?

元社員りほ とてもそんな時間はないです! 誰もできない…。上司、というか社長に「りほ、お前ボーナスいらないよな?」って言われたことがあって。「今の仕事が好きだろ?」って。私は自分で志望してこの会社に入って、でも売り上げの面で何も会社に貢献していないので、もっとお金がほしいなんて、口が裂けても言えないと思ってしまいました。社畜精神が強かったと思います。それに、働いているうちに私はこの会社以外に居場所がない、どこに行っても働けるわけないと思うようになっていました。

――日常的にパワハラがあった?

元社員りほ 今思えばそうなんですかね。とにかく激務で、友人や恋人と会う時間も実家に帰る時間もなくて、世間から隔離されてる感じなんですね。だけど去年の春頃に少しだけ時間ができて、学生時代の友人と会った時に、「その会社ちょっとおかしいんじゃない?」って言われまして。でもその時は私、「そんなことない。私にはこの仕事しかない」と言い張って。社長に「お前みたいな社会不適合者が働けるのはうちの会社くらいだ」と言われたりもしていたので。

――あ、洗脳……。

元社員りほ 社長は、社員に個性を求めるんですが、それは「面白いAVを撮るには普通の感性の奴じゃダメだ」って信念があるからで。女子社員は、AVなんかを制作したがっている頭のおかしい女、を自己演出することを求められます。

メイクあいか めんどくさいね。

元社員りほ AV会社っぽくない感じの服装をしつつ、中身は変人みたいな自己演出をしてました。汚いADの格好とかしてると怒られるんで、社長に会う日は清楚系のオフィスカジュアル服を着たり。それで「めちゃくちゃな陵辱物を取りたいです!」とか言う、っていう。

――それはそれで型にはめてるだけというか、ナチュラルな変人じゃないですよね。

元社員りほ そうですよね。でもそうしないと、私はここで求められないんだ、って思い込んでいました。今は洗脳が解けてよかったです。

――その働き方で、体調を壊すこともあった。

元社員りほ 1〜2年目のときは会社にずっと泊まり込んでいて、皮膚病になりました。それくらいならまだいいんですけど、胃を悪くしたり、子宮など婦人科系等が悪くなったりとか。一昨年、朝方に社内でぶっ倒れているところを発見されて救急車で運ばれたんですよ。

――倒れた原因は?

元社員りほ 単純に働きすぎだと病院で言われました。意識が飛んで、気がついたら床に転がっている私を救急隊員が運んでた、みたいな。そんなこと、うちの会社はよくあって。私の前にも物流の部署の女性社員が倒れて救急車で運ばれて。

元女優サキ すごい辛そうにしてる社員さん、現場でよく見ました。

元社員りほ 男性も倒れますからね。私が倒れた数日後に、今度は同期の男性社員が会社付近の路上で倒れて救急車で運ばれました。そういえば、私は倒れた翌日に出なきゃいけない会議があったんですけど、病院で1日休養を取ったので出られなかったんです。そしたら出社してから「お前が倒れたことによって抜けた穴を誰かが埋めたんだぞ」と、そのことでちょっと責められました。「もう倒れるなよ」って言われた。好きで倒れたわけじゃないじゃないですか、なんでそんなこと言うんだろうなぁと思って。

――今は体の具合は大丈夫ですか?

元社員りほ 多分。子宮の調子は良くないんですけど、今はピルを飲んでなんとかしてる感じですね。でも、うちの会社の女性社員みんな卵巣を悪くしてるんで。手術してる人もいますし。

――それほどハードスケジュールってことなんですかね。

元社員りほ そうですね、ハードなのとストレスなのか……。

元女優サキ なんか、女性も働くって大変じゃないですか。一昔前の日本のほうが女性は生きやすかったんじゃないかなとか。

――思ったりしちゃう?

元女優サキ 思います。女は家で家事をしとけばいいっていう、女性全員専業主婦時代のほうがみんなラクで良かったんじゃないかとか。男女平等うたって女の人が社会に出てきて、男女平等って言うんだから男と同じだけ働けって……。そもそもカラダのつくりが男性と女性で全然違うのに、平等って謳ったからには男性と同じ量の仕事や同じ労働を求められるじゃないですか。

メイクあいか それは本当に疑問に思う。絶対女の人は体壊すし。

――うーん。でもそれって、男性が働きすぎなんじゃ。長時間労働とか、残業をめっちゃするとか、業務内容がやたらきついとかの現場それ自体が問題ですよね。そういう環境にいて「女も男並みに働けよ」みたいなことをいうのは、いや、まず男も働きすぎだから、落ち着こうって話では。

元社員りほ 確かに、男の人も倒れるし……。

――倒れるほど働いちゃダメですよ。体が違うと言いますけど、たとえば女性は寝ないで仕事して26時間目で倒れるとして、男性は35時間目までは頑張れるみたいな、それくらいの話だと思うんですね。8時間以内、長くてもせめて10時間くらいまでにできればいい。働き過ぎの環境が悪いのであって、「女は男より働けないからダメ」とかいう人は愚かだと思います。

元社員りほ 悲しくなりますね。私が辞める直前、後輩の女の子が不正出血が続くと相談してきて、産婦人科を紹介したんですよ。受診したら子宮の疾患になっていたそうで、体調もすごく悪そうだったので他の社員にロケ仕事を変わってもらったんですね。それを見た私の同期の社員が、その子に「子宮の病気とかそういうの言い訳にしてると一生俺たちに勝てないよ」って言ったんです。

メイクあいか 最悪。病気は言い訳じゃないから。

元女優サキ カラダを壊してでも働けっていうのが蔓延してますよね。女優もそういうところ、ある……。

――女優さんも人によっては毎日現場を入れている。撮影を多くやる企画女優・企画単体女優なんかは過労も病気も心配じゃないですか。

元女優サキ まずは性病が怖いですよね。それに気持ちいいセックスをさせてもらえる現場ばっかりじゃないというか、むしろ気持ちいいことなんて稀なので、単純に肉体を酷使して疲れるなって思うことはよくありました。

――性病検査は、男優さんも女優さんも月1で医療機関の検査を受けてAV制作会社に提出することが義務付けられていると聞いたことがあります。

元女優サキ それはそうなんですけど、素人男優さんとかがたくさん出る撮影とかも結構あるから……。

元社員りほ あっ、でも、私のいた会社では「素人も撮影前に絶対に性病検査を受けさせる」っていうルールがあります。応募者に面接をして、この男性は出演ありだなと思ったらそのまま性病検査の案内をして、その足で性病検査を受けに行ってもらってました。5種目「エイズ・B肝・淋病・クラミジア・梅毒」のセットがあるんですよ。結果が出るのは2〜3日後くらい。

元女優サキ あ、そうだったんですね。ほっとしました。

元社員りほ でも他の制作会社がどうかはわからないです。

――後編ではAV出演強要問題について、現場で感じていたことに踏み込みます。

(構成・水品佳乃)

支援 : 性暴力被害、支援施設整備を後押し 国が交付金 (2017.01.08)

日時: 2017-02-10  表示:178回

共同 2017/1/8 21:30

 政府は、レイプなどの性暴力に遭った被害者が治療や相談を一カ所で受けられる「ワンストップ支援センター」を全都道府県に整備するため、2017年度の予算案に交付金1億6千万円を初めて計上した。これまで資金難にあえいできた各地のセンター関係者は「助かる」と歓迎しており、未開設の県の後押しにもなりそうだ。

 性暴力の被害者は心身に深い傷を負い、警察などに相談できない人も多い。ワンストップ支援センターは“駆け込み寺”としてそうした被害者を受け止め、心身の傷を癒やし、後日告訴ができるよう証拠を保存。警察や弁護士への相談にも同行するなどして支える。

 国は20年までに各都道府県に少なくとも1カ所設置することを目標に、12年に「開設・運営の手引」を公表。昨年12月1日までに34都道府県が設置したが、公的な資金援助は乏しかったため、財源確保が課題だった。

 新設されるのは、性犯罪・性暴力被害者の支援体制整備促進の交付金。センターの開設費や運営費のほか、警察に相談しなかった被害者の医療費、医療関係者や相談員の研修費などが対象となる。自治体が負担した経費の2分の1または3分の1を国が補助する。

 全国で初めて10年に大阪府の民間病院に開設した「性暴力救援センター・大阪」(SACHICO)は現在、運営費のほとんどを寄付金でまかなっている。24時間体制で対応する相談員の人件費や、被害者への医療費補助などがかかり、資金不足は深刻だ。

 代表の加藤治子医師は「寄付に頼った活動には限界があり、交付金がなければやっていけない」と訴える。まずは自治体が被害者支援の予算を組まなければ交付金も支給されないので「各自治体は早急に予算を計上してほしい」と強調した。

 12年にセンターを開設した佐賀県の担当者は「センターは法律に基づくものではないため、設置に消極的な自治体もあったと思う。国が交付金で後押しすれば、全国的な整備がより一層進むだろう」と期待を込めた。今後設置を検討するという山梨県の担当者も「開設には資金や人材の確保が課題となるため、交付金の創設は前向きな検討につながる」と喜んだ。〔共同〕

ポルノ被害 : 性的行為の撮影要求26.9%=モデル、アイドル契約後に―

日時: 2017-02-09  表示:165回

時事通信 2/8(水) 18:46配信

 内閣府は8日、「若年層を対象とした性暴力被害等の実態把握のためのインターネット調査」の結果を公表した。

 それによると、モデルやアイドルの勧誘後に契約したことがある人は7.7%。このうち、契約時に聞いていない、または同意していない「性的な行為」などの撮影を要求されたとの回答が26.9%に上った。

 内閣府が若い女性の性的被害の実態調査を行うのは初めて。調査は昨年12月9日〜21日にインターネットで実施。全国の15〜39歳の女性2万人に事前調査を行い、勧誘または応募の経験があると答えた2575人から回答を得た。内訳は10代が515人、20代と30代がともに1030人。

 契約後に要求を受けた人に、具体的な要求内容を複数回答で尋ねたところ、「水着や露出度の高い衣服を着用した状態での撮影」が58.5%で最多。以下、「水着などの一部または全てを脱いだ状態での撮影」35.8%、「性行為の様子の撮影」22.6%、「胸や性器を触られる様子の撮影」20.8%の順となった。

 実際に要求に応じたとの回答は32.1%だった。その理由(複数回答)については、「お金が欲しかったから」が35.3%でトップ。「『契約書に書いてある』と言われたから」が29.4%、「多くの人に迷惑が掛かると言われたから」が23.5%と続いた。

ポルノ被害 : <AV問題>搾取される“女優” 支援団体に聞く・下 (201

日時: 2017-02-09  表示:180回

毎日新聞 2/9(木) 11:00配信

 「アダルトビデオ(AV)への出演を強要された」と訴える人らの相談支援を行っている民間団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」の中心メンバー、金尻カズナさん(35)と、同会世話人で「AV出演を強要された彼女たち」(ちくま新書)の著者でもある宮本節子さん(73)は、こうした被害を生まないために「男女格差が当たり前になっている社会のありようを見直す必要がある」と口をそろえる。

 一方、AVそのものや業界で働く人々に対しては「否定しない(金尻さん)」「おとしめるつもりはない(宮本さん)」とも強調。宮本さんは「演技者が成長できる土台があれば、性表現もおもしろいものになるのでは」との見方を示した上で、同会世話人の立場で見てきた現状については「AV女優は搾取されているだけで、とても“女優”とは言えない」と苦言を呈した。【AV問題取材班】

 ◇求められる「法規制」とは

 −−業界内にあらわれてきている「健全化」を目指す動きを、どう見ていますか?

 金尻さん 私たちの立場では、業界のことはよく分かりません。私たちの知っている現実は「相談者から聞く事実」と「裁判所から出てくる資料」です。でも2年間、相談支援をしてきて、AV業界には残念ながら真の言論の自由はないと気付かされました。批判的言論が全く許されていない。批判すればすごい「ネガティブ・キャンペーン」が起きる。メーカーからは「守秘義務違反や信用毀損(きそん)だから削除しなさい」という書面が届く。この業界に本当に自浄能力があるのか、私には分かりません。

 宮本さん 私たちみたいな業界に関係のない人たちがやる仕事と、業界の中で改革をする仕事と、役割分担があってしかるべきだと思います。

 金尻さん 業界が自主規制団体を作ったら強要被害がなくなるかというと、なくならないでしょう。法律を作ったらなくなるか? なくならないです。でも、法律は重要なんです。法律があることで初めて「被害」として認められる。かつて援助交際は「不良っぽい子の火遊び」「女性の問題」とされてきましたが、児童買春・ポルノ禁止法ができたことによって「買う側の問題」にブレークスルー(打開)できた。「ああ、これは被害だ」と認められて、問題が可視化されたんです。そして今、ようやく「30代が圧倒的な年齢差のある15〜16歳と付き合うのはやっぱり抵抗がある。社会的な目線を気にする」という風潮になってきた。そういう意味でも、やはり法律があるとないとでは全然違います。

 −−具体的には、どういった法整備をイメージしているのですか?

 金尻さん 漠然としてはいますが、「今ある圧倒的な格差を逆転させるような法律」です。消費者金融の例を思い浮かべてください。かつて「借りる方が悪い」とされていたものが、貸金業法の改正によって「貸す側の問題」に逆転しました。AVについても、出演者と事業者の間にある格差を逆転するようなことを、法律に明記してほしいです。

 ◇AVへの「差別」にどう向き合うか

 −−普通の会社でも「やりたくない仕事」をやらされます。しかし、AV業界で聞かれるような「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という声はあまり聞かれません。AVという職業の特殊性が問題を生んでいるのでしょうか?

 金尻さん 普通の職業とAVの大きな違いは「自分が商品である」ということ。会社員は、あくまでも指揮系統下で商品を売る立場です。だから芸能界や音楽業界にも、やはり深刻な「人身問題」があります。自分を商品として売るわけですから、そこで人権侵害は起きる構造があるんです。

 宮本さん 他の職業には何らかの形で「これをしてはいけない」という職業倫理がある。AV業界は「もうかるか」「もうからないか」で判断され、倫理というものがスポッと抜け落ちている感じがします。だから「これはしてはいけないだろう」という商品、被写体を肉体的・精神的にいじめることを目的化した作品も普通に売っている。

 −−強要問題が大きく取り上げられるようになり、AV業界で働く人たちから「職業差別を助長する」と懸念の声が上がったことをどう思いますか?

 宮本さん この本でも、いかに彼女たちが理不尽な差別を受けているか書きましたが、そこで働いて生きている人たちもいるわけで、「余計な差別はされたくない」と思うのは当然です。「そうした差別に対してどうするか」という問題と「被害をどうするか」という問題の両面を考えなくてはならない。片方だけを考えると話はややこしくなります。

 自分の体を売る人たちをおとしめるつもりは全くありません。「生き延びるための方法が今のあなたの方法なのであれば、それで生き延びてちょうだい」と思います。一方で、被害を受ける人たちを放置することもできません。

 −−団体に相談しようとする人も、「差別的に見られていない」という安心感がないと、なかなか相談しにくいのでは?

 金尻さん 誰が差別をしているのかというと、支援団体でもないし、当事者(業界人)でもない。残念ながら消費者なんです。消費者が求めているから虐待的、差別的な作品が数多く生まれてしまう。そこに根本的な問題があるのではないでしょうか。

 宮本さん 明治以来、日本では公娼(こうしょう)制度が発展し、戦後に売春防止法ができましたが、「消費者の問題」は一度も論議されたことがありません。「売る方」が差別され、「買う方」は問題にされないという風潮があります。男がどれだけAVを買っても「お前そんなものを見ているのか」とはなりません。AV出演が分かって結婚が破談になる女性はいても「AVを見る男性とは破談します」という話はない。ものすごい非対称性の中で、私たちの社会は動いているんです。

 女と男の社会的な力関係が非対称だから、AVが成立するのだと思います。「50対50」であればAVはなくなるはずです。そうではないから、お金のない人はお金のある方へと流れていく。賃金や労働条件、ワーク・ライフ・バランスなど格差が当たり前になっている社会で、最も先鋭化しているのが「性の格差」であり、その中で起きているのがAV問題なんです。

 ◇AVを否定していない

 −−AVが存在していること自体が問題だ、という考え方でしょうか?

 金尻さん よく勘違いされるのであえて何度も言っているのですが、私たちはAVを否定している団体ではありません。(出演者と事業者が)対等な性表現は大切だと思いますが、じゃあ今、業界の現状はどうかというと、全く(対等とは)違う現実があるわけです。プロダクションやスカウトだけを摘発してしっぽ切りすればいいのではなく、メーカーも責任を問われなければいけない。もっと言えば、大手通販サイトを含めて、販売して利益を得ている人たちにも責任があります。

宮本さん さらに言えば、仮に大手メーカーがつぶれても関係ありません。消費者の問題をどうするのかということは、日本の社会、文化の在り方に関わってくる話です。そこまできちんと話をしないと、全体像を変えないといけないんじゃないかと思います。

−−女性を傷付けるような内容ではなく、もっと豊かな性表現であればいい?

 宮本さん すごくおもしろいんじゃないですか。日活ロマンポルノ出身の有名女優もいますが、それなりに嫌なこともあったかもしれないけど、演技者として成長できる土台みたいなものがあったのでしょう。今、問題にしているAVは「演技者」を作っているわけではなくて、女性の「性器の使用権」をただ使い捨てているだけ。演技者としてのステップアップの段階が用意されていません。

 ◇相談態勢の拡充を

 −−そもそもAVの問題、性被害の問題に関わるようになったきっかけは?

 金尻さん 2004年にAVメーカー「バッキービジュアルプランニング」の撮影で女性が肛門に重傷を負い、代表者ら8人が逮捕される事件がありました。その公判を傍聴して「これは問題だ」と思ったのがきっかけです。見て見ぬふりができない性格だったので、PAPSに参加してこの問題に関わるようになりました。

 宮本さん 実は若い頃に一度、「とても手に負えない問題だ」と自覚して挫折したことがあるんです。社会福祉を専攻していて、戦後の混乱の中で貧困に陥った女性が性を売って生き延びた話や元日本軍の慰安婦だった人たちの話を聞いたのですが、こちらが2次被害を受けるくらいの話で、「とても太刀打ちできない」と思いました。それが、70歳になってから金尻さんたちと出会ってPAPSの世話人を引き受け、ソーシャルワーカーとして蓄積した知識とノウハウを伝授して、「やればできるんだ」と実感しています。

 金尻さん 私たちも、相談が増えて“火の車”のような状況になってきていますが、当初は相談してくる人もいなかったわけで、ハードルが下がって相談できるような土壌ができたのはいいことだと思います。

 宮本さん 金尻さんは「明日撮影させられそうで、逃げたいんです」という時にも駆け付けて救出するし、真夜中のメールや電話への対応も一人で引き受けています。シフトを組めるほどの人数がいないからです。「いつも同じ人が受ける」というのは相談者にとっていいことですが、支援者の彼女にとってはすごく過酷な生活なので、つぶれないうちに対策を考えなくてはいけません。

−−PAPSは運営費をどうやって工面しているのですか?

 宮本さん カンパだけです。

 金尻さん これまでできていた副業ができなくなってしまい、フルタイムになったんです。あと1人、専業スタッフが欲しいですね。

 宮本さん 全国の婦人相談所などにも(相談員の)人材はいるのですが、AVの被害に対応するノウハウの蓄積が足りません。金尻さんも一朝一夕に今の力をつけたわけではなく、相談者に学ばせてもらって成長できたわけですから、そういった公的機関の人をどう育成していくかを行政には真剣に考えてもらいたいです。

ポルノ被害 : AV問題 「パンドラの箱」開いた 支援団体に聞く・上 (20

日時: 2017-02-09  表示:176回

毎日新聞 2017年2月8日 12時47分(最終更新 2月8日 16時47分)

 「アダルトビデオ(AV)への出演を強要された」と訴える人らの相談支援を行っている民間団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS)」の中心メンバー、金尻カズナさん(35)と、同会世話人でフリーソーシャルワーカーの宮本節子さん(73)が毎日新聞の動画インタビューに応じ、これまでの活動やAVにまつわる問題の背景などについて語った。

 昨年3月に人権団体が強要被害に関する報告書を公表して以降、問題がさまざまな媒体で取り上げられ、業界の実情などが相次いで告発されてきた過程について、金尻さんは「パンドラの箱が開いた」と表現。「出演者と事業者の圧倒的な格差を逆転させる必要がある」として、法規制の必要性を強調した。

 昨年末、相談者の肉声などをまとめた書籍「AV出演を強要された彼女たち」(ちくま新書)を出版した宮本さんは「ノーと言えない性格の人が狙われやすい」と指摘。また「男女の力関係が極端に非対称になっている社会全体の問題でもある」として、消費者側の指向性についてももっと議論すべきだと訴えた。

 上・下2回に分けて紹介する1回目は、相談の状況や被害者像などについて2人の実感を聞く。「下」ではそれらを踏まえ、問題の背景事情や解決策などを探る。【AV問題取材班】
“パンドラの箱”が開いた

 −−どのような支援活動をしているのか、改めて教えてください。

 金尻さん 2009年にソーシャルワーカーや研究者らが一緒になって設立したPAPSと、「人身売買」の被害に取り組むNPO法人・ライトハウスが出合い、15年から共同支援事業を始めました。ボランティアとフルタイム、計約10人のスタッフがいて、AV被害や児童ポルノ、リベンジポルノ、性風俗で半ば意に反して働かされている人などの相談支援をしています。具体的には、困っている人からコンタクトがあった時に面談を行い、弁護士や警察などの社会資源につなげるだけでなく、問題の終結まで寄り添いながら伴走していきます。

 −−AVに関する被害の相談状況は?

 金尻さん 13年は1件でしたが、14年は36件、15年は62件、16年は98件の相談がありました。終結までは最低で半年、長いと2年ほどかかります。リアルタイムで(スタッフが)動いている相談者は40人以上。今年に入って(1月11日時点で)3件増え、とにかく今は大変な状況です。

 −−特に昨年は社会問題として大きく取り上げられ、支援活動も注目されました。

 金尻さん ある種の“パンドラの箱”だったのではないかと思います。10年ごろ、業界側は「被害がない」「クリーンとは言わないけど、ホワイトだ」などと主張していましたが、私たちのところに来る相談はかなり深刻なものでした。じゃあ、訴えたらいいかというと、相手は年商100億円などの企業ですから、お金もない相談者は訴える力をそがれてしまうという構造的な問題があります。手口も巧妙かつ先鋭的になっており、私たちも「法律を変えなくちゃいけない」と訴えたり、使える法律を探してアプローチしてみたり、あきらめないで2年間突っ走ってきました。

 宮本さん まさにパンドラの箱を開けてしまった感じです。私たちも「ポルノグラフィーの製作現場で性暴力的なことがなされているのではないか」という理屈は立てられていましたが、現実をあまり知らなかった。それを彼女たち(相談者)がリアルに教えてくれました。一つ一つの事例が千差万別なので、どうしたら彼女たちが納得できるのか、試行錯誤しています。
相談者に共通する「自責の念」

 −−宮本さんの著書「AV出演を強要された彼女たち」には、「その日の住まいを見つけなければならない」などかなり緊急性の高い相談事例も登場します。

 金尻さん 今日とか明日(に逃れたい状況がある)という話は昨年だけで10件ほど。12月には「明日、撮影会モデルの仕事がある。ヌード撮影に応じざるを得ない」という相談もありました。「撮影会」とは、AVの撮影前に行うプロモーション活動で、裸に慣れさせるのも目的です。プロダクションは、女性を言いくるめて裸にすることにたけている。時にはほめて、時には脅して、その繰り返しで、人って簡単に支配できるんだなと感じます。特に20歳前後の方は「契約したものは絶対に履行しなくてはいけない」という思い込みがある。重要事項を詳細に説明していない契約は、有効性に問題があるのですが、「やらなくてはいけない。でも困っている」というところから相談が始まるんです。

 −−同書では、相談に来る人が「被害者という認識がない」「自分も悪いと思っている」ということも強調されていますね。

 宮本さん びっくりするんですよ。自分でネットを検索してプロダクションを見つけ、サインをした人もそうですが、スカウトを受けた人も「タレント・モデルになりたい」という気持ちがあって積極的についていったというプロセスがあり、暴力的に拉致されたわけではない。何らかの形で自分の意思が関与しているので、すごく自責の念があるんです。「自分に責任があるんだけど、とにかく困っているから助けてください」「こんな私でも相談に乗っていただけますか」といった調子の相談が、昨年前半くらいまで多かった。(報道などで)強要問題が焦点化されるようになってからは比較的、ストレートに「困っているんです。助けてください」と訴える人が増えてきました。
「ノーと言えない女性」が選別される

 −−相談目的で一番多いのは、作品の回収や販売停止ですか?

 金尻さん そうです。未販売のものを止めたいというケースもあれば、販売後に回収したいというケースもあります。例えば、「身バレ(※出演が周囲に知られること)しないと聞いていたのに大手サイトで大々的に販売され、ツイッターでも拡散し、すぐに身バレしてしまった」などという相談がありますが、プロダクションやメーカーの人は、「自分の不注意で彼氏にスマホを見られるなどして身バレすることはあっても、年間10万本も販売されているし、君は『星くずの中の星くず』だからバレないよ」「バレると思うこと自体、逆にちょっと『てんぐ』になってるんじゃないの?」などと言うんです。

 「10年前に撮影されたものを回収したい」という相談もあります。当時は販売に同意していても、ネットで配信されるとは思っていない。それがいきなり再編集されてネットで売られてしまい、「身バレしたくない。子供には知られたくない」と訴えながら来られます。

 宮本さん だいたい、どの契約書にも「本人の肖像権を全部メーカーに引き渡す」というものすごく大事な条項があるのですが、(プロダクションからは)その説明がない。知らないまま署名し、「総集編」などとして2次使用、3次使用されてしまうと本人はパニックになります。最初は承知しても、撮影途中で嫌になることも当然あり得るわけで、途中破棄(ができる)という条項があってしかるべきなのですが、それは見たことがありません。

 −−「狙われやすいタイプ」というのはあるのでしょうか?

 金尻さん ある大手プロダクションのケースで一般的な流れを説明すると、「コスプレモデル」「グラビアモデル」などを募集する“表”のサイトがあり、そこに応募してきた人たちがまずアダルトチャット(※ウェブカメラ映像を使いリアルタイムにやり取りするシステム)のモデルをさせられます。そこで逃げない方、「ノー」と言えない方を選別する。18〜19歳はチャットで稼がせながらキープしておき、20歳の誕生日にAVプロダクションに連れて行って「脱げる子ですよ」と言うと、トントンと(デビューの)話が進む。

 宮本さん 「ノー」と言えない性格の若い女性たちが狙われやすいというのは、経験則から見えてきています。AV出演契約に持っていくまではいろいろな手順があり、マニュアル化されているのではないかと思うほどです。そういう子たちは「言っちゃ悪いかな」という変な倫理観に惑わされて、嫌だと言えないんです。
タレントになりたがる女性たち

 −−AV出演強要を巡っては「タレントになれる」という誘い文句が非常に効いているようです。なぜそこまで、女性たちはタレントになりたがるのでしょうか?

 金尻さん 現在の日本では、アイドルやタレントはとても楽しそうで華やかな業界として描かれています。誰かに認められたい、社会的に成功したいと思う一方で、自己評価や自己肯定感が低い10代〜20代前半の女性にとって、多少の性的なことを要求されたとしても、親に迷惑をかけずに自立し、「一発逆転」する手段として芸能界に行くことが、手っ取り早い道に思えてしまいます。

 宮本さん やはり、女の子が選べる職種の狭さだと思います。「俳優になりたい」という男の子はそれなりの修業をするわけですが、「タレントになりたい」という女の子たちの「修業」に対するイメージはものすごく貧困です。だからタレントにスカウトされて、「プロモーション用にちょっとフルヌードの写真撮ってみようか」と言われてもおかしいと思わず、受けて立ってしまうのです。

 この本に出てくる女の子たちは、皆さん美しい人たちなんですね。それはいいんだけれども、その美しさを「性とくっつけて売る」というイメージが17〜18歳でインプットされてしまっている。裸になることに若干、抵抗はしても「女がこういう道で生きて成功するための方法なんだ」という刷り込みがどこかでなされている。テレビなどを見ていても、そういう情報はいっぱいあります。
求人サイトの“トリック”

 −−悪質な勧誘に惑わされないよう、啓発や性教育がもっと必要なのでは?

 金尻さん もちろん予防も重要ですが、「予後」も重要なんです。予防だけしていても被害はなくならない。学生たちはやはりお金に困っています。貧困なんです。「奨学金を使ってしまった」と切羽詰まっている方もいます。「高収入 女性」と検索するといろいろなサイトが出てきて、AVプロダクションもかなり紛れ込んでいる。そこには、面接するだけでお金をくれると書いてあるわけです。

 −−「話だけ聞きに行って、無理だったら断ればいい」という発想は危険?

 金尻さん やはり向こうもそれでご飯を食べている人たちなので、言葉にたけているんですよ。例えばこういう感じです。(※実際にスマートフォンの検索画面を見せながら)「バイトがしたいけど忙しい」「買い物をしたいけどお金がない」「ご相談いただいた方全員に1万円」。どこにも「AV」って書いていないんですね。でも、これはある中堅AVプロダクションのフロント会社なんですよ。こういうものが、検索をしたらパパッと出てくる。本来こういった広告は禁じられているはずですが、当たり前に行われています。

 −−自衛には限界があるという前提で、女性にできることは何でしょう?

 宮本さん 困ったと思ったら相談すること。とにかく業界「外」の人に相談することが大事です。家族が無理なら友達でもいい。話しづらいだろうけど、そこは一歩、勇気を出してください。「他者に話すことによって、抱えている問題を自分で整理する力」というものを、たいがいの人が持っていますから。

 金尻さん 相談を受ける側も、独りで抱え込まずに支援団体に相談してほしい。これはつくづく思うのですが、相談される側が独りで抱え込んでしまい、結局は相談者の利益にならないことがあるんです。(勧誘手法は)先鋭化しているので、個人で闘える相手ではありません。もっと言えば、弁護士さんも相談してほしい。私たちにはいろいろな「戦果」の情報が入ってきますから。
なぜ「辞めたくても辞められない」のか

 −−相談支援活動を続けてきて、どんなことを感じますか?

 金尻さん 私たちは相談者と一緒に闘う立場であって、ジャッジする立場ではありません。「非審判的(裁かない)態度」を大切にしています。ただ、一つ言えるのは「出演者と事業者の立場には圧倒的な格差がある」ということです。

 また私自身、作品の削除請求をするためにAVをたくさん見るのですが、もう性的に見ることができなくなっているし、「このシチュエーションはぬるいな」「次のアングルはこうだろうな」などと考えてしまう。何度も見るとまひしていくんですよ。業界人も出演者も、同じようにまひしているんじゃないかと思います。AVを見たこともなかった人が、巻き込まれて出演してしまうと、性に関するアイデンティティーが変わってしまう。感覚が変わるんです。

 −−「セックス観が変わる」ということでしょうか。

 金尻さん 例えば、子供の頃に親や義父から性的虐待を受け、「自分には価値がない」「性的なことは嫌いだ」という相談者にとって、AVに出ると「2〜3時間頑張れば十数万円になる」と自分の体の価値が金銭的な価値に置き換えられてしまい、なかなか辞められなくなり、(AV出演に)依存していかれた方も複数います。

 ある相談者が「今辞めても、自分には何も残らないから続けるしかない」と言っていました。他の就職先があるわけでもないし、思ったほど稼げてもいない。家賃の支払いもあるのに預貯金はどんどん目減りしていく。そこでハードな撮影に応じると、精神的にダメージを受け、また稼げなくなるという負のスパイラルに陥る。でも、私たちはそういう方に「辞めなさい」とは言いません。非審判的態度で、本人が辞めたいという意思を持つまでずっとそばに寄り添いながら、伴走している状況です。

 宮本さん ベースになっているのはソーシャルワークの理論と実践です。決してその人を責めない。もう十分に自分で責めているわけですから、その上に他者の私たちが責めることは絶対にしない。でも、それにはこちら側の覚悟というか、身構えが必要。「あなた、なんでそんなことしちゃったのよ」と言う方がすごく楽なんですけど、口まで出かかってグッとのみ込む。忍耐力はだいぶ養われたよね。

 金尻さん 図太くなりました。ただ、「支援慣れ」するのが怖い。相談者の事情は一人一人違うので、そこに寄り添わなければいけません。

 宮本さん 本当に混乱して飛び込んできた人が、話しながら自分の気持ちを整理して、やるべきことを見つけて力を得ていく姿をまざまざと見ることもあって、それはうれしい。

 金尻さん 最初は困惑し、どうしたらいいか分からなくても、一緒に整理して優先順位を付けていくと全体像が分かってきます。そうすると「自分でコントロールできる」と思えてきて、ふっと楽になれる。私たちのミッションは、そうやってコントロールを奪われた状態から回復するお手伝いをすることだと思っています。

(つづく)

最新 >> 1   2   3   4   5   6   7   8   9   10   >>  最初
言語の選択
;
 
論文資料集9
2009年度のAPPの調査研究の成果を、論文資料集第9号にまとめました。ぜひご購入ください。詳細はこちらより
 
論文資料集8
2008年度のAPPの調査研究の成果を、論文資料集第8号にまとめました。ぜひご購入ください。詳細はこちらより