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その他 : 携帯サイトの“番人”「EMA」の中立性は?

日時: 2009-09-12  表示:4845回

 青少年の携帯サイトでのトラブルを防止のために、ふさわしくないサイトをカットする「フィルタリング」では、第三者機関の「EMA」がサイトを審査している。携帯サイト事業者が会員であるEMAの審査基準、中立性などについて聞いた。(テクニカルライター・三上洋)

<h2>EMA認定サイトは青少年でも閲覧OKに</h2>

 携帯有害サイト対策のフィルタリングチェックについては、以前の記事「携帯フィルタリング、親が実行すべき3ポイント」で紹介している。フィルタリングの仕組みは2段階となっている。

 1段階目はジャンルごとの選別だ。民間会社であるネットスター社が携帯サイトをジャンル別に分類し、それを元にして携帯電話会社が青少年にふさわしくないジャンルを遮断する。例えば「アダルト」「コミュニケーション」といったジャンルは青少年の携帯では閲覧できない。

 2段階目は認定サイトのチェックだ。青少年に人気のある「コミュニケーション」のサイトは1段階目では遮断されているが、一定の基準をクリアした認定サイトだけは、フィルタリングを外して閲覧できるようにした。この基準作りとサイトの審査・認定を行っているのが、第三者機関であるEMA(一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)だ。

 つまりEMAの認定を通れば青少年でも見られるし、認定がなければ遮断されてしまう。携帯サイト側にとっては死活問題ともいえ、各社ともこぞって申請を出し認定を取得しようとしている。またEMAの審査・認定がしっかりしていないと、フィルタリング制度にも信用がなくなり、青少年への被害が出る可能性がある。EMAの審査基準や中立性について、EMA事務局広報担当の岸原孝昌さんに話を聞いた。

<h2>審査に3か月。監視体制の実地調査も</h2>

 ――コミュニティーサイト認定の審査方法は?

 岸原「まず予備審査をしたうえで、本審査としてサイト調査、実地調査、書類審査などを行います。書類審査では監視体制、ユーザー対応など30点以上の書類の提出が必要です。実は携帯サイト事業者の多くが、こういった書類に書くべき基準を持っていなのです。まだ歴史の浅い業界ということもあって、運用の基準やルールを明確にしないままできています。書類を作成させることが、基準やルールをきちんと整備させることにつながります。EMAからも必要に応じて、是正するように指導します」

 ――サイト調査・実地調査はどのようなことをやるのですか?

 岸原「EMAが決めている認定基準をもとに、サイトを実際に確かめてチェックします。性欲を刺激するもの、暴力行為・残虐性を助長するもの、自殺を誘発するものなどはNG。またサイバーパトロールとして有人で監視しているかどうかも重要です。これは実地調査でチェックし、きちんとした監視を行っているかEMA側で確かめます。規模や投稿件数が多いサイトでは24時間の有人監視体制が必要です」

 ――審査にかかる時間は? 認定後はどのようにチェックをするのですか?

 岸原「審査にかかる時間は、おおむね3か月程度。認定を出した後も3か月ごとに定期レポートを提出してもらい、常にEMAが運用監視を行います。また1年ごとに更新審査を行い、本審査と同様の形式で再び認定を取得することになります。申請にかかる料金は、本審査が30万円から200万円前後、認定後の運用監視に20万円から130万円前後です(いずれもサイトの規模による)。認定後の運用監視にもコストがかかっています」

<h2>36サイトを認定、認定一時停止のサイトも</h2>

EMAの2008年度認定24サイトの状況。のべ会員で5000万人、1日あたりの総投稿数は約3000万件にも及ぶ

 ――今までの申請、認定件数は?

 岸原「8月31日現在で、36サイトに認定を出しています。ただし認定後の運用監視で、基準をクリアできなくなった1サイトを認定一時停止としました。また申請件数はのべ70件ありますが、不適用や対象外のサイトもあります」

 ――認定を一時停止した理由は?

 岸原「サイトの規模拡大にもかかわらず、運用管理体制を充実させなかったためです。利用者が大きく伸びているサイトでは、規模に応じてサイバーパトロールなどの人数を増やす必要があります。基準に達しないと、途中でも一時停止としているのです」

 ――サイバーパトロール体制はどうなっているのでしょうか?

 岸原「2008年度のデータですが、サイバーパトロールが907人です。総会員数は5000万人、1日当たりの総投稿数が約3000万件ありますから、きちんとした監視体制が必要です。認定サイトではシステム監視や有人監視によって、問題のある投稿を1日あたり約25000件を削除しているほか、問題のある行動をしたユーザーに対しての強制退会も行っています」

<h2>独立性・中立性は保てるのか?</h2>

 ――EMAでは携帯サイト事業者が会員になっているだけに、独立性、中立性を心配する声がありますが

 岸原「第三者機関として独立性、中立性を保つことに気を配っています。まずEMAを運営する事務局は、全員が携帯サイト事業者とは関係のないプロパー(生え抜きの人間)です。携帯サイト事業者からの出向、派遣はありません。理事会には携帯サイト事業者が参加していますが全体の半数以下であり、有識者が過半数を占めるようになっています」

 ――それでも会費や申請費用が携帯サイト事業者から出るわけで、本当に中立性を保つことができるのでしょうか?

 岸原「EMAの根幹となる『基準策定委員会』や審査を行う『審査・運用監視委員会』は、すべて有識者で構成されており、サイト事業者はタッチしていません。またこれとは別に有識者による『諮問会議』もあって、意見や諮問を出せるようにしています。会費や申請費用は実費であり、それによって携帯サイト事業者側に有利な審査をすることはありません」

 ――認定サイトに有害な広告があるのでは、という指摘がありますが

 岸原「まず認定サイトでは、青少年の利用に不適切な広告は掲載できません。認定を取るには、このような広告を排除する必要があります。また18歳未満のユーザーに対して、性表現を含むコンテンツの広告を表示しないシステムを要求しています。いわゆる『ゾーニング』と呼ばれるもので、これにより18歳未満のユーザーが登録型サイトにアクセスした場合は、不適切な広告が表示されないことを基準にしています」

<h2>携帯サイト以外でも青少年向けのガイドラインが必要</h2>

 ――青少年を犯罪から守るために今後どんな活動をしていくのですか?

 岸原「EMAの現在の認定は掲示板、SNSなどの『コミュニティーサイト』のみですが、今後は文章、画像、動画、電子書籍類、ゲームなどの『サイト表現』のサイトでも審査、認定を行うように準備しています。認定基準案を出して、皆さんから意見をいただいて検討しています」

 ――EMAの活動は携帯サイトに限られるのでしょうか?

 岸原「今までの携帯サイトとPC向けサイトは、利用スタイルや内容面で大きく異なっていました。しかし携帯ゲーム機やスマートフォンなど、その中間ともいえる利用スタイルが増えてきており、携帯サイトとPC向けサイトの垣根はなくなっています。すべてのサイトで青少年の利用に配慮したガイドライン、規制が必要です。

 しかし携帯サイト以外では公式のフィルタリングはありませんので、保護者や青少年が内容を判断できる基準が必要だと考えています。そのためEMAでは、セルフレイティングという活動を支援しています。セルフレイティングとは事業者自身が基準に適合しているかチェックするもの。EMAで作ったガイドラインを元に自らチェックしてもらい、青少年に有害なコンテンツを排除してもらおうというものです。これによりPC、携帯ゲーム機、スマートフォンなどでのアクセスでも、ある程度は青少年被害を減らすことができるのではないかと考えています」

(2009年9月11日 読売新聞)


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