[毎日](2004年1月14日)
◇前代未聞
わいせつ行為や盗撮、学校活動費の私的流用など計10件の不祥事で教職員計12人が懲戒処分になった問題で、県教委は13日、郡山市内で全公立学校の校長約900人を集めて緊急の校長会を開いた。県教委によると、同規模の校長会が不祥事対策で開かれるのは前代未聞という。校長会後には、全市町村の教育長90人を集めた緊急会議も開かれた。
校長会で高城俊春・県教育長は「生徒との接し方に慣れやおごりはないか」と訴え、不祥事が頻発する原因について「自分には関係ないと思っている人が常にいるのではないか」と述べた。一方で「不祥事の処分が遅い」との指摘もあることを踏まえ、「これだけ不祥事が多いと刑事処分を待てない。正月もなくできるだけ早く対応した」と反論した。校長会ではまた、小、中、高の各校長会が連名で「宣言」を出すことを決めた。
会議ではこのほか、今回の不祥事対策の柱として県教委が打ち出した全公立学区での「服務倫理委員会」の早期設置が通達された。委員会の人数や委員構成は保護者を含めるかどうかなど各校の主体的な判断で決めるが、「服務倫理指導者」として教頭が任命され委員会に参加する。定期的に会合を開き、不祥事防止の具体的な取り組みについて協議するという。
県南地方のある高校の**(59)は「不祥事対策の議論を重ねてきたのにこの結果だ。委員会の設置や宣言だけではダメでこれらをいかに運用するかにかかっている」と話していた。【坂本昌信】
◇もっと突っ込んだ分析が必要??原町市教育長
教育専門紙の記者として教育問題を長く取材し、市民の公募で民間から選ばれた渡辺光雄・原町市教育長に、今回の県教委の対応について聞いた。
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県教委から示された資料はすでに報道された内容で、何の目新しさもなかった。どのような状況で、どんな人が不祥事を起こしたのか、もっと突っ込んだ分析が必要だ。緊急の校長会や教育長会は全体的に抽象的な話で、いつ、どんなふうに起こるかわからないことを注意しろ、と言われているみたいだった。
ただ、不祥事を闇から闇に葬り去るのではなく、一応公表しようとしているところは一つの風穴と言える。さらに風通しを良くして、学校と一般社会との距離を縮めてもらいたい。新しく設置する「服務倫理委員会」は、教育行政と現場との連携強化のきっかけになる。「雨降って地固まる」としなければならず、「できました」だけでは意味がない。(談)