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売買春 : 「プチ」を知っていますか? 女子高生がライト感覚で手を染める”ツイッターわいせつ”《氾濫する隠語》 (2020.04.10)

日時: 2020-04-10  表示:185回

文春オンライン 2020/4/10(金) 6:00配信

「プチ」ときいてそれが性行為未満の「プチ売春」を意味するとわかる向きはどれだけいるだろうか。警察当局による取り締まり強化で逃げ場をなくした犯罪者達が、誰もが見られるツイッターという公共空間に姿を現し始めた。苦肉の策として隠語を駆使して闇バイトを集め始めている。ほかにも「運び」「野菜」「手押し」と、謎の隠語は新型コロナウイルスによる不況も追い風にすらしようとしている。

「実技指導」などと称して女子高生にわいせつ行為

 日本がまだ緊急事態宣言の噂に揺れていた4月上旬、警視庁少年育成課が児童福祉法違反容疑で逮捕したのは、住所不定、職業不詳の南口彰博容疑者(34)だ。昨年10月、当時17歳だった女子高生に「デリバリーヘルスの実技指導」などと称してわいせつな行為をさせた疑いだ。

 南口容疑者は実際、18歳未満の少女らの裏デリバリーヘルス店を運営。半年弱で160万円を売り上げていたというが、少女らを見つける手段はツイッターだった。

《お会いできる方いますか。プチ》。

 昨年9月に少女が投稿したつぶやきはこれだ。「プチ」は、実は「プチ援助交際」「プチ売春」の意味。性交を伴わない性的サービスを行い、対価を得る売春である。

 南口容疑者らは敏感に反応して少女に連絡。客をあてがうことが始まったとみられる。少女の動機は「好きなアイドルのライブなどでカネが必要だった」というような軽い理由というから、南口容疑者らの女衒商売も楽なものだったろう。
「胸のみお触り+0.2(服の上から)」

 こうした「つぶやき売春」はどうやら蔓延しているようだ。「プチ」とツイッターで検索してみるだけでいい。女性の顔写真とともに、売春行為を持ちかけるツイートが大量に現れる。

 仔細にみると、「プチ」を持ちかける隠語だけの短いつぶやきに、長めの文章の画像が貼り付けてある例が多い。

《生F 0.5(交通費+0.1〜)
 胸のみお触り +0.2(服の上から)
        +0.4(服の下から)
     口内 +0.5》

 つぶやきと違って、直截な表現が目立つ。「生F」とは口淫のこと。「口内」とは口内で体液を受け止めること。「胸のみお触り」はお察しの通りの意味だ。この世界の単位は福沢諭吉だから、0.1は1000円を指す。

腕組みやハグは数千円単位

《上から目線の方、横柄な方はご遠慮下さい》と最後に付け加えることで、いざ、さまざまな行為に応じることに躊躇を感じた場合に断れる予防線も張っている。

 なかにはさらに「ライト」な内容に限定し、腕組みやハグなどを数千円単位で「売る」女性もいる。

 春を売る対価は金銭だけではない。ご丁寧にも、自分がほしい化粧品や食料などの商品リストをネット通販サイトのアマゾン上に公開して物乞い行為まで行っている。わずか数百円の美容液どころかペットボトルのアイスコーヒーまである。

 こうした女性に対し、客がメッセージを送り、「サービス」を受ける。女性の評価専門のツイッターアカウントや、金だけ取られた詐欺行為を告発するアカウントなど、「プチ援助交際」を取り巻く生態系もできあがっている。売るのも買うのも違法行為。当事者による自警行為でしか安心を担保できないのだろう。

 かつて、こうした売春も物乞い行為も路上か、あるいはネット上でも2ちゃんねるなど特定のユーザーしか利用しない場で行われてきた。だが、いまや振り込め詐欺などの特殊詐欺の要員までがツイッターで募集されている。

 捜査関係者はこう分析する。

「受け子、出し子、掛け子。警察が組織をあげて取り締まりを強化したことで、従来は口コミで補充していた犯罪グループの末端要員が足りなくなってきたのだろう。残念ながら、それだけ、まだ詐欺への需要がある、ということでもあるが……」
《#闇バイト#即金#手渡し#運び#野菜#手押し》?

 ツイッターで常に一定量のツイートがあるのが、こうした「闇バイト」だ。

《都内で2人ぐらいスグ動ける人いませんか? 1〜2時間で10ぐらいならお支払い可能です #裏バイト#闇バイト#即金#即日#手渡し#運び#野菜#手押し》

 隠語の目白押しだが、「野菜」は「大麻」、「手押し」は「手渡し」、「運び」は「デリバリー」を意味する。要は大麻の運び屋を10万円で募集しているのだ。他にも取引が禁じられた希少生物など、運ぶ対象にタブーはない。

 ちなみに「受け」は振り込め詐欺などの特殊詐欺の「受け子」、「出し」は「出し子」で、こちらも「人気」のある職種だ。過去に、この手法で募集された受け子、出し子の例も枚挙に暇がない。

 クリント・イーストウッドの監督・主演映画でその名も「運び屋」という映画があった。生花園がつぶれ、高額報酬に釣られるままに麻薬の運び屋稼業に手を染める高齢の農家を好演していたが、この映画のポイントは、高齢の素人であるからこそ、警察に疑われることなくトップの運び屋になっていく、という筋書きだ。

 運び屋は逮捕のリスクも高いが、素人であればあるほどバレにくい。つまり、麻薬組織としては運び屋に使い捨ての素人を雇う積極的な動機が存在する、ということだ。

 その点、素人を広く募れるツイッターは理想的ともいえる。

 募集の文言のなかにはよく「#債務者#借金」というキーワードも挟まれる。こうした闇バイトに群がる層がどんなものかを物語る。実際、ある多重債務者の中年男性も「借金で首が回らなくて、詐欺絡みの闇バイトに応募しようと思ったことがある」と打ち明ける。この男性は思いとどまったが、その裏に誘惑に負ける幾多がいることは想像に難くない。

 公共空間で恥じらうこともなく発信される犯罪者の募集。誰でも検索して見つけられるだけに、差別的な発言を理由にアカウントを次々に凍結しているツイッターの運営側による凍結が追いつかないのは、不思議といえば不思議だ。

 鍵は、先ほどの画像付きのツイートにあるのかもしれない。ツイッターがアカウントを削除するときの一番の手がかりは、ツイートのテキストだ。だが「プチ」などの単語は健全な意味でも広く使われており、削除の網に引っかからない可能性がある。それでも性行為の料金表は十分、削除対象となりうるが、画像にしているため、これもまた既存の監視網にかかりにくいとみられる。

 さらなる問題は、新型コロナウイルスにより不況に突入した経済情勢下で、こうした多重債務者など闇バイトの走狗となりそうな層が増えることが見込まれることだ。

《コロナの影響でバイトに入れてない人、稼げてない人、お金に困ってる方はご連絡ください!》というようなツイートも出回り始めた。

 もちろん、外出の自粛要請がさらに強化されればどうなるかはわからない。《新型コロナウイルスの影響で人が集まらないので高額お約束いたします》というつぶやきも散見される。コロナ不況が闇バイトを同じく不況に追い込むのか、それとも特需をもたらすのか。どちらの帰結が社会にとって望ましいかは言うまでもないが。

末家 覚三/Webオリジナル(特集班)


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