静岡新聞 2018/3/20(火) 7:32配信
静岡県は性犯罪や性暴力に遭った被害者が治療や相談などの総合支援を1カ所で受けられる「性犯罪等被害者ワンストップ支援センター」を7月、静岡市内に開設する。被害者からの相談を一元的に受け付けるとともに、迅速に医療機関や警察に橋渡しして被害者の負担軽減を図る。2018年度当初予算に関連経費1950万円を盛り込んだ。
県くらし交通安全課によると、性犯罪被害者はこれまで警察に被害届を出さないと、医療面で専門的な支援を受けることができなかった。その上、被害者が病院や警察などに自ら足を運び、繰り返し被害状況を説明しなければならず、二次被害を受ける懸念もあった。
センターには、女性相談員2人が平日の午前9時から午後8時まで常駐し、夜間や土日なども電話対応する仕組みを整える。365日24時間態勢で相談に応じ、臨床心理士や産婦人科医、弁護士、警察とも連携する。警察や病院に行く時には相談員が付き添い、被害届を出さなくても医療費の一部を支援する。男性被害者にも対応する。
県内では強制性交や強制わいせつなど、性犯罪の被害届が年間約180件出されている。ただ、性犯罪に遭って被害を届け出るのは2割程度とされ、県内だけでも実際には年間約1千件が発生していると推計される。
内閣府が15年3月に公表した調査結果によると、女性の性暴力被害者のうち「誰にも相談しなかった」と答えたのは67・5%。近親者や会社の同僚など、顔見知りから被害を受けるケースが多く「自分さえ我慢すれば」と抱え込んでしまう場合が多いという。
県は警察よりも相談の敷居が低い施設を設置することで、泣き寝入りや被害の潜在化を防ぐ。同課の担当者は「被害者には自分に責任があると思い込む人もいるが、そう思わず一度相談してほしい」と話す。