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製作被害 : AV強要、厚労省や消費庁、警視庁も動き出す それでも残る「不安」 (2018.02.06)

日時: 2018-02-06  表示:235回

withnews 2018年02月06日

 AV出演強要問題で、行政・捜査機関の業界への働きかけが強まっています。出演者について厚生労働省は「労働者」、消費者庁は「消費者」として考えた場合の問題点を文書で表明。警視庁は「人権侵害事案には、積極的な事件化を図る」とした要請書を出しました。支援団体は「法的対応」を含む抜本的な解決を訴えます。「文書ラッシュ」の背景にあるものは? そしてAV業界に与える影響とは?(朝日新聞記者・高野真吾、荒ちひろ)
厚労省「法令遵守を」

 厚労省と消費者庁は、2017年9月15日、AVメーカーなどでつくる知的財産振興協会(IPPA)に対し、それぞれ文書を送付しました。

 厚労省は「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題に関する関係法令の遵守について(依頼)」と題する文書を送付しました。

 A4で5ページにわたる文書は、過去の判決の紹介や、「職業紹介」「労働者の募集」「労働者供給」について、概念図つきで違いを説明しています。「労働者に該当する場合」には労働「関係法令の遵守(じゅんしゅ)が求められる」としています。

消費者庁、契約取り消せる場合も

 消費者庁も厚労省と同じ17年9月15日に「アダルトビデオ出演強要問題と消費者契約法の適用について(周知)」と題した文書を、IPPAに送っています。こちらはA4で2ページです。

 「消費者契約法」は、物やサービスを販売する売り手である事業者と買い手である消費者がかわす契約に関し、消費者保護のルールを定めた法律です。事業者は情報量が多く、交渉力も強くなります。その事業者が不適切な行為をした場合、契約を取り消すことができる規定を設けています。

 これをAV問題に置き換えると、売り手はプロダクション、買い手は出演者になります。今回、業界団体に出された文書では、両者の契約で「消費者契約法の適用があると考えられる場合があります」と指摘しました。

 その場合、プロダクションが、出演者に「重要事項について事実と異なることを告げる」「勧誘されている場所から退去する旨の意思を示したにもかかわらず退去させない」などして契約を結んだ場合、取り消すことができると記しています。

 消費者庁によると、特定の業界に向けてこうした周知文を出すのは、「珍しい」とのことです。

警視庁「深刻な人権侵害」

 警視庁は2月1日、AVメーカーやAVプロダクションの社員ら約180人を集め、「事件説明会」を開催。警視庁生活安全部の田代芳広部長が「AVへの出演強要は深刻な人権侵害であり、我々も被害防止のため、積極的に事件化をすすめていく」と述べました。

 田代部長は、説明会に出席したIPPAの島崎啓之・理事長に対して「(AV出演強要が)社会的な問題となっている」という旨の要望書を読み上げ、その場で手渡しました。

業界団体「新しいルールの浸透につとめる」

 IPPAは、2016年6月、プロダクション社長ら3人が逮捕されたことを受け、「大変申し訳なく思っております」「業界としてはこの事態を重く止めております」などとする声明文を出しています。

 AV出演強要問題に対する、この1年半の取り組みや今後の課題についてIPPAはどのように受け止めているのでしょうか。

 取材に対してIPPAは「(外部の有識者でつくる)AV人権倫理機構と相談し作ってきた『新しいルール』について、本年から順次スタートしています。会員AVメーカーには、そのルールを実施してもらうように浸透させていく事が、まずは弊協会の責務です」と説明します。

本番の性交渉は「回答見送る」

 国際人権NGO「ヒューマンライツナウ」(HRN)などは、AV出演強要に特化した法律を求めています。

 加えて、HRNは「法律に抵触する虞(おそれ)。また性交渉を契約の拘束力によって義務づけることがゆるされるのか」と撮影にかかわる本番の性交渉の禁止を要求しています。

 この点についてIPPAは「AV出演強要の問題とは関係のない内容なので、回答は見送らせていただきます」としています。

支援団体「国による法的対応含む対策を」

 一連の行政・捜査機関による「文書ラッシュ」について、支援団体のNPO法人「人身取引被害者サポートセンター ライトハウス」は「これまで動いてきた内閣府はじめ、警察庁や警視庁、厚労省、消費者庁などの業界への働きかけを大変心強く思います。引き続き、関係各省庁の取り組みに期待を寄せています」と話します。

 一方、「新しいルール」などの業界団体の自主規制については、「歓迎します。ぜひ出演強要被害の根絶に向けて取り組んで頂きたい」としながら、次のように付け加えました。

 「これまで受けてきた300件を超える被害相談から見える問題の根深さを思うと、業界の自主規制のみによる被害根絶については、不安を覚えます。自主規制とともに、国による法的対応を含む対策を、両輪の輪として回していくことが必須だと考えます」

試される業界の実行力

 法規制という「最終手段」に対してIPPAは「法改正、新法、条例などが必要のないAV業界であるべきであり、その為(ため)にもメーカーの団体として新たな自主規制に取り組んでいきます」との考えを示しています。

 人権団体と業界団体の間にあるズレ。自主規制には限界があるのでしょうか?

 一口にAV業界といっても、関係者は多数です。2月1日に開かれた警視庁の説明会に参加したAVメーカーは130社、プロダクションは35社。それぞれ規模や成り立ちも異なります。

 支援団体や業界との各種訴訟に携わる弁護士たちが疑問視するのは、この広い業界に自主規制を本当に「浸透」させられるのか、です。これまで悪質な強要手口を多数、被害者から聴いてきたことから、多少の改善では「被害の根絶」はできないとの危機感を持っています。

 業界の実行力が試されています。


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