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売買春 : [狙われる女性](4)家追われ、行き場なく風俗店に (2016.09.23)

日時: 2016-09-24  表示:1548回

読売 2016年09月23日

民間の施設に避難、滞在長期化も

 「ここがなければ、今もネカフェ(ネットカフェ)にいたと思う」。茶髪に黒いジャージー姿の女性(20)は、か細い声でこう言った。民間のシェルター(一時的な保護施設)で暮らして約10か月になる。

 高校卒業後、地元の飲食店で働いたが、いじめで離職。怒ると手のつけられない母親から家を追い出され祖母宅に移ったが、折り合いが悪く、昨秋、家出同然で上京した。

 未成年で部屋は借りられず、貯金もない。風俗店に「楽に稼げる」と誘われた。客から指名が入るとホテルに出向き、ネットカフェで寝泊まりしながら週3〜4回働いた。だが、徐々に心身のバランスは崩れていった。

 心配した友人が、若年女性の支援団体に相談するよう勧めてくれた。「行く所がない」とスマホからメールを送ったのは昨年11月。今はシェルター内の4畳半の個室が居場所だ。うつ状態が深刻で週1度精神科に通いながら、自立のため生活保護の受給手続きをした。「元気になったら友達と海にいきたい」と夢を語る。

 女性を保護したのはNPO法人「ボンドプロジェクト」(東京)。シェルターは2014年7月に開設した。「今日、寝る所がない」という女性を救いたいと、連携する団体の宿泊施設を5人分ほど借り上げ、24時間体制で運営する。16年6月末までに14〜28歳の延べ1013人を受け入れた。シェルターは、児童相談所など他機関につなぐ目的で、短期の利用を前提にしているが、支援が長期化する場合もある。

 同法人代表の橘ジュンさんは「虐待や貧困など少女が抱える背景は複雑だが、帰る所がなく、生きるために男の誘いに乗らざるを得ない子が多い。ひと晩でも安心して心身を休められる場がもっと必要」と話す。

 女子高生らの支援を行う一般社団法人「Colabo(コラボ)」も15年、シェルターを作った。

 売春の恐れのある女性を保護し、自立させる施設はすでにある。60年前に制定された売春防止法に基づき、設置されている婦人保護施設だ。しかし入所には婦人相談所長の措置決定が必要ですぐには入れず、携帯電話禁止の施設もあるなど若い女性は利用しにくいとの指摘もある。全国に48か所あるが、14年度の平均在所率は29・3%と低調だ。

 お茶の水女子大名誉教授の戒能民江さん(ジェンダー法学)は、「従来の婦人保護事業では、若い女性を支援しきれない」と話す。若い女性の場合、買春や性被害に遭っても、自分が悪いと思って相談しない人も多く、行政や大人への不信感も根強い。「行政から手をさしのべる新たな支援が必要」と戒能さん。相談員が小型バスで街を巡回し話を聞いたり、若いスタッフが話し相手になる居場所を作ったりするのも一策という。

 全国婦人保護施設等連絡協議会会長の横田千代子さんは「時代と共に困難を抱える女性の状況は変化している。若年女性らを柔軟に婦人保護施設で受け入れられるよう、法改正を含めた改革を訴えていきたい」と話す。(おわり)
性暴力の被害者半数「死にたい」

 性暴力は心にも深い傷を残す。「ボンドプロジェクト」が2013年度に実施した10代、20代の女性369人に対する調査では、性暴力被害の経験がある女性は249人(67%)に上り、その約半数の117人が「死にたい」「消えたい」という思いを抱えていた。

 性暴力の内容は、「痴漢」「無理やりキス」「性行為をされた」が上位を占め、加害者は「知らない人」「男の知人」「父」などが挙がった。自殺を考えるほど思い詰めても、友人らに相談したのは62人だった。

 性暴力撲滅に向けた啓発に取り組むNPO法人「しあわせなみだ」理事長の中野宏美さんは、「性暴力は体だけでなく心にも複雑な影響を及ぼす。長期にわたる、被害者に寄り添った支援が欠かせない」と話す。

 (板東玲子、福士由佳子、谷本陽子が担当しました)


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