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ポルノ被害 : AV女優「引退後」も再編集されて新作発売・・・二次的な利用を止めることは可能か? (2016.04.22)

日時: 2016-04-22  表示:2752回

弁護士ドットコム 2016年04月22日 09時40分

若い女性たちが、自身の意に反してアダルトビデオ(AV)への出演を強要されている実態をまとめたヒューマンライツ・ナウの報告書をめぐり、弁護士ドットコムニュースは、元AV女優で現在は作家として活動している川奈まり子さんにインタビューした(https://www.bengo4.com/internet/n_4489/)。

その際、川奈さんは一番の問題点として、「AV出演者の肖像権が守られていないこと」や「著作権にまったくタッチできないこと」をあげた。川奈さんによると、メーカー(AVを制作・販売する会社)が「白素材」という無修正のマスターテープを保管するという。

1つの作品が販売されたあとも、メーカーはその白素材を再編集し、別のパッケージにして売る。こうした「焼きまわし」の新作は、AV女優を引退したあとも発売され続ける。だが、1作品目の出演料だけしかもらえないのだという。

このような「ルール」は、AV業界ならではのものだろうか。それとも、映画やテレビドラマの俳優たちも同じように「1作品目の出演料しか」もらえないことになっているのだろうか。著作権にくわしい高木啓成弁護士に聞いた。

●著作権法上、AV女優は「映画の出演者」という扱いになる

AV女優には、法律上はどのような権利があるのだろうか。

「アダルトビデオは、著作権法上『映画の著作物』という扱いになります。映画の出演者であるAV女優には、実演家の『著作隣接権』という権利が発生します」

高木弁護士はこう切り出した。その「著作隣接権」によって二次的な利用を拒否することはできないのだろうか。

「残念ながら、著作隣接権は『ワンチャンス主義』と呼ばれ、いったん映画の出演に同意した以上、基本的にその後の二次的利用について権利行使することができません。

また契約上も、AVビジネスの現場では、AV女優さんが著作隣接権を行使することができないように権利処理されています」

●AV女優の報酬は「印税方式」ではない

AV女優は、どのような契約をしているのだろうか。

「AV女優は、直接、メーカーと契約するわけではありません。AV女優はプロダクション(マネジメント会社)との間で、『マネジメント契約』のような契約をします。

この契約では、次のようなことが定められています。

(1)AV女優は、プロダクションの指示に従って出演業務を行うこと

(2)AV女優は、著作隣接権をプロダクションに譲渡すること

(3)プロダクションは、AV女優に一定の対価を支払うこと

そのうえで、プロダクションがメーカーとの間で『出演契約』を締結します」

プロダクションとメーカーとの間の契約はどのようなものなのだろうか。

「この契約では、次のようなことが定められています。

(一)プロダクションは、AV女優に指示してそのAVメーカーのAVに出演させること、

(二)プロダクションは、AV女優の著作隣接権をAVメーカーに譲渡すること、

(三)AVメーカーは、プロダクションに一定の出演料を支払うこと」

女優はこうした契約を経て、AVに出演しているというわけだ。

「したがって、AV女優が有する『著作隣接権』は、プロダクション経由でメーカーに譲渡されてしまっています。そして、メーカーがプロダクションに『出演料』を支払い、その一部がプロダクションからAV女優に報酬として支払われることになります。

AV女優の報酬は、AVの売上に対応した『印税方式』ではなく、1回きりの固定の金額のことがほとんどです。著名なAV女優でなければ、びっくりするくらい低い金額です」

●テレビドラマや映画との違いとは?

テレビドラマや映画の場合も同じなのだろうか。

「テレビドラマの場合、著作権法に放送に関する特別の規定がある関係で、テレビドラマの出演料と別に、再放送やDVD販売された場合、出演者に一定金額が支払われます。

一方、映画の場合、契約内容としてはAVと同様で、出演者への報酬は1回きりの固定額の場合が通常です。映画がDVDになったり、テレビで放送される場合でも、別途報酬が支払われることはほとんどありません。

ですので、先ほど説明したAVの権利処理が、一概に不当な契約というわけではありません」

●プロダクションとずさんな契約が結ばれている

では、法的に考えると、AVの問題点はどこになるのだろうか。

「むしろ、プロダクションとの『マネジメント契約』の締結が、あまりにずさんにおこなわれるところでしょう。

映画に出演することとAVに出演することは大違いです。AVに出演することは『著作隣接権」の譲渡という域を超えています。ある意味で、性的な『人格権』を放棄するようなものです。引退後も半永久的に映像が残り続けますから、ヘタな不動産や金融商品を買うよりもはるかに大きな不利益を被る可能性があるといえます。

それにもかかわらず、現状、AVプロダクションには、監督官庁もなければ、重要事項の説明義務すらありません。悪質なAVプロダクションが、一般の芸能事務所を装って若い女性を勧誘し、なかば脅迫まがいな態度で契約書にサインさせているケースも見受けられます」

もし仮に、プロダクションと契約したら、出演から逃げられないのだろうか。

「プロダクションと契約したからといって、法的にはAVに出演する義務はありません。違約金を支払う義務もありません。裁判で認められています。ですので、契約後であっても、出演したくなければ、拒絶することができます。

しかし、ひとたび出演して、そのAVが流通に乗ってしまうと、その後、AVの差し止めを請求することは非常に困難になります。長期戦になりますし、訴訟提起せざるを得ないケースも多いです。どうしても弁護士費用も高額になってしまいます。また、流通を差し止めることができても、すでに消費者の手に渡った映像を消去することは不可能です。

もし、出演を強制されそうになっているのであれば、出演前に、AV被害を扱う弁護士や被害者支援団体に相談していただきたいと思います」

高木弁護士はこのように述べていた。


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