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ポルノ被害 : 年500人超がAVデビュー 出演強要の末、違約金まで…AV業界歴30年の男性が衝撃の実態を語った (2016.03.14)

日時: 2016-03-14  表示:2363回

産経 2016.3.14 10:00

 「(アダルトビデオ)AVメーカー各社は利益を確保するため、新作を増やし、次々と新人をデビューさせないといけない。さらに『誰もやったことのない過激さ』がユーザーから求められる。そうした中で、女性をだまして出演させたり、やり過ぎとも思える性行為が行われたりしている。ギャラを女優に渡さないなど目に余る行為もあるようだ」

 約30年間、AV制作に携わり業界トップの一人とされる男性は、取材にそう証言した。

 AV業界は数千億円規模の産業とされるが、近年は海外アダルトサイトに日本製AVが無断でアップされたり、自主規制団体の審査を通っていない無修正動画が簡単に出回ったりするなど、業界を取り巻く状況は厳しくなっているという。

 AVや無修正動画の年間制作数は不明だが、この男性によると、少なくとも年間2千本、500人の新人女優が毎年デビューしているという。一部には「年間2千〜3千人がデビューしている」とする推計もあるほどだ。

 「女優はプロダクションが制作メーカーに派遣する。“出演の合意がある”という建前なので、メーカー側は女優とトラブルが起きても『プロダクションと話し合って』と責任を取らない。プロダクション側も『出演契約を結んでいる』と強弁する。出演の発覚を恐れて訴え出ることもできず、結局は女性たちが泣き寝入りすることになる」

 この男性は「単なる性行為の過激さではなく、ドラマ仕立てにするなど女優の演技全体を見てもらう方向に進めるべきだが、残念ながらこうしたニーズは少ない」と話す。国の監督強化などを求める声が上がっていることについても、「規制は賛成だ。今のままではエスカレートするだけで、いずれ問題になって業界は自身の首を絞めることになるだろう」と警鐘を鳴らした。

女性が自殺した例も

 3日に公表されたHRNの調査報告書などによると、調査に協力した「ポルノ被害と性暴力を考える会」に寄せられた相談件数は、相談を始めた平成24年と翌25年は各1件に留まったが、26年は32件、27年は81件に急増した。現時点で相談件数は130件を超えたという。

 相談の内訳(昨年9月末時点)では「だまされて出演」が21件と最多で、以下は「出演強要」(13件)、「出演拒否で違約金請求」(12件)などが続いた。また「知人に出演を知られた」(9件)、「出演発覚が怖い」(7件)などもあった。

 具体的な相談内容には、「タレント・モデルにならないか」とスカウトされ、契約後にAV出演を強要された▽出演を拒否すると「親にばらす」「自宅や大学に迎えにいく」「違約金を払え」と脅され、出演せざるを得なかった▽違約金などで脅されて不本意に出演を続けたが、次第に過激になり、12リットル以上の水を飲まされたり、複数人との性行為や肛門性交、卵白を局部に流し込まれるなどされた−などがあった。

 また、強引にAV出演させられ、自身のAVが販売されていることを気に病み、自殺した女性の事例もあったという。

法的保護の壁

 HRNは報告書で、国の監督強化や意に反して出演させられた女性を守る法律の整備の必要を訴えた。

 過去には、「鬼畜系」と呼ばれる過激なジャンルを目玉にしていたAV制作会社の実質経営者の男が、女優を集団暴行して重傷を負わせたとして懲役18年の実刑判決を受けた事例や、出演を拒否した女性に所属プロダクションが違約金の支払いを求めて提訴したものの、「本人の意に反した出演契約は無効だ」と請求が棄却された事例はある。

 しかしAV制作は形式的には「合意された出演契約に基づき、女性が“演技”などの対価として報酬を得ている。モザイクがかかっている上、いわゆる“本番行為”はしていない」という建前になっているため、売春防止法やわいせつ物頒布罪、強姦罪、強制わいせつ罪など刑事罰の適用は一般に困難とされる。

 また民事上でも、女性とプロダクション側は従業員と雇用主という「労働契約」ではなく、プロ同士の「委託契約」とされることが多いため、女性は職業安定法や労働者派遣法上の保護も受けにくいという。

 こうした状況の中でHRNは、意に反してAV出演を強要されるなどした女性を守る方策として、(1)AV出演強要は消費者被害に類似していることから、特定商取引法や消費者安全法の範囲を拡大し、国の是正措置を行えるよう法整備を進める(2)女性とプロダクション側の契約が委任契約だったとしても、実質的に労働者契約である場合は国が監督責任を果たす(3)捜査当局が犯罪として積極的に捜査する−などを提言した。

 HRN事務局長の伊藤和子弁護士は「被害を相談したくてもできない女性は多いはずで、相談は氷山の一角だろう」とし、「民法上、不当に結ばれた契約は無効だということを知っている若い女性は少ない。恐れずに相談してほしい」と話している。

 HRNの報告書は、同団体のホームページでも公表されている。(小野田雄一)


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