朝日新聞 2016年1月26日20時23分
韓国人元慰安婦の女性2人が来日し、26日に衆議院議員会館で記者会見した。昨年末に日韓両国政府が慰安婦問題の解決に向けて合意したことについて「間違った合意だ」と批判し、改めて「公式謝罪と法的賠償」を日本政府に求めた。
来日したのは、ソウル近郊広州市で元慰安婦が暮らす「ナヌムの家」から来た李玉善(イオクソン)さん(88)と姜日出(カンイルチュル)さん(87)。戦時中に旧満州(中国東北地方)で慰安婦をさせられたという。
2人は政府間合意が被害者側への相談なく進められたことを批判。李さんは「事前の説明があるべきだった。私たちを無視して合意したのは受け入れられない」と憤った。姜さんは、岸田文雄外相が安倍晋三首相の「おわびと反省」を代読したことに「なぜ安倍さんが直接、謝罪に出てこないのか。今回は最後だと思って日本に来た」と話し、首相との面会を訴えた。
ソウルの日本大使館前に建てられ、日本が撤去を求めている「少女像」について、李さんは「少女像に手を出してはいけない」。姜さんは「少女像の撤去は、私たちを殺すのと同じこと」と反発した。
日本で元慰安婦の証言を疑う声があるとの質問に対しては、李さんは手を見せながら、戦時中につけられた傷痕があると語り、「ここに傷が残っているのは事実なのに、なぜ私たちがうそをついているというのか」と憤った。
また「ナヌムの家」の安信権(アンシングォン)所長は、今回の合意に「最終的かつ不可逆的解決」との文言が盛り込まれたことについて「加害者が問題を早く終わらせたいという意味。被害者は今も悪夢を見ている」と語った。(中野晃、編集委員・北野隆一)