ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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児童ポルノ : 消せない:児童ポルノと性犯罪/1 広がるネット流通

日時: 6091-08-07  表示:5619回

◇「出てるのお前?」 おびえ続ける少女

 古い一戸建ての庭に草木が生い茂る。今年1月のある朝、警視庁捜査員が埼玉県郊外の住宅に踏み込み、40代の男を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(販売目的所持)の疑いで逮捕した。同居する老父は青ざめ、捜査員は物が散乱する男の部屋を見て言葉を失った。

 「違法と知ってたけど軽い気持ちでやっちゃって。拘置所もめったに入れる所じゃないし、いい社会勉強だった」。有罪判決を受け執行猶予中の男は5月、毎日新聞の取材に開き直るように話した。

 男は約20年前から児童ポルノを収集していた。ビデオを整理するためにDVDレコーダーを購入し、作業の途中で思いついた。「これをコピーしてインターネットオークションに出せばもうかる」

 かつてはアルバイトの収入があったが、逮捕当時は無職。父親との2人暮らしで生活費に窮していた。DVDは100円程度で買える。落札価格が1000円でも優に元は取れる計算だ。しかも元のテープも手放さずに済む。収集から販売に転じ、約半年で80本が売れ「まとめて売って」という注文も来た。

 捜査でレコーダーは没収されたが、愛蔵のテープ20本は袋に入れて手元に置いたままだ。「法律が変わって持っているだけでも処罰される日が来たら、保管場所を変えればいい。これだけは墓場まで持っていく」

    ◇

 児童ポルノを売ることは罪だが、買うことは許される日本。マニアが金欲しさにコレクションを複製して販売する事件が相次ぐ。撮影から何年もたった画像がネット上に出回り、被害児童はいつまでもおびえ続ける。

 「また同じ画像か」。警視庁少年育成課の捜査員はネットの販売サイトを調べる度に無力感に襲われる。「一度世に出た児童ポルノは、もはや消し去ることは不可能なのか」

 警視庁と三重、福岡県警合同捜査本部は昨年9月、大規模な販売組織を摘発した。年間売り上げは推計1億4000万円。リーダー格の男(31)は元裏ビデオ店店員で、「独立したほうがもうかる」とネットに詳しいパチンコ仲間らを集めた。サイバー捜査が及ばぬよう販売サイトの開設、閉鎖を繰り返した。

 押収したDVD約3万枚のほとんどがネット上から入手した画像の複製品で、被害児童を特定できない。捜査本部は「小学2年」と題されたDVDの画像鑑定を医師に依頼。被害者を9歳と判断して立件にこぎつけた。

 押収品には奈良県警などが05年、被害児童を特定し、製造者を逮捕した「関西援交シリーズ」もあった。捜査は終結したが、複製の流通は止まらない。

 摘発から3年たった今も、奈良県警捜査員は被害児童らの身を案じる。新天地で再出発した子供もいれば、突然携帯電話が通じなくなった子供もいる。震える声の電話を時折受ける。

 「知り合いに言われたの。『あれ見たぞ。出てるのお前か?』って。どうしよう」。捜査員は少女に繰り返す。「絶対認めたらあかん。もう忘れて、今を大事にするんや」

   ×  × 

 ITが悪用され際限なく複製される児童ポルノ。被害児童の画像はネット上から消せない。心の傷も癒やせない。犯罪は増幅し、後を絶たない。幼い性の商品化はどうしたら防げるのか。=つづく

==============

 ■解説

 ◇法を改正し、拡散防止を
 警察が児童ポルノを摘発するには被写体が18歳未満であると立証する必要がある。画像は大半が、買春や虐待、盗撮など犯罪行為の中で撮られるが、拡散すると最初の犯罪までたどり着くのは困難だ。身体的特徴から判断できるのもおおむね小学生以下とされ、合法的に流通する画像の数は計り知れない。

 個人で見る目的だけの収集(単純所持)が罪でないため市場は広がり、次々と販売、譲渡される。児童らしき画像の販売サイトを見つけ削除を依頼しても、強制力はなく、被害児童を特定した画像であってもいつまでもネット上から消えない。

 国会は、児童ポルノ規制に超党派で取り組んできたが、今回の改正では、与党と民主党が単純所持を処罰化する方向で一致しながら同じテーブルに着かず、今国会中の改正は時間切れとなりつつある。

 児童ポルノ対策は東京で今月開かれるG8(主要8カ国)司法・内務相会合でも議題となる。迷惑メールで一方的に送り付けられた場合を除外するなど法改正には慎重さが求められるが、児童を守るためには一刻の猶予もない。【磯崎由美】

毎日新聞 2008年6月2日 東京朝刊


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