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DV : ひまわりが咲く日:児童虐待を追う ふさがる傷/1 実父、養父の暴力に耐え続け /奈良 (2013.02.01)

日時: 2013-02-13  表示:2311回

2013年02月01日 毎日新聞

 ◇「我慢して」母の言葉に絶望

 2人の父親から虐待を受けた女性がいる。

 大阪府内に住む上原陽子さん(30)。田園風景が広がる京都府の丹後半島で生まれた。実の両親と2歳上の兄の4人家族。父は仕事をせず、家で酒を飲み、イライラすると兄妹を殴り、けった。「あまり記憶はないが、恐怖だけは覚えている」。左脇には傷跡が残っている。父に包丁で刺された跡だ。母は兄妹の命の危険を感じ、3歳の時に離婚した。
 ◇布団は血まみれ、ゴミあさる日々

 母はすぐに再婚。しかし義父もまた、暴力を振るった。毎日のようにパチンコに行き、帰ってくると寝ている兄妹を起こして殴った。母は、多くが義父のパチンコ代や酒代に消えていく家計を支えようと、昼は縫製工場、夜はスナックで働き、ほとんど家にいなかった。敷地内に住んでいた義父の父が暴力を止めに入ってくれたが、小学6年の時にがんで亡くなり、虐待はエスカレートした。

 「布団はいつも血まみれで、顔と体には常にあざがあった」。兄への暴力はさらにひどく、鉄パイプで殴られたりしていた。

 食事も十分に与えてもらえなかった。親族が経営していた自宅近くの喫茶店に行き、裏に置いてあるゴミ箱をあさってパンの耳をかじり、飼っていた犬のドッグフードを食べて空腹を紛らわせた。

 中学の先生にあざについて聞かれても「兄妹げんかで…」としか言えなかった。義父の報復が怖くて、ただ耐えた。

 そのうち、抱きつかれたり、風呂をのぞかれるようになった。引き出しを勝手に開けて下着を見られ、服を脱げと脅されたこともあった。我慢が限界に達し、母に相談した。「我慢して。そうすればこっちにとばっちりが来ないから」。母の言葉に、絶望した。「それでも母親か、と心底憎んだ」。それ以来、誰にも相談することはなかった。

 中学1年の時、母が義父との間に男児を妊娠した。弟ができることを喜んだが、おたふく風邪を引き、母にも感染。母は中絶した。義父から「お前が殺したんだ」と毎日のように責められた。「私なんか死んだ方がいい。朝、飛び降りて自殺しよう」と眠りについた晩、その男の子が夢に出てきた。「死んだらあかん、僕の分まで生きて」。その言葉が支えになった。

 中学では、1歳年上の先輩と付き合い始め、髪を明るく染め、たばこを吸い、ピアスを開けた。家には帰らず、夜通し遊んだ。しかし、義父はそれを許さなかった。連れ戻され、背中や手にたばこを押しつけられた。そして、部屋にかぎをかけられ、家から出してもらえない日々が続いた。「孤独で、自分の部屋が刑務所みたいだった」

 半年後、再び学校に通えるようになったが、義父が給食費の支払いを渋り、また学校に行けなくなった。中学3年間で、実際に学校に通ったのは半年ほどだった。その間に、兄は高校を中退し、逃げるように家を出て行った。
 ◇母の入院機に家出、「殺す」と手紙残し

 卒業後は、母と同じ縫製工場に就職。給料日には、義父が仁王立ちして帰りを待っていた。「ミシンを毎日毎日かけてやっと手にしたお金が、一瞬でパチンコ代に消える。力をつけて、復讐(ふくしゅう)してやろうと思っていた」

 16歳の時、母が子宮がんで入院した。義父との2人暮らしが始まった。「いつか犯される」。その恐怖から、半年後に家出をした。

 出て行くとき、義父あての手紙を残した。その内容を今も覚えている。

 「絶対殺してやる。戻って殺してやるから待ってろよ。おまえがお母さんを病気にしたんや」

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 ◇実態伝え被害防ぐ 虐待の傷に迫る第3部

 取材で知り合った女子高生。母親のことをたった一言、「嫌い」と吐き捨てた。そしてうつむき押し黙った。心身に受けた虐待の重さをひしひしと感じ、それ以上言葉を掛けることをためらった。

 でもそれでよかったのか。虐待は悲惨だ。しかし、本当の実態を知るためには、つらくても当事者に聞くしかない。その内容を伝えることで、虐待を踏みとどまったり、通報しようという人が増え、子供たちが救われることにつながることを願う。

 「ひまわりが咲く日」は第3部として、当事者にあえて深く迫る。自分と同じような被害者が生まれないために、二度と思い出したくないことを、記者に赤裸々に語っていただいた方もいた。

 タイトルは「ふさがる傷」。どんなにつらい経験をしても、希望を見つけ、乗り越えてきたという当事者の言葉をヒントにつけた。「心の傷は消えることはないが、いつかふさがる」。このメッセージを同じように虐待で苦しむ人々に届けたい。
 ◇数多く出版、小説や体験記 社会的関心集める 「身近な問題」感じて

 育児放棄(ネグレクト)などの問題を扱う「歓喜の仔」(天童荒太著)など児童虐待を描いた小説や、虐待された過去を告白した体験記が数多く出版され、社会的な関心を集めている。「歓喜の仔」は幻冬舎から昨年11月に出版され、既に読者から100通以上の手紙やメールが届いているという。

 児童虐待に詳しい西澤哲・山梨県立大教授(臨床心理学)は「自分とは関係のない世界の物語としてではなく、社会のゆがみから生じた身近な問題なんだと感じながら読んでほしい」と話す。また、本やブログで虐待体験を語ることについて、西澤教授は「自身を客観的に見られていることを示し、過去を乗り越えるステップだ」と指摘している。【岡奈津希】


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