ポルノ・買春問題研究会
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ポルノ被害 : DMMからカリビアンコムまで――なんで無修正がタダで見放題!? エロ動画サイト“ビジネスモデル” (2012.11.12)

日時: 2012-11-14  表示:4725回

サイゾー 11月12日(月)19時26分配信

──「DMM」など課金制のまっとうなサイトから、「FC2」や「アダルト動画ブックマーク」、はては「XVIDEOS」などなど無修正のアダルト動画までがタダ見できてしまう知る人ぞ知るサイトまで、アダルト動画サイトの運営者はいったい誰で、どのようなビジネスモデルのもとに展開されているのか徹底調査!!

 ふだん我々、特に男性読者諸氏が最も目にしているIT系のコンテンツといえば、エロ絡み、要はアダルト動画ではなかろうか?

 確かにひとたびネットで検索をかければ、AKB48と提携している「DMM・com」のような大手サイトで配信されているAVメーカー公認の有名AV女優のエロ動画から、広告だらけの怪しげなサイトに上がっている無名女優のモザイク無しの動画まで、ありとあらゆるエロ動画に簡単にアクセスすることができる。しかし、こうしたサイトの運営者は、いったい何を目的にサイトを運営し、どのようにして収益を上げているのか? そこには、ネット世界特有の闇が潜んでいるのではないのか?

 そこで本企画では、ネット上に無数に存在するアダルト動画サイトの実像に迫り、そのビジネスモデルごとにいくつかのパターンに分けて分析してみたい。まずは、過去にアダルト動画サイトのインフラ設計をしていた経験も持つというエンジニアA氏の言葉をひきたい。

「例えば、YouTube?の動画配信などで今では当たり前に用いられているフラッシュビデオの技術。あれを最も早くきちんとした形で導入したのって、アダルト動画サイトだと思います。アクセスが集中しても絶対に落ちないよう最新のアプリケーションをいち早く導入することなどにも見て取れるように、エロ系サイトへの最新技術の導入って、実はすさまじく早いんですよね」

 名の知られた法人が運営する有名サイトなどと違って「アダルトサイトは、最悪ダウンしたとしても社会的な影響力は少ない」(A氏)ことが、こうした進取の気性に拍車をかけているという。では、こうしたサイトを実際に運営しているのは、いったい何者なのか?

 まずは、ネットでアダルト動画を物色する際、おそらく最も多く目にするであろう「無料パクリ系動画サイト」について。一見、サイト上に多くのアダルト動画がアップされているように見えるが、そうした動画をクリックしてみると実際には、後述する「FC2動画」「XVIDEOS」などに存在するさまざまなアダルト動画に勝手にリンクを貼っているだけ……つまり、動画を自ら配信しているわけではないタイプだ。

「こうしたサイトの多くは、リンクやバナー広告によるアフィリエイトが基本的な収益源ですね。つまり、ユーザーがページ内のリンクをクリックしたり、そのリンク先の会員制有料サイトで実際に動画を見たり商品を買ったりした場合に、運営者にその“報酬”が支払われる。集客力の高いアダルト動画でPVを稼ぎ、そのうちの何割かがリンク先でお金を落としてくれればその分儲かる、というわけです」(A氏)

 では、その運営者は?

「個人が副業でやっているケースもありますが、この手のサイトは、ページ下部に入っているバナー広告のリンク先である出会い系サイトと一体化しているケースも多いんですよ。私が仕事を受けていた会社も、実はそうした出会い系サイト運営事業者でした」(同)

 A氏によれば、そうした事業者にとってアダルト動画サイトは、それ単独で収益を上げるためのものではなく、あくまでも客寄せにすぎない。アダルト動画に吸い寄せられてくるユーザーのうちの数パーセントでもリンク先の出会い系サイトに入会してくれれば、十分元は取れるというのだ。

「基本はリンクを貼る技術があればいいから、個人でもできる。運営コストもレンタルサーバ代くらい。だからこそ、我々のような個人のプログラマーや、“オモテ”の仕事だけでは食べていけないIT企業に、実際のサイト運営がアウトソーシングされてくるわけです。むしろ、ひとりで30〜50くらいのサイトを管理してる人もざらにいます。そうしたサイトは、どれかひとつを更新すればすべてのデータが更新されるようプログラムされていて、しかも相互リンクでアクセスを流し合っている」(同)

 実際、A氏のように下請けとしてではなく、会社員として働く傍らアフィリエイト目的で個人でアダルト動画サイトを運営しているというB氏も、このように語る。

「現在、サイト開設4年目ですでに1000本近くの他動画サイトへのリンクがあり、週2回ほど更新して、毎月の収入は20万円強。メインは『カリビアンコム』など有料動画サイトのアフィリエイトです。ある程度のPVを稼げるようになってからは、某風俗情報サイト運営者の方からメールで依頼が来て、月3万円でバナー広告を頂くようにもなりました。それに対して運営コストは、レンタルサーバ代が月4200円、ドメイン更新料が年間約800円程度。安いものですよ」

 では、前出A氏のような技術者や中小IT企業に動画サイトの運営を依頼してくる出会い系サイト業者の実態は結局……

「私は、アルバイト情報誌に載っていた『簡単なサイト管理業務』という募集を見て応募したのですが、本当に普通の企業、都内にオフィスに持っていて、IT企業然とした社名を持つ普通の企業なんですよ。うさんくさい業務を行っているからこそ、ボロが出ないように、この業界には珍しく事前に契約書を交わしてくれたり、むしろちゃんとしすぎているという印象さえ持ちましたね」(A氏)

 アダルトメディアにも明るい評論家の荻上チキ氏も、このように語る。

「有名リンクサイトの『動画ファイルナビゲーター』の関係者に取材をしたことがあるのですが、本人たちも『自分たち以外はヤクザがやっているのでは』なんて思っていたらしいです。でも、相互リンクした別のアダルト動画サイト運営者と実際に会ってみたら、普通の人で安心したと語っていました。この種のサイトは、『素人がなんとなく始めたら成長しちゃった』というケースも多いんです」

■「西新宿」「代々木」が無修正仕事の“隠語”

 逆に、素人ではとてもではないが運営できないと思われるのが、「カリビアンコム」に代表される「有料・無修正系動画サイト」。国内既存AVがアップされているのではなく、まったく独自の新規撮り下ろしオリジナル動画を定額で配信しているサイトだ。

 サイトの見た目もビジネスモデルも「メーカー公認系動画サイト」とほとんど同じだが、問題は配信されるコンテンツが「無修正」だということ。日本国内で正規に購入・レンタルしたアダルトDVDしか見たことのない者が、きちんと日本語表記されたこのサイトで、モザイクなしの無修正動画が普通に配信されているのを見れば、確実に面食らうことだろう。しかも、そこにアップされているのは、モザイクありの作品でも活躍している、現役人気AV女優だったりするのだ……。

 日本では違法なはずの無修正ポルノを、なぜ堂々と配信できるのか? それに対するお決まりの返答が「運営会社もサーバも、海外にあるから」。日本の刑法は国内の行為にしか適用されないから……というわけだが、これに対して前出の荻上チキ氏はこのように語る。

「明らかに日本人向けに運営しているわけですから、摘発逃れをずっと続けられるかといえば、微妙なところでしょう。実際、海外サイトの日本版であっても、国内アダルト業界の関係者が現場の制作作業などになんらかの形で関与しているのは確実ですし。これまで日本のアダルト業界は、警察からの天下りを受け入れたり、官憲サイドといろいろな“手打ち”を行ってきました。アダルトサイト業界は、業界としては未成熟で不安定、今後はどうなるかはわかりません。ただ、賢いサイトは、着々と準備を進めていますね」

 国内関係者の関与に関して、マニアック情報で知られたが09年1月に惜しまれつつ廃刊したAV情報誌「オレンジ通信」(東京三世社)の元編集長・石井始氏はこう語る。

「カリビアンコムを含むいくつかの無修正サイトのコンテンツは、ロサンゼルスにある『ドリームルーム・プロダクション』という会社が一括して管理しています。おそらくこの会社に出資している何者かがいる。国内有名パチンコ業者のひとつが絡んでいるという話もありますね」

 では、こうしたオリジナル動画を実際に制作しているのは、“オモテ”のAV制作に携わっている人たちなのだろうか?

「ええ。一般のAV作品を撮っている制作会社やスタッフが、普通に携わっていますね。たまにAVプロダクションの関係者が『今日は西新宿で女優の面接』とか『代々木に行けば仕事がある』って言うんです。この『西新宿』『代々木』というのは隠語で、どちらも無修正系の制作会社がある場所を指しているらしい」(石井氏)

 毎月約20本の撮り下ろし作品を新規に配信しているカリビアンコム。ギャラの高そうな女優も多く起用しており、動画の制作費だけでも1本平均50〜60万円、中には100万円以上かける作品もあるという。一方の会員費は、月額49・5ドル〜で、今の為替レート(1ドル=約80円)だと日本円で4000円程度。現在までの累計会員数は公称300万人。いったい、どれほどのカネが動いているのやら……。

■ビジネスモデルがナゾな完全無料見放題サイト

 カリビアンコムなどと同様、どう見ても日本のサイトなのに、無修正動画を配信している有名サイトがある。YouTube?のようにユーザーがアップする方式で、修正・無修正を問わず、多くのアダルト動画が視聴できる「FC2動画」だ。

 運営企業であるFC2は、ライブドアやアメーバを抑え国内トップの訪問者数を誇る「FC2ブログ」をはじめ、各種ウェブサービスを展開する有名企業。他方で、ある日本人の兄弟が運営しているといわれながら本社はラスベガスにあったりと、謎の多い会社でもある。FC2と付き合いのある広告代理店社員C氏は、その実態についてこう話す。

「大阪に、『FC2の日本代理店』を名乗る『株式会社ホームページシステム』なる会社があって、そこが実質的に業務を行ってます。日本人スタッフと、電話やメールで普通にやり取りしてますよ」

 実は今回、取材班も同社に取材依頼をしたのだが、非常に堅い文面で丁重にお断りされてしまった。このFC2動画は基本的に無料のサイトなのだが、ではその収益構造はどうなっているのか?

「この手の動画共有系のサイトは、極端にいえばサーバ管理費だけで運営できるんですよ」(C氏)

 FC2はサーバそのもののレンタルも業務として行っている企業だから、サーバ管理はお手のもの。「場所は用意するから、あとは好きにしてね」と放置しておけば、アフィリエイト目当てのユーザーが勝手にコンテンツをアップしてくれる。それがアダルトコンテンツならば集客力は抜群。人が集まれば広告も入る。つまり、ビジネスモデルのひとつが広告収入だというのは見えてくる。

 またFC2動画はユーザーを有料会員登録へと誘導しており、有料会員になれば、より多くの動画を無制限にサクサク見ることができる。広告とユーザー課金の両輪で賢く稼いでいる。それがFC2動画ということのようだ。

 最後に、ここ数年で急激に伸びているのが、ユーザーがアップした無修正動画が無料で見放題の、海外発の「動画共有系アダルトサイト」。月間44億PVという驚異的なアクセス数を誇り、先ごろ日本語版も開設された「XVIDEOS」は、その代表格だ。こうしたサイトは、課金もなければ広告も数えるほどで、どうやって儲けているのかまったくのナゾ。膨大な数の動画が日々アップされている点を考えるだけでも、そのデータ容量と転送量の管理にかなりのコストがかかるのは容易に想像できる。

「例えば『メガアップロード』【編註:12年1月、著作権侵害の疑いでFBIの捜査が入り、閉鎖されたファイル共有サイト。違法音楽ファイルからアダルト動画まで、ありとあらゆるものがアップされており、運営企業の所在地は香港となっていた】は、東南アジアで現地スタッフを大量に雇い、メンテナンスやサイト構築作業をさせていました。日本でも海外にサーバを持つエロサイトは多いですが、サーバ代も人件費も安く、著作権などに関する法律も未整備な国外を活用するというのは、日本以外の国のアダルトサイトでもやられています。こうした手法を、XVIDEOSも使っているのかもしれない」(荻上氏)

 エロ動画サイトのユニクロ化、といったところだろうか。この種のサイトの収益構造については、XVIDEOSの日本窓口の代表者なる人物とも面識があるという前出C氏の、こんな説もある。
「聞いた話では、XVIDEOSはあくまでも動画を『収集』するためのサイトで、集まった動画をどこかに流し、なんらかの利益を得ているとか」

 ただ、仮にそうだとして、先述した有象無象のパクリ系動画サイトによって無断でリンクを貼られている状況で、そうしたビジネスが成立するのか、やはりナゾだ。しかし、放っておいてもユーザーが勝手にアップしてくれる膨大な量の動画を利用して、我々の想像を超えた、何か別の裏ビジネスが展開されているのかも。やはり、アダルト動画サイトの闇は深い、ということか……。
(文/須藤 輝)


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