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その他 : 性暴力を問う 第3部 奪われた笑顔<5>被害自覚 くすぶる屈辱感 (2010.06.26)

日時: 2010-12-05  表示:3666回

「いたずら」では片づけられない

 放課後、一人で校舎の階段を下りていくと、薄暗いロビーで中年の見知らぬ男に声をかけられた。

 「病気にならない体になりたくない?」

 転校した直後で寂しさをかかえ、病気がちでもあった。それだけに男の笑顔と言葉に興味を引かれた。疑わず、階段横のトイレについて行った。個室に一緒に入ると、男の態度は一変した――。

 英子さん(39)は、小学2年生だった、その日の出来事を克明に記憶している。

 個室の中で、言われるまま用を足した後、男に下半身を押し当てられた。変な事をされている、と思ったが、意味は理解できなかった。「早く終わって」とひたすら願った。

 「これで病気にならないからね」。ロビーで別れる時、男は優しい表情に戻り、こう言い残した。

 その言葉が〈呪文(じゅもん)〉のように、英子さんを縛った。何かおかしいと感じながら、口止めされたこともあり、「あれは儀式だった」と胸にしまい込んだ。

 学年が進み、男にされた事の意味がわかってくると、自分をごまかせなくなった。

 「なんでついて行ったんだろう」「恥ずかしい」。今度は言われるまま従った自分を責めるようになった。あの頃、被害が自覚できていたら、男を恨むこともできたのに。真綿で首を絞められるようだった。

 「あの男は、力もなく思い通りになる相手として、軽い気持ちで子どもを選んだのだろう。人として許せない」

 胸の中で、自責の念と屈辱感がくすぶり続けている。

 授業参観のため、娘も通う母校の小学校を久しぶりに訪れた時のこと。プールの前を通りかかった瞬間、花梨さん(30歳代)は、この場所での体験がよみがえり、涙が止まらなくなった。

 小学1年の夏。6歳だった。学校でかくれんぼをしていると、中学生ぐらいの少年に「ここなら隠れられるよ」とプールの陰に手招きされた。

 しばらくすると、少年から服を脱ぐよう脅された。「言うことを聞け」。足がすくんだ。逆らえず、裸になると、少年も服を脱ぎ始めた。

 〈このままじゃ危ない〉。とっさに感じ、下着1枚になった少年のもとから、自分の服を抱え、一目散に逃げた。

 以来、薄暗がりに下着姿で仁王立ちする少年の姿が、恐怖感とともによみがえる。性にかかわる情報は、生理的に受け付けなくなった。結婚後も、不快感なしに夫婦関係を結べない。風呂上がりに下着姿でいる父親の姿にさえ、少年が重なりゾッとした。

 電車内では、そばに男性が立つだけで緊張し、すっと距離を置いてしまう。直接的な被害は、確かになかった。でも心の傷は深い。

 花梨さんは言う。「子どもの被害はよく『いたずら』で片づけられるけど、そんな軽い言葉で済ませないでほしい」

(文中仮名)

 <被害児への対応> 被害の程度にかかわらず子どもは深く傷つき、ショック状態が長引く場合も多い。児童のトラウマケアに詳しい藤森和美・武蔵野大教授は「被害を打ち明けられたら、まず『話してくれてありがとう』と伝え、子どもの目線で向き合うことが大切。『いたずら』という言葉には『大したことではない』というニュアンスが含まれるため、被害児に安易に使うべきではない」と話す。
(2010年6月26日 読売新聞)


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