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その他 : 性暴力を問う 第2部 病巣<6>再犯防ぐ教育・治療 (2010.04.15)

日時: 2010-12-05  表示:3250回

「塀の外」対策進まず

 服役を終えた男がたどり着いた離島。社会復帰へと踏み出すが、やがてその〈過去〉が明るみに。勤務先の工場に中傷ビラが張られ、男は追い込まれていく――。

 性犯罪の出所者に全地球測位システム(GPS)のチップが埋め込まれ、位置情報がネット上で公開される近未来を描いた、自主制作映画「scope(スコープ)」が5月、東京都内で上映される。「極論を描くことで性犯罪者の更生を考える材料を示したかった」と、卜部敦史監督(28)は語る。

 「ミーガン法」に基づき、住所や顔写真をネット上で公開する米国、GPS付き足輪の装着を義務付ける韓国など、再犯の恐れがある性犯罪者に対し、実際に監視体制をとる国が相次いでいる。

 一方、日本では、2004年の奈良女児誘拐殺人事件を機に、子どもに対する強姦(ごうかん)や強制わいせつなどの前歴者に限り、法務省が警察庁に出所予定日や居住地の情報を伝える制度が始まった。

 同省は、GPS装置を使った監視システムについても今年度、海外の運用状況の調査に乗り出す。「日本は甘い。厳重に監視すべきだ」との声がある一方、「過度な監視は社会復帰を妨げる」「プライバシーが侵害される」と懸念する専門家もおり、導入に至るかは不透明だ。

 男性ホルモンを抑える薬物治療、裁判所の治療命令に基づいた心理カウンセリング、孤立を防ぐための矯正ボランティア――。監視以外にも、欧米では、〈塀〉の外での更生を促す取り組みが進む。

 国内では、刑務所や保護観察所で「性犯罪者処遇プログラム」による再犯防止教育が行われているが、満期出所後までカバーする教育や治療の仕組みはない。

 藤本哲也・中央大教授(犯罪学)は訴える。「保護観察の充実や、出所後も一定期間、処遇プログラムを受けることを刑罰の一部に盛り込むなど、制度改革が必要だ。社会に出てからの更生の手だてを整えれば、被害者を減らすことにつながる」

 「今日は、スリップ(再発、再犯)について話しましょう」

 東京・池袋の精神神経科「榎本クリニック」。テーブルを囲む12人の男性に、指導責任者の精神保健福祉士・斉藤章佳さん(30)が語りかけた。06年から、性犯罪の前歴者や、性的な問題行動を抱える性依存症患者らへのグループ療法を行っている。

 長い沈黙の後、中年男性がようやく切り出した。「日課だった盗撮をやめたが、まるで絶食しているようでつらい」。痴漢行為の逮捕歴が複数あるという男性は「ひどいことをしている意識はあったが、何をどうしていいか、わからなかった。ここに来るのに10年かかった」とつぶやいた。

 予防・再犯防止の観点から治療に取り組む民間施設は全国に数えるほどしかない。同クリニックの手法は、刑務所の処遇プログラムと同様の「認知行動療法」など。1回1時間で1000円。週3回、3年間の継続を求めるが、強制はできない。年間約50人の参加希望者のうち、半数は途中で顔を見せなくなるという。

 「定着率は確かに低いかもしれない。でも、誰かがやらないと。加害者対策を全く講じない社会って、性暴力を許していることになりませんか」。斉藤さんは問いかける。(おわり)
(2010年4月18日 読売新聞)


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