ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
2010年度の論文資料集10号。詳細はこちらより
 
メニュー
 
Google検索
 
[検索結果に戻る]

その他 : 性暴力を問う 第2部 病巣<1>支配欲、理不尽な犯行 (2010.04.13)

日時: 2010-12-05  表示:3136回

被害女性に思い至らず

 きっかけは、交際相手とけんかして、憂さ晴らしに出た深夜のドライブだった。

 車の前を、見知らぬ女性が一人で歩いていた。

 〈楽しそうに見えた。自分の彼女の姿にダブり、急に腹が立ってきた〉

 交際相手の借金を肩代わりし、返済のために働きづめだったが、その間も交際相手は飲み歩いている様子で、他の男性の影もあった。鬱憤(うっぷん)がたまっていた。

 女性の後をつけ、襲った。

 〈ドキドキしたが、簡単だった〉。以来、気持ちが行き詰まるたび、車で一人歩きの女性を狙った。

 〈気分がすっきりした。またやってしまったという後悔、ばれないかという焦りもあったが、やめられなかった〉

 犯行時、被害女性に思いを致すことはなかったという。

 男は30歳代。2年余りで10人以上を襲った強姦(ごうかん)などの罪で起訴され、近畿地方の拘置施設にいる。犯行の経緯などを便せん21枚に記した手紙を、読売新聞に寄せた。

 〈逮捕されて良かった。事の重大さに気づかず、もっとひどいことをしていたかもしれない〉〈自分の勝手な行動で深い傷を負わせてしまった。何度謝罪しても被害者の心の傷は決して消えないと思う〉

 反省と謝罪の言葉。しかし、文面の大半は、交際相手への恨みと〈女性を見るだけでイライラした〉などの一方的な怒りで占められていた。男の、更生の行方はわからない。

 「性暴力は、性欲だけでは説明できない」

 少年院や刑務所で多くの加害者と向き合ってきた藤岡淳子・大阪大教授(非行臨床心理学)は、加害者の心理をこう指摘する。

 「支配したい、男らしさを誇示したい……。そんな欲求を、性という手段で自己中心的に満たそうとする。強姦犯は特に怒りや支配欲が強い」

 さらに、被害者に責任を転嫁して性暴力を正当化する、ゆがんだ〈強姦神話〉も後押ししているという。

 内山絢子・目白大教授(心理学)が、性犯罪の容疑者553人と、無作為抽出した一般男性688人を比較した調査がある。

 「女性は『嫌だ』と言っても、本当はそんなに嫌がっていない」は容疑者が21・1%(一般2・5%)、「セックスしてしまえば、女性は自分のものになる」が13・5%(同0・9%)、「女性は誰でも強姦されてみたいと思っている」が4・5%(同0・6%)――。各設問に賛成した割合は、両者で大きな開きがあった。

 理不尽な思考。「ストレスや怒りの解消法はいくらもある。なぜ何の関係もない相手にぶつけるのか」。数年前に強姦被害に遭った女性は、やりきれなさを募らせる。

 「レイプ行こうや」

 昨年5月に通りがかりの女性を車に押し込んでけがを負わせたとして、集団強姦致傷罪に問われた20歳代の男4人の犯行は、そんな「冗談半分の言葉」で始まったという。

 「みんなで盛り上がり、反対する者はいなかった」「場の雰囲気を崩したり、仲間に嫌われたりしたくなくて断れなかった」――。

 奈良地裁で行われた裁判員裁判の審理。被告人質問では身勝手な弁明が続いた。

 一方、被害女性の代理人は、女性が一人で外出できなくなるほど心に深い傷を負った、と訴えた。

 泥酔させた女性を襲うなど、若者の集団による性暴力は後を絶たない。共通するのは、仲間内の「ノリ」で犯行に走る安易さと、性被害の深刻さへの無理解だ。

 同11月、4人に有罪を言い渡した後の記者会見で、裁判員らは、率直な感想を述べた。

 「自分と同年代で、友達でもおかしくない普通の人が、場の雰囲気で人権を踏みにじるとは」「案外簡単に、自分や家族が被害者や加害者になってしまうのではないか」

 「なぜ起きるのか、どうしたら防げるのか」「社会の問題として考えなければ」。連載第1部「被害者たちの叫び」には、そんな反響が多く寄せられた。第2部では、性暴力の背景を検証し、加害者の心理と更生を考える。
(2010年4月13日 読売新聞)


ニュース報道について

このページ内で掲載されたニュース報道の中には、APPの立場や見解と異なるものも含まれてますことを、おことわりします。
最新の情報につきましては「http://www.app-jp.org」よりご確認ください。


[検索結果に戻る]
被害事実をご存じの方は、情報をお寄せください
ポルノグラフィによる人権侵害は想像よりはるかにたくさん生じていると考えられます。例えば、市販されているポルノ・ビデオからは、制作過程ですでにひどい人権侵害が行なわれていることを見てとることができます。

私たちは、ポルノグラフィによる被害を防止し被害者を支援する制度づくりをめざして、ポルノグラフィによる人権侵害の実態を明らかにする活動に取り組んでいます。被害事実をご存じの方は、どのような情報でもかまいませんので、研究会までお寄せください。
言語の選択
;
 
論文資料集9
2009年度のAPPの調査研究の成果を、論文資料集第9号にまとめました。ぜひご購入ください。詳細はこちらより
 
論文資料集8
2008年度のAPPの調査研究の成果を、論文資料集第8号にまとめました。ぜひご購入ください。詳細はこちらより