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その他 : 性暴力を問う 第1部 被害者たちの叫び<2>私たちを置き去りにしないで (2010.02.13)

日時: 2010-12-05  表示:3083回

社会に求める「理解」

 2009年9月、青森地裁。性犯罪を裁く全国初の裁判員裁判が開かれた。「性犯罪被害にあうということ」の著者、小林美佳さん(34)も、法廷に足を運んだ。被害者の一人として、裁判の実相を知っておきたいと思ったからだ。

 2件の強盗強姦(ごうかん)罪などに問われた被告の男。入廷する姿を目にした途端、傍聴席で体の震えがとまらなくなった。

 <Aさんの背後から包丁を突きつけ、「言うことを聞け。殺すぞ」と言って脅し……>。検察官の冒頭陳述が、自らの記憶と重なる。男の弁明を聞くうち、憤りと悔しさがこみ上げた。たまらず法廷を飛び出し、廊下で泣き崩れた。

 翌日、被害女性2人が別室からの「ビデオリンク方式」で意見陳述した。〈一生傷を負ったまま生きなくてはいけないなら、いっそ死にたい〉〈許せない。女性として一番ひどいことをされた〉。一言一言が胸に刺さった。「男と同じ建物内にいることさえ、耐えられないはずなのに」

 判決は懲役15年。2人の声が裁判員に届いたのか、求刑通りの厳刑だった。

 それでも、小林さんは思う。「いくら刑が重くなっても、心の傷は消せない。振り絞る思いで語った2人の葛藤(かっとう)、声も上げられない被害者たちの苦しみを、置き去りにしないでほしい」

 内閣府の08年調査では、無理やり性交された経験のある女性の62%が「恥ずかしい」「無駄と思った」と誰にも言うことができず、警察に相談したのはわずか4%だった。

 警察庁は10年度、性犯罪被害者対象の「ワンストップ支援センター」を試験導入する。女性の負担を減らすため、病院に民間の支援スタッフと専門の警察官が常駐。事情聴取と診療、カウンセリングを1か所で行う。

 だが、被害者は「まず捜査ありきなら、敷居は高いまま」と不安を漏らす。精神科医の小西聖子(たかこ)・武蔵野大教授は「被害を打ち明けづらいことが、性暴力の特徴。水面下の被害者をすくい上げ、支える意識が社会全体に必要だ」と指摘する。

 小林さんと交流する2000人の「仲間」も、警察に届けたのは1%に過ぎない。小林さんは「普通に生活することさえどんなに大変か、わかってもらえなければ、一歩を踏み出せない」と語る。

   社会に何を求める?

 世間との溝を感じた時、仲間にメールで問いかける。

   あったかい気持ち

   聞いてくれる人

   理解

 〈声なき被害者〉の叫びが、小林さんの背中を支える。
(2010年2月13日 読売新聞)


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