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その他 : 性暴力 癒えぬ傷 【上】「心の殺人」 相談できず (2010.09.22)

日時: 2010-12-05  表示:3271回

 「性暴力を受けていなければ、体なんて売っていなかった」

 県内に住むユウナ(仮名)(25)はさみしそうに話した。中学3年の夏、男にレイプされてから彼女の人生は変わった。

 中学時代、不良グループの先輩に誘われてシンナーを始め、くせになった。その日もシンナーをもらおうと、先輩に電話をかけた。

 待ち合わせ場所に、1台の車が現れ、60歳くらいの暴力団員風の男2人と先輩が乗っていた。状況をのみ込めなかったが、体の入れ墨が目に留まり、「逆らったら殺される」と感じた。

 言われるがままに車に乗り、そのままアパートの一室へ。先輩とスキンヘッドの男を居間に残し、ユウナは太めで金髪の男に、隣の薄暗い和室に連れて行かれた。男の鼻息が荒くなった。「声を出すな」。恐怖で抵抗できないまま暴行された。

 家に戻り、ドアを閉めると涙がほおを伝った。風呂場に直行し、体中を力いっぱい洗った。皮膚が真っ赤にすり切れて血が出ていた。「自分自身も悪いことをしていたから、親にも警察にも言えなかった」と被害届は出していない。

 ユウナの中で何かが変わった。あの時の恐怖を消し去るため、男性に慣れようとするしかなかった。高校入学後、複数の風俗店で働き始め、ポルノビデオなどにも100本以上出演した。自分をモノや商品としか思わなくなった。「一番大切なことを、大切じゃないと自分に思い込ませていた」

 現在は理解ある男性に巡りあい、今までの生活も改めたが、一度負った痛みは癒えることはない。

 「ハメッちまえばこっちのもんだ」「風俗嬢=売春婦」――。インターネットの県内の風俗店情報の掲示板には、性行為や買春を助長するような書き込みが目立つ。県内の派遣型風俗店で働くミホ(仮名)(25)は、「本番(性行為)を強要されることも多い」と打ち明ける。特に右も左もわからない新人時代に被害が集中する。ミホ自身も接客中に性的暴行を受けた。「ただ泣くしかなかった」。家族の入院費を賄うために始めた仕事。それからは、携帯電話をそばに置き、いつでもトイレなどの個室に逃げ込んで助けを呼べるようにしている。

 6月末から7月にかけて開かれた強盗強姦(ごうかん)罪などに問われた男性被告(40)の裁判員裁判。2004年、派遣型風俗店の女性従業員(30)が現金などを奪われ、暴行された。女性には借金があり、返済のため給料の高い風俗店で働いていた。周囲の目を気にして当時は強盗の被害しか話せず、5年間、誰にも相談できなかったという。

 犯罪被害者の援助を行っているNPO法人「被害者支援センターすてっぷぐんま」(前橋市)の新井徳子相談員(63)は「自分に落ち度があったと自責の念に駆られる人は多い。性暴力は人格を無視した行為で、強姦は心の殺人とも言われている。100%加害者が悪い」と語気を強める。

      ◇

 県警によると、県内で性的暴行や強制わいせつなどの性被害は減少傾向にあったが、昨年は前年より31件多い85件と増加に転じ、今年も昨年を上回るペースで推移している。性犯罪は被害を届け出にくく全体像の把握は難しいため、統計は氷山の一角だ。癒えぬ心の傷に苦しめられる被害の実態を追う。
(2010年9月22日 読売新聞)


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