ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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支援 : 性的虐待、ネグレクト…10代少女たちが新型コロナ「外出自

日時: 2020-03-27  表示:2294回

BUSINESS INSIDER JAPAN 2020/3/27(金) 11:41配信

「死ぬかも」「ごはんが食べられない」

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた「不要不急の外出自粛」の要請に、怯える少女たちがいる。

身体的・性的虐待など、家にいるからこそ高まるリスクがあるからだ。一方、ネグレクトを受けアルバイトで自身の生活費を稼がざるを得ない少女は、勤務日数を減らされ困窮していた。

バイト減るのも家に親といるのも地獄

東京都新宿区・渋谷区の繁華街近くにバスを停め、10代の少女たちを対象に衣服や生理用品、飲食などを無料で提供。街で声をかけるなどのアウトリーチ活動を行っているのが一般社団法人Colaboだ。

1年ほど通っているという10代の女性は、飲食店など接客業のアルバイトを3つ掛け持ちしている。幼い頃からネグレクトを受けて育ち、食事やスマホ料金、4月から始まる大学の学費も全て自身で支払わなければならないからだ。

「ここに来たら、気持ち悪くなるくらいまで食べて帰ります。アルバイト先の1つは、まかない付きという条件に惹かれて選びました」

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、勤務日数や時間は大幅に減らされた。加えて東京都の平日夜間の外出や、週末の不要不急の外出自粛要請が、Aさんに重くのしかかる。

「バイトが減ると金がなくて死ぬし、親と一緒に家にこもらないといけなくても(メンタルが)死ぬ。不安で仕方ないです」
高まる性犯罪のリスク

「食事はいつもコンビニで。よく体調を崩すのは、栄養が偏ってるからかも」と話すのは、飲食業で働く女子高校生だ。「客が減った」ことを理由にシフトを減らされたと嘆く。中学生の時、親から「子育ては終わった」と言われ、家の中に入れてもらえないことが増えた。学校も休みがちになり、今は友人の家を渡り歩き、家にはほとんど帰っていないという。

同じようにアルバイトのシフトを減らされたという別の女子高校生も、「親から暴力を振るわれたことが、バスカフェに通うようになったきっかけ。家から出られない方がこわい」と話す。

Colaboでは2011年の団体設立以降、貧困や虐待、またいわゆる「JKビジネス」や児童買春の被害にあった少女たちの支援を続けて来た。代表の仁藤夢乃さんは言う。

「居酒屋、ファミリーレストラン、アパレル……家庭に居場所がなく、接客業で生計を立てざるを得ない少女たちの多くが、新型コロナウイルスの影響でシフトを減らされ、困窮しています。

外出自粛と言われても、親から暴力を振るわれたり、性的虐待を受けていたり、家にいることがリスクになる少女たちもいるんです。

加害者はこのことをよく分かっている。家にいられず、ホテルなどへの宿泊費もない少女たちが性犯罪に巻き込まれることを懸念しています」(仁藤さん)

また「無き者」として切り捨てますか?

仁藤さんは、今回の新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府対応について、「弱者にしわ寄せがいっている」と憤る。

突然の一斉休校。知人のスクールソーシャルワーカーからは、休校期間中、児童や保護者と面談することができなくなったと聞いたそうだ。

給食だけが食事の頼りだった生徒は、大丈夫だろうか。

Colaboのバスカフェも、国の一斉休校やイベント自粛要請を受けて一度は活動を休止したが、「こんな時だからこそ」と、医師や行政に相談し、体制を整えた上で再開した。

「3月の春休みは、ただでさえ少女たちを狙う性売買斡旋業者のスカウトが増えるんです。

児童相談所が10代後半の年齢の子に対し、雑な対応をすることも多い時期です。

ただでさえ危険な時に、さらにコロナの影響で地域の専門職やNPOなどの支援が受けられず、つらい思いをしている少女たちは多いと思います。

彼女たちはコロナの感染が拡大する前から、この社会で一緒に生きていました。『無き者』として扱い、切り捨ててきたのは政府です。感染拡大防止策を考える時は、居場所のない少女たちのことも考えて欲しい」(仁藤さん)
国連も注意喚起。女性特有のリスク

バスには民間から提供を受けたマスクが用意されており、少女たちは「助かる」と言いながら持ち帰っていた。

少女たちが帰る時には「おみやげ」として、スタッフがカップラーメンやお菓子、ココアなどを紙袋いっぱいにして渡している。1週間分の食事を持ち帰ったり、「友達の分もいい?」とスタッフにたずねる少女もいるそうだ。

国連女性機関(UN Women)は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、国や自治体の対策が女性を取り残したものになっていないか、10の項目に分けて注意喚起している。行動が制限された非常時には女性への暴力が増加すること、暴力を振るう相手と長時間家にいることの危険性、そうした女性たちに対し、ホットラインやシェルターなどの救済措置を確保しているか、などだ。

感染拡大はいつまで続くか分からない。今からでも遅くない。日本もこうした声に、向き合うべきだろう。

また会社側の都合でシフト・勤務日を急に減らされた場合は、平均賃金の60%以上を休業手当として受け取ることができるよう、労働基準法で定められている。法律の専門家や支援団体がホットラインを設けているので、相談して欲しい。

日本労働弁護団:新型コロナ労働問題・全国一斉ホットライン 2020年4月5日〜 / 詳細はHP参照

飲食店ユニオン:03─5395─5359 / restaurant.workers.union@gmail.com

(文・竹下郁子)

支援 : 性被害の支援員「無給」も 重い責任、人材確保難しく (202

日時: 2020-01-08  表示:2593回

西日本新聞2020/1/7 6:00 (2020/1/7 19:31 更新)

 性暴力の被害者が相談や支援を1カ所で受けられるよう各都道府県に設置された「ワンストップ支援センター」の約7割が、人材確保に悩みを抱えていることが内閣府の初の全国調査で分かった。半数近くは支援員の待遇が「見合っていない」と回答し、一部は無給か交通費程度というボランティアの状態で業務に当たっていることも判明。国が力を入れる性暴力対策の要の機関でありながら、支援員の熱意頼みとなっている現状が浮き彫りになった。

 調査によると、全国の49センターのうち、夜間や休日に関して「支援員の確保が難しい」との回答が約7割。「支援員のなり手が少ない」も約6割に上った。

 性被害の相談過程では、不用意な発言などが二次被害につながる恐れが高く、専門的な研修を受けた経験豊富な支援員が欠かせない。望まない妊娠を避けるための緊急避妊薬は72時間以内の服用が求められるため、夜間や休日の対応も重要視されるものの、大半のセンターで人材確保が大きな課題となっている。24時間態勢のセンターは約4割にとどまり、地域差が出ている。

 支援員の待遇については「業務内容に見合っていない」「業務量に見合っていない」とする回答がそれぞれ4割超。「無給・交通費程度」で働く支援員がいることも明らかになった。

 2019年6月から3カ月間の相談を分析すると、1カ月の平均件数は1カ所当たり約65件。ドメスティックバイオレンス(DV)被害に対応するため各自治体が設置する「配偶者暴力相談支援センター」の平均34件(18年度)の2倍に近かった。相談の約8割は電話で、半数近くが20代以下。1割は男性からだった。

 千葉大大学院の後藤弘子教授(刑事法)は「性被害の相談、支援は負担が大きく、責任も重い。個々の支援員の熱意に支えられている状態では、対応が追いつかなくなる」と指摘。今後も相談件数の増加が予想されており「国は人員配置などの基準を定めた上で、責任を持って手厚い財政支援をするべきだ」と話す。

 この調査結果は速報値による中間報告で、詳細な数値は変動する可能性もある。内閣府は回答を精査し、3月にも最終報告を公表する予定。 (斉藤幸奈)

【ワードBOX】性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター

 相談、カウンセリング、治療の手続き、警察への付き添いなどの総合的な支援を1カ所で受けられるようにした施設。被害者の負担軽減や、泣き寝入りを防ぐことを目的に国が呼び掛け、2018年10月までに全都道府県に設置された。迅速に治療が受けられるよう病院に設置されたセンターもある。

支援 : 性被害女性ら支援へ新法を 検討会座長・堀千鶴子さんイ

日時: 2019-12-06  表示:2788回

福祉新聞 2019/12/3(火) 10:10配信

 厚生労働省の「困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会」(座長=堀千鶴子・城西国際大教授)が10月11日、中間報告をまとめました。複合的な課題を抱える女性を包括的に支援する「法制度上の新たな枠組み」(新法)が必要だと提言しました。1956年制定の売春防止法に基づく婦人保護事業(同法第4章=保護更生)を廃止し、刷新しようというものです。女性支援をめぐる法制度がおよそ60年ぶりに改革されます。そこで、検討会座長の堀教授に解説していただきました。また、2016年に婦人保護事業の抜本的な見直しを提言した、与党「性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するPT」座長、上川陽子・元法務大臣に中間報告の受け止め、今後の法制化に向けた抱負を尋ねました。

――なぜ新法が必要なのでしょうか。

 現在、婦人保護事業の現場では、売春防止法(以下、売防法)制定時に想定されなかった多様な困難を抱えた女性を支援しています。
 例えば、性暴力の被害女性はさまざまな生きづらさが生じ、中長期的支援が必要なことも少なくありません。
 JKビジネス(女子高生による男性客への親密なサービス)やAV(アダルトビデオ)出演の強要といった新しい社会問題も浮上しました。
 それに対し、被害女性を「福祉の問題」と捉えて支えようという視点は、薄かったと言わざるを得ません。

――なぜいま、この時期なのでしょうか。

 2012年度の厚生労働省の調査研究事業「婦人保護事業等の課題に関する検討会」(座長=戒能民江・お茶の水女子大名誉教授、非公開)が契機となりました。全国婦人保護施設等連絡協議会(横田千代子会長)や非営利民間団体のソーシャルアクションによる、この事業をめぐる初の検討会です。
 その後の調査で、売防法が根拠法であることによる制度的な課題があることが明らかになりました。現場の熱意ある取り組みと情報発信により、特に若年女性の生きづらさが少しずつ認知されるようにもなりました。
 その結果、国会でも与野党問わず政策提言がなされてきました。

――既存の制度ではどういった点が不十分なのでしょうか。

 婦人保護事業の基本的な発想は、売春した女性らを「要保護女子」と規定し、指導することによってただそうというものです。
 性を搾取される環境に置かれた女性が悪いかのような印象を与えるため、女性は自ら助けを求めて相談しようと思えなくなります。
 DV法など売防法よりも後にできた法制度も、婦人保護事業の根幹を変えずに継ぎ足す形で作られていったため、職員配置なども現状に即した見直しがなされていません。総じて福祉の視点は乏しいものになっています。

――新法の方向性も示されました。

 新法の基本的な考え方の筆頭に「人権の擁護」を掲げました。他の福祉制度では当たり前の考え方ですし、とても重要な点です。婦人保護事業の「保護更生」という理念とは異なります。

――同伴児も新法の支援対象だとしました。

 配偶者による暴力(DV)から逃れる女性の子どもが、婦人相談所の一時保護所に女性と共に保護される実態があり、同伴児と呼ばれます。
 一時保護中の同伴児は外出できず、通学も許されません。ナショナルスタンダードがないので、都道府県によって日中の過ごし方や心のケア、児童担当職員や保育士などの配置に格差があります。
 婦人保護施設に入所する同伴児もいますが、制度上の位置付けはさらにあいまいです。早急に改善しなければならず、特に児童相談所との連携をきちんと定める必要があるでしょう。

――法制化する上でカギになるのはどういった点でしょうか。

 新法で支援対象とする女性を条文でどう規定するかはとても難しい問題です。それに関連し、身近な生活圏域で行政を司る市町村の果たす役割をどう整理するかも大きなポイントの一つでしょう。  中間報告の付属資料「将来イメージ」には新サービスのメニューも描きました。在宅サービスや一時滞在所など支援メニューを増やすことが大切です。
 当然、これまで公費支弁を受けることが乏しかった民間団体の力も借りることになります。多様な主体の参入を促しながらサービスの質を担保すること、婦人保護事業の担い手である婦人相談所、婦人相談員、婦人保護施設を発展させることが不可欠です。

《ことば》

 婦人保護事業

 「性行又は環境に照して売春を行うおそれのある女子」を「要保護女子」とし、保護更生を図る事業。婦人保護施設(第1種社会福祉事業、措置施設・任意設置)、婦人相談所(都道府県に必置・49カ所)、婦人相談員(婦人相談所や福祉事務所に1500人)で構成される。婦人相談員は全814市区のうち354市区に配置されている(配置率は44%)。婦人保護施設は39都道府県に47カ所あり、定員は1290人で、年間平均入所者数は304人(定員充足率は24%)。

与党PT座長 上川陽子さんの談話

■与党の責任で法制化

 3年前に婦人保護事業の抜本的な見直しを提言し、それを受けて厚生労働省が検討会で、現場の支援者や有識者の皆さまから丁寧に意見を聞き取ってくれました。そのプロセスを含め、中間報告を高く評価します。

 これを形にするのは与党の責任です。もう一段進んだ議論をする新たな段階に入りました。複合的な問題を抱えた女性が必要な支援にアクセスしやすい、柔軟な制度にする必要があります。

 私は犯罪被害者等基本法の制定に携わりました。同法に基づいて政府が作る基本計画は「今後講じる施策」を掲げ、どの省庁がいつまでに検討して結論を出すか明記しています。計画の進捗をチェックして見直すサイクルもできました。理念法とプログラム法を合わせたこの形が女性支援の新法をつくる上で参考になり、議員立法として提出する意義は大きいと思います。

 2020年の骨太の方針がまとまる6月ごろを念頭に、新しい枠組みをまとめ、野党の皆さまにも法制化を呼び掛けたいと考えています。

支援 : 安倍政権8000万円削減 性暴力被害者ワンストップ支援

日時: 2019-10-28  表示:3031回

『しんぶん赤旗』2019年10月27日(日)

「半額補助」守らず

 性暴力被害の相談を受け支援するワンストップセンターの運営費(機能強化を含む。2018年度)をめぐって、安倍内閣は、国の財政支援が総計で2億5000万円(44カ所)必要だったのに予算の範囲に収めようとして、24カ所で計8000万円削減していたことが分かりました。予算不足への対応が急務となっています。

 性暴力被害者ワンストップ支援センターの運営は、各都道府県の事業です。国は「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」(17年度新設)で、運営費の2分の1を補助するとしています。

 本紙が情報公開請求した資料によると、交付金を申請した44都道府県の運営費は5億477万円。2分の1の2億5238万円が交付金所要額とされました。しかし、交付金の予算額は1億7280万円です。実際の補助は3分の1にとどまります。

 首都圏のある県の交付金申請文書に添付された県予算見積調書には、「補助率1/2だが、他県の内示状況を参考に1/3で積算」と書かれています。

 少ない予算に合わせるために、安倍内閣は二つの方法を使いました。

 一つは、支援センターの運営費基準額(1カ所)の設定です。これにより交付決定額を1億7531万円に減らしました。それでも予算額を251万円上回るとして、二つ目の方法を使います。基準額を超える24都府県が、超過分の一律4・86%削減される羽目に遭いました。

 運営費の大半は被害者の相談・支援にあたるスタッフの人件費です。

 政府は、相談員の人件費について、国の積算基準は、「平日8時間、2人分、単価は1時間当たり、申し訳ないながら1000円」としています(3月12日、参院内閣委員会。日本共産党・田村智子参院議員の質問に渡邉清・内閣府大臣官房審議官が答弁)。

 しかし、「2人体制、時給1000円」という人件費をもとに設定された国の基準額では、支援センターの運営は困難です。
各地の性暴力被害者ワンストップ支援
国の基準 実態とかい離

 各都道府県の事業である性暴力被害者ワンストップ支援センターに対して、国は、交付金で運営費の2分の1を補助するとされています。しかし、情報公開請求資料から2018年度の交付金(44都道府県が申請)を見ると、24都府県で補助が削られています。

 関東地方のA支援センターは平日午前9時から午後5時まで、年1708時間の運営です。被害者支援にあたるスタッフは常勤2人(月給)、非常勤(1日6時間)1人。他に被害者の希望を聞き、必要な支援を提示するコーディネーター(非常勤)が配置されています。国の基準とする「2人分」では運営が困難であることがわかります。

 被害者に付き添う同行支援ボランティアの賃金と交通費。これに事務所管理費などを合わせると運営費は1099万円です。交付金は359万円(運営費の32%)です。東北地方のB支援センターは平日10時〜午後8時と、土曜午前10時〜午後4時の年2728時間運営とされています。

 運営を委託している団体との契約では、スタッフは相談員・支援員をセンターに最低でも2人配置し、病院や司法関係者などへの付き添い支援も必要です。同センターの特徴は、男性の相談員の配置です。毎週土曜には、男性による対応を希望する相談者のために、相談員・支援員のうち1人は男性を配置することが委託契約に入っています。

 運営費は853万円。本来の2分の1補助なら交付金は426万円ほど。しかし、国の基準額(410万円)に抑えられた上、超過分に一律4・86%の削減(3万円)が加わり、407万円の補助となっています。削られたのは19万円ほどですが、男性相談員の賃金(年47万円)と比べると、その重さが実感できます。

 24時間365日運営(年8760時間)の場合、運営費に対する実際の補助率は最も低い県で14%です。運営費5301万円に対し交付金は740万円です(基準額は760万円)。夜間、休日の相談員・支援員の体制を平日の日中と同様の体制で支えています。

 一方、夜間・休日をコールセンター企業のダイヤル・サービス社に委託している県も少なくありません(図)。北陸地方のある県は、約288万円で同社に委託しています。また、同じ北陸地方の別の県は約340万円で同社に委託しています。2県の委託料を合わせてやっと夜間・休日の1人分の人件費が出てくる勘定です。こうした体制が、性暴力被害の相談を受け心身のケアにあたる支援センターとして適切なのか検討が必要です。

支援 : 婦人相談所強化へ新法検討 DV・AV強要など対応 (2019.09.

日時: 2019-10-05  表示:3116回

『しんぶん赤旗』2019年9月19日(木)

 厚生労働省が、自治体が設置している婦人相談所の機能を強化するため、根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めたことが、18日までに明らかになりました。性暴力やドメスティックバイオレンス(DV=家庭内や恋人間の暴力)、アダルトビデオ(AV)への出演強要などによる女性の被害にも、より十分な対応ができるようにすることを目指し、来年の通常国会にも法案を提出する方針です。

 婦人相談所を含む婦人保護事業をめぐっては、先の通常国会の参院厚労委員会(6月18日)で日本共産党の倉林明子議員が、「社会の善良な風俗を乱す」女性の補導を目的とする売春防止法が根拠法であることを厳しく批判し、国連の女性差別撤廃委員会の勧告も同法は女性差別規定だと指弾していると指摘。同法の「抜本的な見直し」を強く要求するとともに、婦人相談員の体制強化や被害女性保護で先駆的役割を果たしてきた民間シェルターへの財政支援も要求していました。

 困難を抱える女性への支援を議論した厚労省の有識者検討会でも「(売春防止法が根拠では)本来の意味での女性支援は成立しない」などと見直しを求める意見が相次いでいました。

 新法では、婦人相談所が支援対象とする女性を「更生すべき存在」と位置付けているのを改め、さまざまな課題に対応しやすくする見通し。被害女性が公的な支援の存在を知らなかったり、支援を求める発想に至らなかったりするケースも想定し、住民に身近な市町村や福祉事務所、児童相談所、支援活動に携わるNPOなどと連携を強化する条文も盛り込む方向です。

支援 : 婦人相談所強化へ新法検討=AV強要、JKビジネスも対

日時: 2019-09-17  表示:3165回

時事通信 2019年09月16日

 厚生労働省は、都道府県が設置している婦人相談所の機能を強化するため、根拠法を売春防止法(売防法)から新法に改める検討を始めた。アダルトビデオ(AV)への出演強要や女子高生らに接客させる「JKビジネス」といった若い女性を狙った新たな性被害などにもより十分な対応ができるようにする。早ければ来年の通常国会に法案を提出する方針だ。
 売防法は婦人相談所の設置目的について、売春を行う恐れのある女子の保護更生と定めている。これに関し、問題を抱える女性への支援を議論した厚労省の有識者検討会では「(同法が根拠では)本来の意味での女性支援は成立しない」などと見直しを求める意見が相次いだ。
 また、近年は「高収入のアルバイトがある」などとだまして誘うAV出演の強要や、JKビジネスが社会問題化。政府は2017年から毎年4月をこれらの被害防止月間として啓発活動を展開している。

支援 : 性被害支援 渋る国 47都道府県 本紙調査で判明 「財源

日時: 2018-07-30  表示:4059回

しんぶん赤旗 2018/7/30

 性暴力被害者の心身のケアを一カ所で行う「ワンストップ支援センター」への国の財政支援の拡充を地方自治体が強く求めていることが、本紙の47都道府県への調査で分かりました。支援センター運営安定化の国の交付金が昨年度に比べ今年度少なくとも8都県で減額されており、24時間365日開設の自治体からは「財源不足」との声があがっています。(武田恵子)

 本紙は、47都道府県の支援センター担当部署に、開設電話や今年度の事業経費(うち国の交付金)について聞きました。

 支援センターは7月までに45都道府県につくられ、残る2県も10月までの設置が決まっています。電話相談を年間通じて24時間行っているのは15都府県の支援センター。うち6県は夜間や休日を別のコールセンター(ダイヤルサービス)で対応していると答えています。

 支援センターの設置を促し運営の安定化を図る「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」は昨年度と今年度、国の予算に盛り込まれました。昨年度は1億6300万円で37都道府県に交付されています(内閣府ホームページ)。

 今年度の国の交付金の予算は1億8700万円。今年度に支援センター設置の5県を含む44都道府県に交付されています。

 今年度の国の交付額について33都道県が回答しました。

 「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」要綱によると、運営費など対象経費の2分の1(医療費は3分の1)を交付するとしています。しかし、都道県の事業経費予算に占める国の交付金比率が40%を切ったのが半数以上にのぼりました。交付に必要な条件が整わず「ゼロ」と答えた県もありました。地方の負担が重くなっていることがわかりました。
「市も対象に」■支援員育成・確保も
性暴力被害者支援センターへの援助

 性暴力被害者の心身のケアを一カ所で行う「ワンストップ支援センター」への国の財政支援が「性犯罪・性暴力被害者支援交付金」です。

 今年度の国の交付金が昨年度より減ると見込まれるのが少なくとも8都県あることが本紙の調査でわかりました。

 そのうちの一つ、東京都は、昨年度と事業経費予算が変わらないのに国の交付金が400万円近く減り、「財源不足」と回答しています。

 都は、民間支援団体「性暴力救援センター・東京(SARC東京)」と連携して、24時間365日相談を受けつけています。約50人の相談員(非常勤)が交代で常時2人の支援体制をとっています。

 国の交付金の対象が都道府県に限られ、市の相談支援事業が交付金の対象になっていない点を指摘する声もありました。

 北海道の「性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)」は道と札幌市が共同して設置しています。交付金の対象は道だけで「札幌市の負担は対象となっていない」(道の担当部署)としています。また、函館市が設置している、性暴力被害対応チーム「函館・道南SART(サート)」の相談支援事業も「交付金の対象になっていない」(同)としています。

 国の財政支援について、「全都道府県に支援センターが設置された後、国の交付金は継続されるのか」との不安の声が聞かれました。昨年度、設置を促す国の交付金がつくられるまで、民間支援団体の独自のとりくみと自治体の支援にまかされてきました。こうした事情を踏まえ、各県の回答には、「事業の継続には予算の確保が課題」として国の交付金の継続を求める声や「国の交付金の拡充」など増額を求める声がつづられています。

 相談を受け、関係機関へ付き添いもする支援員・相談員の体制についても聞きました。常勤2人(賃金は月給。所長36万円、支援員28万円)と7人の非常勤(時給1100円)で支えている支援センターがある一方で、非常勤やボランティアが支えている支援センターも少なくありません。支援員・相談員の体制についてある県は「15人の非常勤。時給840円」と答えています。別の県は「20人のボランティア。手当は1時間当たり400円」と回答しています。

 支援員の育成や確保も課題となっています。ある県は、「専門的な知識を要する支援員の育成に長期の時間を要する」と答え、別の県は、「相談業務経験や性被害に関する知識等を有する相談員の計画的な確保に苦慮している」と回答しています。支援員の育成と確保、待遇改善に国の財政支援が求められています。
予算大幅増額と支援法案成立を

 本村伸子・日本共産党衆院議員の話 レイプ被害者は、未成年者も多く、交通費などお金もないなかで、夜中であっても被害にあったときに被害者に寄り添った適切な相談、医療的、心理的支援などをワンストップで受けられる身近な場所が必要です。72時間以内の緊急避妊剤経口投与や、シャワーなどを浴びる前に一刻も早い本人の意思にそった証拠採取も行わなければなりません。

 私の国会での質問に野田聖子総務相は、「都道府県のさまざまな実態やニーズに応えられるよう、(性犯罪・性暴力被害者支援)交付金の使い勝手の改善には引き続きしっかり取り組んでいきたい」と答弁しました。支援内容、体制を充実し、箇所数を増やすためにも予算の大幅増額とともに「性暴力被害者支援法案」の成立が急がれます。

支援 : 性犯罪相談や治療一元化 静岡県、被害者支援センター開

日時: 0146-03-28  表示:4180回

静岡新聞 2018/3/20(火) 7:32配信

 静岡県は性犯罪や性暴力に遭った被害者が治療や相談などの総合支援を1カ所で受けられる「性犯罪等被害者ワンストップ支援センター」を7月、静岡市内に開設する。被害者からの相談を一元的に受け付けるとともに、迅速に医療機関や警察に橋渡しして被害者の負担軽減を図る。2018年度当初予算に関連経費1950万円を盛り込んだ。

 県くらし交通安全課によると、性犯罪被害者はこれまで警察に被害届を出さないと、医療面で専門的な支援を受けることができなかった。その上、被害者が病院や警察などに自ら足を運び、繰り返し被害状況を説明しなければならず、二次被害を受ける懸念もあった。

 センターには、女性相談員2人が平日の午前9時から午後8時まで常駐し、夜間や土日なども電話対応する仕組みを整える。365日24時間態勢で相談に応じ、臨床心理士や産婦人科医、弁護士、警察とも連携する。警察や病院に行く時には相談員が付き添い、被害届を出さなくても医療費の一部を支援する。男性被害者にも対応する。

 県内では強制性交や強制わいせつなど、性犯罪の被害届が年間約180件出されている。ただ、性犯罪に遭って被害を届け出るのは2割程度とされ、県内だけでも実際には年間約1千件が発生していると推計される。

 内閣府が15年3月に公表した調査結果によると、女性の性暴力被害者のうち「誰にも相談しなかった」と答えたのは67・5%。近親者や会社の同僚など、顔見知りから被害を受けるケースが多く「自分さえ我慢すれば」と抱え込んでしまう場合が多いという。

 県は警察よりも相談の敷居が低い施設を設置することで、泣き寝入りや被害の潜在化を防ぐ。同課の担当者は「被害者には自分に責任があると思い込む人もいるが、そう思わず一度相談してほしい」と話す。

支援 : ポルノ、性暴力被害の根絶へ NPO法人「PAPS」が始動 (2018.01.

日時: 2018-01-24  表示:4373回

週刊金曜日 2018/1/16(火) 17:29配信

 ポルノの制作・流通・消費によって生じているさまざまな人権侵害や性暴力に関する啓発、被害者支援、調査などを2009年5月から任意団体「ポルノ被害と性暴力を考える会(PAPS=ぱっぷす)」として行なってきた婦人保護施設や児童施設の職員、研究者、ソーシャルワーカー、弁護士らが12月、調査研究や社会啓発をより充実させるためNPO法人を設立。これを記念して12月10日、東京・千代田区で行なったシンポジウムには市民ら約80人が参加。アダルトビデオ(AV)出演強要被害事件の実相についてソーシャルワーカーの金尻カズナ氏、弁護士の笹本潤氏が報告した。2氏は相談に関わった数事例を挙げ、AV産業の舞台裏を紹介した。

 最初は手や足など体の一部分だけを使った「パーツ・モデル」募集のサイトを検索して連絡したところ、撮影会のモデルだと説明され、面接に応じると1回3000円の収入になるというバイトも紹介された。数日後、会場に行ったらAV面接だったという。

 ネット広告、スカウト、プロダクション、制作会社、AVメーカー、販売店、動画配信会社が分業する重層構造の仕組みが裏側に出来上がっており、出演を断ったり、指示に従わなかった場合には、それぞれが法外な違約金などを請求できる巧妙な「専属芸術家契約書」、「営業委託契約書」「出演同意書」が被害者との間に交わされているという。こうした実態は「危険性についての説明を回避された契約奴隷状態だ」と述べた。

 さらに、陰部にモザイクがかからない無修正動画ビジネスはより深刻で、日本の業者が撮影画像をオランダ・アムステルダムや米国・ネバダ州、カリフォルニア州などの業者に転売して配信されている点について「タックス・ヘイブンならぬポルノ・ヘイブンだ」と批判した。
PAPSのHPは URL www.paps-jp.org。

支援 : 全国初、性犯罪被害の偏見防ぐ条例 福岡県議会が提案へ

日時: 9110-03-28  表示:4438回

西日本新聞 2018/1/19(金) 9:35配信

 多発する性犯罪を防ぎ、被害者を支援する新たな条例案を福岡県議会が議員提案する方向で検討していることが分かった。被害者を孤立に追い込む誤解や偏見をなくすため、県民の教育、啓発に重点を置く内容となる見込みで、早ければ3月末の条例案提出を目指す。子どもの性犯罪被害防止を主眼とした条例は大阪府などにあるが、性犯罪全般を対象にした条例は都道府県で初めてとなる見通し。

 福岡県議会関係者によると、主要4会派は昨春から、犯罪被害者支援条例の制定を検討してきた。ただ、県内の性犯罪認知件数が高い水準にあることが協議の中で指摘され、性犯罪に絞った条例を別に定める方針が固まった。

 条例案には、県の義務として、性犯罪を許さず、被害者を支える機運を県民に醸成することを明記。「露出の多い服装の人が被害に遭う」「本当に嫌なら必死に抵抗するはず」など被害者側にも非があるような言説が誤りだということを学校で教え、教職員にも研修を課すよう県に求める内容などを検討している。
人口10万人当たりの性犯罪認知件数、8年連続で全国ワースト2位

 性犯罪に関する条例では、大阪府が子どもへの性犯罪前歴者に住所の届け出を義務付け、奈良県は13歳未満に対する不審な声掛けなど性犯罪の前兆になり得る事案を規制している。福岡県議会の4会派は、こうした犯罪抑止策をどう盛り込むかも協議している。

 一方、犯罪被害者支援条例案には、性犯罪を含め被害者に対応する市町村窓口の設置、殺人事件で遺族が加害者側から損害賠償を受ける際の支援などを盛り込む予定。県議会は二つの条例案を同時提出する方針。

 福岡県内の2017年の性犯罪認知件数は411件で、人口10万人当たりの件数は8年連続で全国ワースト2位。県警は性犯罪抑止を「暴力団の壊滅」「飲酒運転の撲滅」と合わせて三大重点目標に掲げている。

=2018/01/19付 西日本新聞朝刊=

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