ポルノ・買春問題研究会
論文資料集10
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ポルノ被害 : 速報:AV業者を利するAV新法は本当に困っている被害者救済

日時: 2022-05-27  表示:1117回

FEM-NEWS 2022/5/27

5月26日、新宿東口で、アダルトビデオAV新法反対のリレートークをした。数多くの問題点が指摘されていたAV法案が、昨日(5月25日)、衆院内閣委員会で可決したと聞いて、急遽、集まった。残るは本会議のみだが、黙っていられないと声をあげた。そのなかから、ずっとこの問題にかかわってきた郡司真子さんの切実かつ深刻な訴えを紹介する。

【アダルトビデオ(AV)撮影被害者の団体である私たちは、3月の最初から声を上げていて、 18歳、19歳の取消権を求める署名活動もしました。 4万筆を超える署名が2週間ほどで集まり、 議員さんにロビー活動して、 省庁にもお願いして回りました。それでも実務者会議のヒアリングにも呼んでもらえず 最終的に素案が出来上がってから、 やっとヒアリングに呼ばれたんですが、その時には、 もう質問にも答えてもらえませんでした。

先日の官僚へのヒアリングの際には、 公序良俗の具体的な意味も示されず「性交禁止を入れたら、性交した人が救えなくなる」という、頓珍漢な回答でした。一番驚いたのが、貧困や性暴力被害者や逆境サバイバーなどの性的自傷、トラウマの再演などが搾取されている問題で、どうしても契約を拒絶できない被害者がいること、むしろそういう方々がほとんどであることを知っていたのか、 知っていて見捨てるのかの質問をしたのですが、 言い逃ればかりで、まともに答えられなかったことです。

条文はもともと、AV業者の自主規制の内容をベースに作られており ギャラ返還に関しても業者の産業としての存続ばかりに配慮した内容です。

これでは、被害者救済法ではなく、AV産業を守るための法律になってしまいます。付帯決議にも性交禁止と無条件無期限の取消権を共産党の本村議委員が頑張って交渉して入れてくれたのに、自民党から差し戻された時には性交禁止と無条件無期限取消権が赤線で消されていました。あまりにもひどい。 こんな状態ですから、2年後に性交禁止が入るとは信じられません。

実態を今から調査すると言いますが、 専門家や医師から提言されているのに、トラウマの再演の搾取に対するスクリーニングを条文に入れなかったことは、昔ながらの女衒がトラウマの再演を熟知し利用してきた悪魔のような慣習を残したいのかと、疑いたくな ります。私たちは、被害者団体として、次のことを求めます。

「本番性交禁止 性売買合法化禁止」「スカウト禁止」「犯罪フィクション禁止」「無期限無条件の取消権を」「性的画像記録の規定を」「トラウマの再演・性的自傷、発達特性のある人のスクリーニングと支援を」−−−郡司真子】

買春社会を考える会

ポルノ被害 : AV法案反対、新宿でデモ 「根本的な被害防止を」 (2022.

日時: 2022-05-27  表示:1088回

共同通信 2022年5月22日 21時02分

 アダルトビデオ(AV)出演被害防止・救済法案の今国会での成立に反対するデモが22日、東京・新宿駅東口の広場で行われた。参加した一般社団法人「Colabo」代表仁藤夢乃さんが、法案では依然、性交を契約内容として認めていると批判し「根本的な被害防止のためには、撮影時の性交を禁止することが必要」と訴えた。
 法案は、成人年齢引き下げで「未成年者取り消し権」の対象外となった18、19歳のAV出演被害増加が懸念されているため、超党派の議員が作成。性別や年齢を問わず公表後も1年間は無条件で契約解除できることなどが盛り込まれた。

ポルノ被害 : AV出演者救済の新法案が波紋 「本番行為」明確に禁じず (2

日時: 2022-05-27  表示:1100回

神奈川新聞 2022/5/20 12:50

 アダルトビデオ(AV)の出演被害救済に向け、13日に固まった議員立法の素案が波紋を広げている。問題は、AVを「性行為映像制作物」と定義し、制作に当たっての性行為に実際の性交、いわゆる「本番行為」を含めている点だ。素案に至る経緯の不透明さも懸念に拍車をかけており、被害女性たちを支援してきた団体は「業者を保護する内容で、制作過程の性搾取にお墨付きを与える」と訴え、丁寧な議論を求めている。

 「特例法を作って18、19歳はAVに出演できないようにすれば済む話だったはず」。ポルノ被害当事者を支援するNPO法人ぱっぷすの北原みのり副理事長は、困惑する。 

 成人年齢の18歳への引き下げを翌月に控えた3月、18、19歳が「未成年者取消権」の対象外となり、AVの出演契約が取り消せなくなる問題が浮上した。対応を協議した与野党議員は4月、AVを「人が性交若(も)しくは性交類似行為を行う姿態」の撮影映像などを含む作品と定義する新法骨子案を提示。若者保護のはずが、本番行為を認める内容にすり替わった。

 「これでは被害者を救えない」と批判が相次ぎ、今月9日の「AV出演被害防止に関する各党実務者会合」で支援団体などへのヒアリングが行われた。ところが4日後の13日に示された法案は、AVを「性行為に係る人の姿態を撮影した映像」などと修正しつつ、本番行為を明確に禁じなかった。「AVの被害を生むのは性行為なのに。これでは業者を守ることになりかねない」と北原さんは嘆く。

ポルノ被害 : 現場で働く人の声を聞いて AV法案、当事者が集会 (2022.05.27

日時: 2022-05-27  表示:1103回

共同通信 2022/5/26

 アダルトビデオ(AV)の出演被害救済に向けた法案を巡り、出演経験者やAV業界で働く人たちが26日、国会内で集会を開いた。国会議員らを前に「現場で働く人の声を無視した法案作りは問題だ」と当事者の話を聞くよう求める意見が相次いだ。

 約2年半AVに出演していたという、いといミユキさんは「出演強要以外にもどんな問題があるのか。現場の人に聞いてほしい」と訴えた。現役で出演する女性は「経済面や精神面で苦しんでいる人が業界に流れてくる。社会の問題を責任転嫁しているのではないか」と憤り、福祉支援などを求めた。

 法案は25日に衆院内閣委員会で可決し、今国会で成立の見通し。

ポルノ被害 : AV被害新法 若年層救済を優先して (2022.05.18)

日時: 2022-05-18  表示:1099回

東京新聞 2022年5月18日

アダルトビデオ(AV)の出演被害救済に向け、超党派議員が法案の素案をまとめた。しかし、その内容には、売春防止法が禁止する「性交」を事実上、合法化するものだ、との指摘も出ている。
 懸念が解消されないまま法制化を急げば禍根が残る。本来の目的である十八、十九歳の被害を救済するため、契約「取り消し権」の復活を先行させてはどうか。
 新法の議論は改正民法の四月施行で、成人年齢が十八歳に引き下げられたことを機に始まった。
 民法には、未成年者が親の同意なく結んだ契約は無条件に取り消せる規定があるが、新たに成人になった十八、十九歳は保護対象でなくなり、AVへの強引な出演契約などによる被害が若年層に広がる恐れが生じたためだ。
 自民、公明、立憲民主などが合意した法案の素案は、すべての年齢を対象に、被害者が申し出れば契約を自由に解除でき、解除期間は原則一年以内(施行後二年は二年間)▽出演契約を交わして一カ月を経過しなければ撮影できない−などの内容。虚偽の説明や威迫行為をした制作者や法人には懲役や罰金を科す。
 日本にはAV制作について規制する法律がなく、判断能力の不足や貧困につけ込まれた被害も多発してきた。AVを明文化して規制する法制化の動きに、一定の意義は見いだせるだろう。
 しかし、被害の現状を変える一歩になるとの評価の一方、懸念の声も上がっている。
 その一つが、性行為が営利対象となることに、国がお墨つきを与える恐れがある、との指摘だ。
 法案の内容は、性暴力や性搾取を受けた被害者の支援団体などの指摘を受けて修正はされてはいるものの、AVの定義には「性行為にかかる人の姿態を撮影した映像…」と、実際の「性交」を前提とするような文言が残されている。
 自公や立民は法案を議員提出して、今国会での成立を目指す、という。売防法を骨抜きにする恐れのある法整備を急ぐべきではないが、問題の放置も許されない。
 この際、原点に立ち返り、成人年齢の引き下げで保護対象から外された十八、十九歳の救済を優先させるべきだ。
 その後、被害者の支援団体などから幅広く意見を募り、女性たちの人権、性を守る包括的な法整備に取り組むことを提唱したい。

ポルノ被害 : AV出演被害救済法案、自民党示した骨子案に当事者団体訴え

日時: 2022-05-10  表示:1119回

共同通信 2022年5月9日

アダルトビデオ(AV)の出演被害救済に向けて自民党が示した法案の骨子案を巡り、当事者団体の「AV出演対策委員会」が9日、厚生労働省で記者会見を開き「出演を希望する人は、さまざまな事情を抱えている。当事者の声抜きに法律を決めないで」と訴えた。

成人年齢引き下げで、未成年を理由に契約を後から取り消せなくなった18、19歳の被害増加が懸念されており、超党派の議員が議論を進めている。自民党の骨子案は、年齢を問わず救済するため1年間の契約解除期間を盛り込み、撮影から公表まで3カ月置かなければならないとする規定などを記した。

団体メンバーは「骨子案は性の売買を合法化する内容。本来はAV自体を禁止しなくてはならない」と前置きした上で「出演時のつらさに気付くには時間がかかる。期間を区切らず、いつでも無条件に解除できるようにすべきだ」と強調した。

また、出演を希望する背景には過去の性被害経験や貧困があるとして、医療や福祉面での支援の必要性を指摘した。(共同)

ポルノ被害 : 就活で40人を強姦…レイプドラッグ事件が表面化しない特殊

日時: 2021-10-13  表示:2221回

Fryday, 2021/10/13(水) 13:02配信

ここ数年、レイプドラッグと呼ばれる睡眠薬をつかった性犯罪が、世界的に増加している。それは日本も例外ではない。

日本で最近起きたレイプドラッグを使用した事件としては、20年に丸田憲司朗(逮捕当時30歳)が起こした連続レイプドラッグ強姦事件がある。

リクルートコミュニケーションズの社員だった丸田は、主に就活アプリのOBマッチング機能などを使って、就活中の女子学生たちに「就活の指導をする」と声を掛け、次から次に呼び出していた。SNS等で使用していたのは、さわやかな美男子風の写真だった。

なぜ彼女たちは簡単に呼び出しに応じたのか。

コロナ禍での就活はただでさえ大変である上に、OB訪問のつてのない女子学生にしてみれば、オンライン上で出会える丸田は是が非でもすがりたい相手だったはずだ。そうした就活生の心理を巧みに利用し、出身大学などを偽り、自分に任せれば就活は大丈夫と言って誘い出したのだ。

丸田は、こうして呼び出した女子学生たちを、「就活指導」や「課題の手伝い」を名目にホテルや自宅に連れ込んだ。女子学生にしても、コロナ禍で行ける場所に制限があったため、藁をもすがる気持ちで指定された場所へ足を運んだのだろう。

彼はそんな女子学生たちに優しく接し、安心させる。そしてレイプドラッグ入りのカクテルなどを飲ませた。彼女たちは数口飲んだだけで記憶を失ったという。丸田はそんな女子学生に対して性犯罪に及んだのである。

逮捕後、丸田の自宅からは、10種類の睡眠薬が合計700錠も発見された。さらにスマートフォンなどからはおおよそ40人の被害者とみられる女性の写真が見つかっている。眠らせて犯行に及んだ際に、動画や静止画を撮影したのだ。

今年10月現在、警察は10回にわたって丸田を逮捕しているが、実際に被害に遭った女性は、はるかに多数に及ぶと推測されている。

警察の取り調べの際、丸田はこう供述していたという。

「認否は言明しない。女性をないがしろにしたことは大変申し訳ない気持ちです」

この丸田の事件から、レイプドラッグをつかった性犯罪について考えたい。

◆認知件数が少ない理由

まず、良く知られている通り、この種の犯罪は表沙汰になることが少ない。冒頭で事件が増加していると述べたが、11年に認知されたのはわずか15件、近年増えているといっても20年の認知件数は60件に留まっている。

増加しているのは確かだが、日本よりずっと人口が少ない英国では同様の事件が年間に500件ほど起きている。それを考えれば、日本では葬られている事件がかなり多いと考えるべきだろう。

原因としては、被害女性が警察に訴えるハードルが高いためだ。

性被害に遭った直後に警察へ駆け込み、根掘り葉掘り聞かれ、様々な検査まで受けさせられるのは耐えがたい。ましてや警察官から「なぜ、男についていったのか」と言われれば、責められている気になって心に傷を負う。

もう一つ考えるべきは、女性が抱く恐怖心だ。

この種の事件では、男性が女性の個人情報を握っていることが少なくない。また、レイプドラッグを使用した犯罪では、性行為を動画等で撮影されていることがある。丸田が40人に及ぶ画像を所持していたことからも、それは明らかだ。

なぜ加害者は画像を撮るのか。刑務所で性犯罪の矯正プログラムにかかわる人物は次のように語った。

「加害者が撮影をする理由は主に二つあります。一つは、裸の画像を撮影しておけば、それが口封じにつかえるということですね。二つ目は、性犯罪者の中には、幼い頃に母親や女性から抑圧されてきた反動で、女性への支配欲を膨らませている者が少なくないことです。相手を支配して好きなように弄びたいという欲求が強い。だから、眠らせて犯罪に及ぶだけでなく、画像を手に入れて女性を支配しつづけたいと考えるのです」

さらに、アダルトサイトに犯罪動画をアップロードしたり、同じような加害者同士で画像を交換したりすることもあるという。そうすることで、「自分はすごいことをした」とゆがんだ自尊心を膨らませようとしているらしい。

問題は、こういう動画の取り締まりがきちんとなされていない点だ。

私はかつて日本で初めて起きたリベンジポルノ事件を取材したことがあるが、警察はこうした動画をネット上から完全に消し去ることは不可能であると認めた。海外のサイトの運営者にアクセスして削除させることが非常に難しいのだ。

ただ、これだけレイプドラッグやリベンジポルノに関する事件が多発する現状では、「不可能」として放置していい問題ではない。なぜ警察の「不可能」という言葉で、多くの被害者が泣き寝入りしなければならないのか。

主だったサイトに対しては規制をかけるとか、流出した画像をきちんと調べて加害者を捜すとか、もっとできることはあるのではないだろうか。完璧でなくても、やらないよりはやった方が、被害者を減らせるはずだ。

◆保有した薬は10種類700錠

さらに犯罪を助長させている要因として、レイプドラッグが簡単に、そして安価に売り買いされている点が挙げられる。30歳の会社員の丸田が10種類700錠もの薬を所有していたことからも明確だろう。

この犯罪には、飲んだ相手の意識を何時間も奪い取るほどの強力な睡眠薬が使用される。本来は、病院であっても簡単に処方してもらえる類いの薬ではないが、ネットでは広く個人売買されている。

かつて私はこの取り引きを取材したことがあるが、その際は20代の売人が薬の効力だけでなく、どこでどうつかえば望むような犯罪ができるかまで指南してきた。まるで社会人サークルのノリだった。

加害者たちには、レイプドラッグを売り買いしていることにほとんど罪悪感はない。だが、被害者の人生をずたずたに引き裂くという点では、覚醒剤などの違法ドラッグと同様に悪質だ。

にもかかわらず、警察はそこまでこの種の取り引きを厳しく取り締まろうとしない。もし違法ドラッグと同じくらい厳しく取り締まり、少なくとも簡単にネットで取り引きできないようにすれば、もっと被害者を減らすことができるのではないだろうか。

努力が足りないのは、企業も同じだ。

製薬会社の中には、自社の薬がレイプドラッグに使用されていると指摘され、薬に青い色をつけたことがあった。水に入れると、青色に染まるのだ。それで飲み物に薬を混入されたことに気づかせられると考えたのだ。

◆女性の心を破壊

だがベースとなる飲み物をうまく選んだり、食べ物に混入させるなどした場合、なかなかそれが警告として働かないことがある。実際に、丸田の被害者の女性の一人は、朝起きたら上半身裸で、舌が青く染まっていたと証言している。この「青」が薬のせいである可能性は高い。

それでも、薬にこういう工夫をこらせば、一定の犯罪抑止効果はあるだろう。問題は、そうした努力を行っている製薬会社がごく一握りだということだ。多くの睡眠薬には、こうした工夫が施されていない。つまり、睡眠薬がレイプドラッグとして使用されているのを知っているのに、何の手立ても打っていない企業があるのだ。

睡眠薬をつかった性犯罪は、それこそ何十年前から起きている。表に出るのは氷山の一角で、社会には膨大な被害者がいるということもずっと語られてきた。

にもかかわらず、なぜこの犯罪が増えているのか。

それは、警察も企業も、そして社会も、ずっとこの問題を放置してきたからではないか。だから、ネットによる個人売買が広まるにつれ、どんどん犯罪が増加するのを許したといえる。

性犯罪の被害女性の多くが、PTSDを含む何かしらの後遺症に悩まされることは知られている。中には、社会復帰どころか、生きていくことさえままならなくなる者もいる。丸田の被害者の女性の一人も、心身に異常が出ていると証言する。

〈魂の殺人〉

性犯罪がそう呼ばれるのは、被害女性を心の部分から破壊するためだ。

10月になり、緊急事態宣言が解除された。これに伴い、外で飲酒をする機会が増えることは間違いない。そんな今だからこそ、社会全体で丸田が起こしたような性犯罪をどうすれば食い止められるかを、正面から考える必要があるだろう。

取材・文:石井光太
77年、東京都生まれ。ノンフィクション作家。日本大学芸術学部卒業。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。著書に『「鬼畜」の家ーーわが子を殺す親たち』『43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層』『レンタルチャイルド』『近親殺人』『格差と分断の社会地図』などがある。

ポルノ被害 : 「過去の万引きを旦那にバラすぞ」AVの鉄板企画を模倣し強

日時: 2021-07-03  表示:2605回

文春オンライン 2021/7/3(土)

 万引をした女性が店舗のバックヤードに連れて行かれる。店員や警備員は「家族や警察にばらされたくないなら、分かっているよな」などと言い、密室で嫌がる女性にわいせつな行為に及ぶ――。

 多くのアダルト作品で使用される「鉄板の企画モノシチュエーション」(AVメーカー関係者)だ。

 フィクションでしか許されないその状況を、現実にしようとしたトンデモ警察官がいた。埼玉県警の元警察官、****被告(34)である。

*** **被告は4月、埼玉県羽生市にあるイオンモール羽生の駐車場に20代の女性A子さんを呼び出し、「過去の万引きを旦那にバラすぞ」「月に1回でいいから性行為をさせろ」などと言って車の中で1時間にわたって脅迫した。その際にA子さんの身体を触ろうとしたとして、強制わいせつ未遂罪に問われていた。

 7月1日にはさいたま地裁で判決公判が行われ、菅原暁裁判官は「犯行は執拗で卑劣だ」として懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。
万引きの捜査で女性の電話番号を

 黒のスーツ姿で髪を整えた**被告は、判決が言い渡されると神妙な面持ちで裁判長の説諭に耳を傾けた。一見すると反省をしているように見えるが、裁判の過程ではとんでもない主張を繰り広げ、傍聴人を苦笑いさせていた。

*** **被告は2008年10月に埼玉県警で働き始める前は、自衛隊員だった経歴を持つ。2017年3月から羽生署地域課の須影(すかげ)駐在所に勤務していた。地元社会部記者によれば「勤務態度に問題はなく、近隣住民に人気の駐在さんだったと聞いています」という。

 しかし“人気の駐在さん”は仮の姿だった。ことの発端は今年1月、A子さんがイオンモール羽生で万引きで捕まったことだった。当時、須影駐在所に勤務していた**被告はイオンモール内の派出所にも出入りしており、A子さんの万引き事件の時も捜査に関わったという。

「捜査に関わったとは言っても直接取り調べをした担当者ではなく、A子さ****被告について『面識がない』と証言しています。た***被告がA子さんの個人情報にアクセスできる立場だったことは確実で、そこで携帯電話の番号を知ったことから事件が始まりました」(前出の社会部記者)。

 4月2日と3日、突然A子さんの携帯電話に知らない番号からの着信があった。何度目かの着信にA子さんが出ると、電話の相手は「イオンの警備員」を名乗った。**被告は「万引きの処理で100万円かかった。身体で払うか」、「旦那にばれてもいいのか」と脅して4日にイオンモールの駐車場にA子さんを呼び出した。

 待ち合わせた駐車場に現れた**被告は、A子さんの車に乗り込むと、「万引きをしたらそれなりの誠意を見せてほしい」「月に1回で良い」「嫌なら留置場に入りますか」などとA子さんの弱みに付け込んで1時間以上にわたって性交渉を求めたのだ。狭い車の****被告は体を無理やり触ろうとしたが、A子さんは拒否しつづけた。

 体を触ろうとしなが***被告は脅迫を続けたが、タバコを吸いに一度車を出たところでA子さんがすかさず110番通報。**被告は逃走したが、防犯カメラの映像などから特定され、4月7日に逮捕された。逮捕時には「わいせつ目的ではなかった」などと意味不明の供述をしていた。

検索履歴には「万引き」「人妻」「レイプ」

 しかしその言葉の真意は、6月の後半に行われた初公判でのトンデモ主張によって明らかになった。**被告は裁判で、A子さんに性交渉を迫り体を触ろうとしたことについては「間違いありません」と認めながらも、被告人質問では「万引き犯を懲らしめてやりたかった」と主張した。

「弁護****被告の動機について、わいせつ目的以上に、万引き犯を懲らしめたいという正義感が起こした事件だと主張したんです。しかし、**被告の携帯電話には“万引”“人妻”“レイプ”などの検索履歴がきっちり残っていて、さらに事件当日にはコンドームも購入しています。これを性的な目的ではないというのはさすがに無理があると感じました」(社会部記者)********* 被告人質****被告は、検察官とこんなやりとりをしている。

検察官「AVの影響はあったのか」

検察官「フィクションと現実の区別がついていなかったのか」

 弁護側の被告人質問への答えにも、**被告の“ズレ”た空気感が如実に表れている。

弁護士「(A子さんを)懲らしめようというなら、やっていることに開きはないか」

弁護士「わいせつ目的100%だったのではないのか」

弁護士「何が事件を起こした理由だと思うか」

 あくまでもわいせつ目的だけではなく、歪んだ正義感が原因だったと主張した**被告。「この地域の万引きの担当を5年ほど1人でしており、店舗の経営者などが泣いているのを見てきた。それで万引き犯を懲らしめようと思った」とも言ってのけたのだ。
「警察やあなたの信頼は簡単には回復されない」

 しかしこの主張は聞き入れられなかった。

 検察側が*被告人はアダルトビデオやアダルトサイトに影響を受け、本件犯行を思い立った」「アダルトビデオを見て、自分も同じようなことをしてみたいと思い実行に移すこと自体が、幼稚かつ浅はかとしか言いようがない」と主張したのを受けて、菅原裁判官は「自身の性的欲求を果たす目的のほかに、万引き犯を懲らしめるために脅そうとの思いもあったと供述するが、そのためには法令に則って捜査等の職務にいそしむべきだ」と切り捨てた。

 裁判に***被告の妻も出廷し、「ひとりでやらないといけないことが多く仕事のストレスがあり大変だったと思う」と証言。弁護側は「妻も離婚もせずに**被告を支えると言っている」と執行猶予判決を求めていた。

 最終的に下ったのは懲役2年、執行猶予4年の有罪判決。裁判官は「被害女性の傷は癒えない」「警察やあなたに対する信頼は簡単には回復されない」などととどめを刺した。それを、**被告はやや前傾姿勢で頷きながら神妙な面持ちで耳を傾けていた。

 警察からは懲戒免職され、被害者とは80万円で示談。そして有罪判決を受けた**被告。稚拙な行動によって失墜させた信頼の回復には長い年月がかかりそうだ。

ポルノ被害 : 性的関係を迫る…窃盗の過去がある女性に警官が 検察側

日時: 2021-07-02  表示:2537回

埼玉新聞、2021年6月18日(金)

公務を通じて連絡先を知った20代の女性を駐車場に呼び出し、車内で体を触ろうとしたとして、強制わいせつ未遂の罪に問われた羽生署地域課須影駐在所の元巡査部長(34)=羽生市須影、懲戒免職=の初公判が17日、さいたま地裁(菅原暁裁判官)で開かれ、元巡査部長は「間違いございません」と起訴内容を認めた。検察側は懲役2年を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めて結審した。判決は7月1日。

 検察側の冒頭陳述などによると、元巡査部長は窃盗の前歴のある女性に被害店舗の関係者を装い、性的関係を迫ったと指摘。論告では勤務中に知り得た情報を悪用して犯行に及んだ点について「警察官にあるまじき、卑劣極まりない行為」と断じた。アダルトサイトなどに影響を受け、欲望の赴くままに行動に移しており「自己の性欲を満たそうとした動機や経緯には酌量の余地は全くない」と強調した。

 弁護側は、間違った正義感から女性を懲らしめたい意図で、性的危害を与えるような発言をしたと主張。「全て正直に供述していて、心から反省している。再犯の恐れはない」と寛大な判決を求めた。

 起訴状などによると、元巡査部長は4月4日、女性に電話して羽生市内の商業施設に呼び出し、駐車場に止めた車内で「それなりの誠意を見せてもらいたい」などと脅迫し、体を触ろうとしたとされる。

ポルノ被害 : 女性アスリート画像の無断転載、計1億2千万円の広告収

日時: 2021-05-11  表示:2921回

読売新聞、2021/5/11(火) 12:27配信

 女性アスリートの競技画像がアダルトサイトに無断転載された事件で、著作権法違反容疑で逮捕された男(37)(京都府精華町)が、自身の運営するアダルトサイトに複数競技の女子選手の画像計39点を載せていたことが警視庁への取材でわかった。警視庁は、男がこのサイトを含む9サイトの運営で約10年間に計約1億2000万円の広告収入を得たとみている。

 11日の発表によると、男は2019年5月18日、テレビ番組で放映された複数の女子選手の競技画像を複製し、インターネットのアダルトサイトに39点を無断転載。不特定多数のネット利用者が閲覧できる状態にし、テレビ局が持つ著作権を侵害した疑い。

 逮捕直後の調べに対し、男は「金銭目的だった。悪いことだと思ったが、逮捕されるとは思わなかった」と話したが、その後、黙秘している。

 画像にはそれぞれ「放送事故」「ハプニングシーン」などと書かれ、卑わいなコメントも添えられていた。警視庁は、男が運営する別のアダルトサイトにも、多数の女子選手の画像が掲載されていたとみて確認を進めている。

 性的目的での撮影や画像悪用の被害防止に取り組む日本オリンピック委員会(JOC)が昨年11月以降、約1000件の被害情報を警視庁に提供。捜査の結果、このうち4件に男のサイトが関与していることが判明したという。

 JOCなどスポーツ界が被害防止対策を本格化させて以降、刑事事件の摘発は初めて。以前に選手が赤外線カメラで撮影されるなどの被害もあった日本水泳連盟の石井雄二郎事務局長は11日、「引き続き会場での見回りを強化するなどして、競技者を守っていきたい」と話した。中高生が被害に遭うケースもあり、全国高等学校体育連盟の奈良隆専務理事(65)は、「アスリートに対する許しがたい行為だ。警察の摘発は被害抑止につながり、一歩前進だ」と語った。

 JOCの籾井圭子・常務理事は11日、「場合によっては逮捕されるということがわかり、単に(被害防止のための)声明を出していることよりも、さらに一歩、高めの抑止効果が期待できる。警視庁がアスリートが置かれている状況を何とかせねばと思って動いていただいたのはありがたい」と話した。

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