産経新聞 10月1日(火)7時55分配信
■客引き全面禁止 環境改善期待
不当な客引き行為の規制などを強化した県迷惑行為等防止条例が1日から施行され、静岡市葵区、浜松市中区、三島、沼津、掛川の5市区31地域の繁華街で、風俗案内所や深夜マッサージ店の客引き行為が全面禁止となる。県警は10月の1カ月間を指導期間と位置づけ、関係機関と連携して、指定地域での指導、警告活動を実施する。同様の条例を導入している他県では風俗環境の改善につながっていることから、県警は「県内の環境改善にかなりの効果を見込める」と期待を寄せている。
今回の条例改正は、地元の商店街や町内会からの要望を受け、県や県警などが昨年から検討を開始。今年6月の県議会で条例の改正案が全会一致で可決され、8月に公布された。
◆「客待ち」も対象に
改正前も通行人の腕を引っ張るなどの悪質な客引きは規制対象だったが、改正された条例では公共の場での客の呼び込みや、路上でたむろする「客待ち」まで規制範囲を広げた。また、風俗店従業員や飲食店のホステス、アダルトビデオへの出演などを勧誘する「スカウト行為」も罰則の対象とするほか、午後10時以降のマッサージ名目の客引きも禁止となった。
県警保安課によると、昨年、悪質な客引き行為で検挙されたのは約20人。今年は8月末までに11人となっており、前年より少し速いペースだという。同課の中西浩次席は「改正によって客引きはかなり減るだろう」と分析。「悪質なものは検挙し、繁華街の風俗環境をよくしていきたい」と話していた。
◆「盗撮禁止」具体化
一方、キャバクラなどの飲食店が200店舗以上点在する静岡市葵区紺屋町界隈(かいわい)では、従業員から戸惑いの声も。飲食店の男性従業員(26)は、「外に立つことまで規制されるなんて、かなり厳しい。どうやって客を呼び込めばいいか、みんなあれこれ考えている」。別の男性従業員(24)は「人気店はいいが、小さい店だと潰れるところも出てくるかもしれない」とため息をついていた。
このほか、「通常衣服を着けない場所での盗撮の禁止」が盛り込まれ、住居、浴場、トイレなど、盗撮禁止場所をより具体的に明記。さらにこれまでは「恋愛感情」を前提とするストーカー規制法でしか摘発できなかった無言電話や連続メール、反復したつきまとい行為も対象となり、仕事上のトラブルなどによる嫌がらせ行為も禁じられた。