18歳頃までに両親や同居者から虐待を受けた経験がある人の割合が5%に上ることが、厚生労働省研究班の調査で分かった。
2年に1度、行われている「男女の生活と意識に関する調査」で、虐待経験を尋ねたのは初めて。
今回の調査は2010年9月、16〜49歳の男女3000人を対象に実施。1540人が回答した。
虐待を受けたと回答したのは、男性の2・2%に対し、女性が7・1%。15歳から49歳の女子人口を踏まえると、単純計算で、女性では約200万人で虐待の経験があることになる。
具体的な虐待内容を尋ねたところ(男女合計。複数回答)、「心を傷つけるようなことを繰り返し言うなど心理的な虐待」が66・2%で最も多かった。
そのほか、「殴る、蹴る、熱湯をかける、たばこの火を押しつけるなどの身体的な虐待」が54・5%、「無視したり、食事を与えなかったりするなどの養育放棄」が15・6%、性的虐待は男性はゼロだが、女性は14・5%だった。
虐待と両親の離婚との関連を見たところ、虐待経験者のうち両親の離婚の経験がある人の割合は36・4%で、虐待経験がない人で両親の離婚経験がある人の割合(10・6%)の3倍以上だった。
また、虐待経験者のうち、自分で自分の体に傷を付ける「自傷行為」の経験者の割合は32・5%で、虐待経験がなく自傷行為を行ったことがある人の5・7%より5倍以上、高い数字だった。また、虐待経験者は中学生の頃、親との会話が少ない傾向が見られた。
調査にあたった日本家族計画協会クリニック(東京都新宿区)所長の北村邦夫さんは「全国の児童相談所の調査などでは、意図しない妊娠・出産で生まれた子供たちが親らに虐待されることが少なくない。産みたいときに産む、妊娠を望まないならば確実な避妊を実行することが大切。また、『隣は何をする人ぞ』では虐待児を救えない。虐待の兆候はないか、誰もが注意してほしい」と話している。
(2011年4月18日 読売新聞)