産経新聞 4月8日(日)21時54分配信
長崎県西海市のストーカー殺人事件を受け、現行のストーカー規制法は被害者の命を守るために効果的に機能していないとして、ストーカーに家族を殺害された事件の遺族らが8日、東京都内で記者会見し、事件の第三者による検証と、被害者保護のための法改正を求める要望書を警察庁などに送付したことを明らかにした。
ストーカー規制法は平成11年の埼玉県桶川市の事件を受け、翌12年に施行。同事件で長女=当時(21)=を殺害された猪野憲一さん(61)は会見で、「12年前と警察の対応は全く一緒だ。市民が『助けて』とすがっても、警察が『分かったよ』という気持ちで対応できないのは情けない」と強調した。
11年の兵庫県太子町の事件で妹=当時(20)=を殺害された尾ノ井広行さん(56)も、「長崎の事件の対応は本当にひどく、警察に改めて怒りを感じた。警察には危機意識がない」と訴えた。
要望書では、長崎県西海市の事件で千葉県警習志野署が被害届の受理を先送りして署員が親睦(しんぼく)旅行に行っていたことを指摘。「すがる思いで警察に救いを求めた被害者の訴えは無視された。繰り返される人命軽視の警察の対応に憤りを感じる」と批判した。
その上で、「警察がストーカー犯罪の危険性を理解せず、被害者を守る適切な対応をしていない」として、西海市の事件など、過去のストーカー殺人事件の問題点を警察以外の第三者が検証した上で、被害者保護のための法改正を行うよう求めている。