2013年02月17日 産経新聞
18歳未満の女子高生らに個室でマッサージをさせたとして、都内のマッサージ店「JKリフレ」17店が1月下旬、警視庁少年育成課の一斉捜索を受け、このうち4店の経営者らが今月、逮捕された。捜査関係者は「児童買春の温床になるだけでなく、ストーカーを誘発しかねない」と警鐘を鳴らすが、遊ぶ金が欲しい少女らの心理を逆手に次々と新たな業態を生み出す「脱法風俗店」と、摘発とのいたちごっこのゴールは見えない。(荒船清太)
東京・秋葉原の路上で1月末、制服姿の少女が男性にチラシを配っていた。
「リフレ、どうですか」
少女は都内の高校3年生(18)。連れられたビルの一室には、小部屋がずらりと並ぶ。各部屋の入り口には、カーテンレールが天井についているだけだ。
「カーテンで仕切ると、個室になって違法になるらしくて…」と少女。同課がJKリフレの一斉捜索に入った次の日にカーテンを取り払った。別料金を払うオプション一覧には、ハグ(抱擁)や耳かきなどのメニューが並ぶ。少女は「メニューにはないけど、一番人気は3分1千円の添い寝です」と小声で語った。
時給は飲食店などと変わらないため、半額が自分に入るオプションは重要という。少女は「『いくらならしてくれるの?』と、買春をほのめかされたこともあります」と打ち明けた。
過剰サービス
こうしたJKリフレは秋葉原を中心に数年前から広まり、都内では約80店が営業。馬乗りでマッサージをする店も登場し、店の増加に伴い、過激化していた。
ただ、こうした新業態は既存の風俗店を取り締まる風営法の適用外。女子高生が下着姿をマジックミラー越しに見せる「女子高生見学クラブ」や水着姿で接客する「ガールズ居酒屋」など、これまでも脱法業態が次々と生み出されてきた。
今回、同課は個室でのサービスが、年少者労働基準規則で18歳未満の就業を禁じた「特殊の遊興的接客業」にあたると判断。労働基準法の「危険有害業務への就業」容疑を適用した。ただ、罰則は懲役6カ月か罰金30万円にすぎない。
危機感の欠如
同課が捜索したのは秋葉原、池袋、新宿、吉祥寺の17店。保護した少女115人のうち76人が18歳未満で、2店には15歳未満もいた。経営者の一部は聴取に「ハグなどは女の子が勝手にやった」と供述したが、常連客に高額な「裏オプション」を提供していた店も発覚。悪質な4店の経営者らの逮捕に踏み切った。同課は児童買春が行われていなかったかも調べている。
リフレでは昨年、男性客が少女に過剰サービスを要求し、ストーカー規制法に基づく警告を受けた。同様に風営法の適用外だった「耳かき専門店」では平成21年、ストーカーとなった客の男に21歳の女性らが惨殺される事件も起きた。
捜査幹部は「少女たちには、殺人事件の被害者にもなりかねないという認識がない。何かが起きてからでは遅い」と話している。
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【JKリフレ】
女子高生らが個室で客にマッサージを行い、オプション料金を支払うとハグ(抱擁)などのサービスも提供するマッサージ店。JKは女子高生の頭文字で、リフレは足裏マッサージなどを意味するリフレクソロジーの略語。警視庁少年育成課が1月27日、18歳未満の少女を働かせた労働基準法違反の容疑で17店を一斉捜索。このうち4店の経営者ら計4人を2月6日に逮捕した。