産経新聞 12月1日(水)7時56分配信
小型動画カメラの映像が、窃盗事件の容疑者逮捕の決め手になるケースが増えている。今秋には、大津市内で、カメラに収められた動画に、同僚のロッカーで財布を物色していた容疑者の姿が映り、逮捕につながった。しかし、同じカメラを電車内の盗撮に使う犯行も多く、防犯設備の業界団体では「防犯目的でも隠し撮りとなり、推奨されるべきではない」と指摘する。県警では「盗撮と防犯の線引きはケース・バイ・ケース」としている。
大津市内の病院で9月6日、同僚の女性職員の財布から現金2千円を盗んだとして、窃盗容疑で職員の女が逮捕された。大津署によると、被害者の女性職員は以前から財布の現金がなくなることがあったことから、財布を保管しているロッカーに、ボールペン型の小型動画カメラを密かに設置したところ、財布を物色している女の姿が映っていたという。
県警によると、こうした小型動画カメラが窃盗事件の容疑者逮捕につながったケースは今年、少なくとも数件はあるという。
防犯グッズをインターネット販売する会社(神戸市)によると、小型動画カメラは数千円から販売されており、安価で購入しやすいという。形もボールペン型やライター型、時計型などさまざま。防犯用として購入する人は増えており、「犯人逮捕につながった」という連絡が毎月数件入るという。
ところが一方で、同じ小型動画カメラが犯罪に使用されるケースも多発している。県警によると、電車内で女性のスカート内を撮影するなどの盗撮件数は今年10月末までで28件で、昨年同期(16件)と比べて倍近く増えている。このうち、カメラ付き携帯電話とともに、小型動画カメラが犯行に使われるケースが多くなっている。
社団法人日本防犯設備協会(東京都港区)は「小型動画カメラは、盗撮に使用されることが多い」としており、「仮に防犯目的の使用であったとしても、隠し撮りとなる行為は、推奨されるべきではない」と指摘する。
防犯グッズのネット販売会社の担当者も「販売する際に、購入者がどのような用途で使用するのか判断するのは難しい。使用者のモラルに任せるしかない」と話している。
県警生活安全企画課では「盗撮と防犯の線引きはケース・バイ・ケース。撮影している範囲や状況などから判断する必要がある。第三者からみてどうかというのが大事で、盗撮となるのは、悪意を持って撮影しているどうかだ」としている。